攫われた娘のためにひたすらがんばるパパ。この一言に尽きる映画です。 途中の派手な特撮やCGなどなく、ひたすら肉弾アクションで進みます。
- 原題
- Taken
- 公式サイト
- https://www.20thcenturystudios.jp/movies/96hours
- 監督
- 登場人物
- 配給会社
ここがおすすめ!
- リーアム・ニーソンのアクション
- スリリングな展開にぴったりのテンポ感
- 「怒らせると怖いおじさん」ブームの先駆け
あらすじ
父の愛が、パリの街を暴走する。全米初登場第1位!9週連続TOP10入り!!リュック・ベッソンが仕掛けるスタイリッシュ・タイムリミットアクション。 お前が何者なのかは知らない。何が目的かもわからない。身代金を望んでいるなら、言っておくが、金はない。だが、俺は闇のキャリアで身につけた特殊な能力がある。お前らが恐れる能力だ。娘を返すなら、見逃してやる。だが返さないならお前を捜し、お前を追い詰め、そしてお前を殺す。17歳のアメリカ人少女キムが、初めての海外旅行で訪れたパリで何者かに誘拐された。偶然にもその事件のさな
公式ウェブサイト
2008年に公開されたリーアム・ニーソン主演のアクションスリラー映画『96時間』。低予算ながらスカッとできるアクションスリラー作品として話題となり、高額な興行収入を稼ぎ出すヒット作となりました。この人気を受けて、『96時間』は続編映画が製作されただけでなく、前日談となるドラマシリーズが配信されるなど、人気フランチャイズ作品の一つとなりました。
映画は2作ともにリーアム・ニーソンの年齢を感じさせないアクションに脱帽と作品の痛快さに感激です。
とにかくリーアム・ニーソンがすごい
本作の魅力は何と言っても主人公ブライアンを演じたリーアム・ニーソンの演技とアクションです。もともとアマチュアのボクサーとしてのキャリアもあり、アクションもこなせる俳優ではありましたが、50代後半に差し掛かってのアクション映画シリーズ主演はなかなかできることではありません。190センチメートルをこえる長身の存在感と圧倒的なすごみ、そして彼の繰り出すアクションの迫力にはすさまじいものがあります。一人芝居ではないものの、物語を引っ張っていく存在となるキャラクターが基本的にはブライアンしかおらず、そのすべてが彼の肩にかかっていると言っても過言ではないのですが、その役割を見事にこなしています。
物語の核となるのは、娘を大切に思う父親の気持ちです。娘の窮地に駆けつけ、彼女を救い出すためなら何でもする、というヒューマンドラマ的な側面が、手に汗握るアクションシーンとの緩急をつける要素です。このヒューマン部分におけるニーソンの表情もまた、素晴らしい演技だったと言えるでしょう。
スリル満点のテンポ感
『96時間』は、娘の窮地を救う父親、といういたってシンプルな物語展開になっています。さらに登場人物も極めて少ないため、観客が映画を見ていて飽きてしまう要素が多分に含まれています。にもかかわらず、本作には中だるみする場面がありません。それはひとえに、本作が94分という非常にコンパクトな時間に抑えられていたから得られる効果だったと思います。実際に見た印象としても、「あっという間に終わってしまった」という感覚が強く残ります。
近年はCGを贅沢に使い、長い上映時間のアクション映画が増えているので、それに逆行するような本作の短さは、最適な決断だったと思います。
作品全体の時間が短いおかげで、緊張する場面が不必要に長く続くわけでもなく、驚くほどスムーズに物語が展開していくので、飽きることなくテンポよく作品に集中することができます。そのテンポ感は非常に良いな、と個人的には感じたのですが、どうせならば作品タイトルにちなんであと2分伸ばして「96分」にしてしまえば良かったのに、と思ってしまった私は、どうやら邦題に踊らされていたようです。エンドロールを見ていて気付いていたのですが、本作の原題は『Taken』で、娘が連れ去られてしまったことを指しているだけの、いたってシンプルなものでした。邦題の『96時間』はあくまでも本編中に登場するセリフから取ってきたのでしょう。ならば、本編が「96分」などというジェームズ・キャメロン的な演出がないのも納得です。物語にしてもタイトルにしても、上映時間にしても、とにかくどこを取ってもシンプルかつコンパクトなのが、この作品の魅力だと改めて感じさせられました。
近年の「怒らせたら怖いおじさん」映画の先駆け
ここ何年かのハリウッド映画では、中高年のアクションスターが主人公を演じる「怒らせたら怖いおじさん」系の作品が増えてきています。そのほとんどが主演スターに頼った作品かつ、ストーリーも非常にシンプルなもので、批評家の評価は伸びにくいものの、観客からの支持率は高く、その分興行成績も高く、続編につながりやすいという特徴があります。『96時間』はその先駆け的な映画ではないでしょうか。
この「怒らせたら怖いおじさん」に共通するのが、大切なものを奪われたことをきっかけに本気を出すという物語展開ですが、本作はまさにその王道を行っています。娘が誘拐されて売り飛ばされてしまう、という展開は確かに耐えがたい悲劇ですが、それにしても主人公のブライアンは容赦がありません。元CIA工作員というバックグラウンドがあるにしても、娘のためなら容赦なく敵を殺せる上に、かなり派手な動きを重ねて目立っていました。娘の居所を突き止めるために、敵を容赦なく拷問したりけがをさせたりする場面には、思わず目を見開いてしまいました。
『96時間』の公開年は2008年であり、マーベルヒーロー映画ブームの火付け役となった『アイアンマン』の公開年と同じ年です。ヒーロー映画の主人公は基本的には万人にとってのヒーローであり、正義の味方です。その一方で、『96時間』のブライアンは、娘や元妻にとってヒーローかもしれませんが、娘を救出するために重ねた罪は重く、対外的には悪人と考えられてもおかしくありません。このような性質が異なるものの観客から支持されるようなブームの火付け役となった作品が同じ年に公開された、というのは非常に興味深い現象だなと感じました。
とにもかくにも、リーアム・ニーソンに始まりリーアム・ニーソンに終わると言っても過言ではない本作、『96時間』。アクション俳優としてのリーアム・ニーソンを堪能するにはこれ以上ない、うってつけの作品となっています。スカッとするスリリングなアクションを楽しみたい方は、是非、鑑賞候補作品に入れてみてください。
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このページではDisneyPlus Jpで配信中の96時間から執筆しました。
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