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実写版「ヒックとドラゴン(2025)」: 空を舞う感動が現実になった瞬間

Score 4

映画「ヒックとドラゴン(原題:How to Train Your Dragon)」は、ドリームワークス・アニメーションによる大ヒットシリーズの初の実写化作品です。 監督はアニメ版三部作すべてを監督したディーン・デュボアが、当初は実写化に否定的だったにもかかわらず、自ら監督を務めた点からも、作品への深い愛情が伺えます。 そして最大の見どころは、ヒックとトゥースによる迫力のドラゴンライド・シーン。スコットランドやフィンランドの雄大な自然を舞台に、アニメでは表現しきれなかった臨場感と浮遊感を実現しています。海面から急上昇し、雲海を突き抜ける演出は、まるでジェットコースターのような感覚を味わわせてくれました!

原題
How to Train Your Dragon
公式サイト
https://hic-dragon-movie.jp/

© Universal Studios. All Rights Reserved.

公式サイトSNS
監督
登場人物
ヒック(Hiccup)

Actor: メイソン・テムズ

ドラゴンとの出会いを通じて成長し、現在はバーク島の若き長として人間とドラゴンの共存を築いた立役者。発明が得意で、トゥースの鱗で作った鎧を身に着けている。

アスティ(Astrid)

Actor: ニコ・パーカー

ヒックの幼馴染であり、彼の成長を見守ってきた勇敢な少女。ドラゴンとの共存を目指すヒックを支え、共に冒険に挑む。

ストイック(Stoick)

Actor: ジェラルド・バトラー

他の作品:

ヒックの父であり、バーク島の長。ドラゴンとの戦いを重視している。

ゲップ

Actor: ニック・フロスト

バーク島の鍛冶屋。ストイックの友人で、ヒックにとっては鍛冶の師匠でもある。見習いバイキングのドラゴン訓練で教官をつとめる。

配給会社

あらすじ

映画「ヒックとドラゴン(原題:How to Train Your Dragon)」は2010年にドリームワークス・アニメーションがアニメーションを公開しまたたくまにドリームワークスのヒットシリーズとなった「ヒックとドラゴン」の初の実写化作品です。

ドリームワークス・アニメーションはシュレックやボス・ベイビーを手がけた信頼のスタジオが、果たしてアニメーション作品の魅力を実写で再現できるのか

原作情報と制作背景

本作の原作(小説)は、クレシッダ・コーウェルが2003年に発表した児童小説シリーズ「ヒックとドラゴン」にあります。作者がスコットランドの無人島で父親とサバイバル体験をした際に聞いたドラゴンの逸話が創作の源泉となった、まさに冒険と想像力が結晶化した作品です。この原作小説は12巻にわたる壮大なシリーズとして展開され、世界中で愛読されています。

ヒックとドラゴン(1) 伝説の怪物
タイトル
ヒックとドラゴン(1) 伝説の怪物
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この小説を調べると興味深いことに、2010年のアニメ版であり今回の実写化は原作小説を大幅にアレンジしており、特にヒックと女性キャラクターの関係性において大きな変化があります。それは原作では「カミカジ」(Camicazi)という金髪の女戦士が登場し、ヒックとは生涯にわたって親友関係を貫きます。彼女はボグ・バーグラー族(女戦士の部族)の後継者で、剣の達人でありながら脱出や盗みの名人でもある、ヒックとは正反対の衝動的なキャラクターです。原作でのヒックとカミカジの関係は、ほのかな想いを抱きながらも恋愛関係には発展せず、互いを高め合う友情で結ばれています。

一方でアニメ版では彼女は「アストリッド」として再創造され、アニメのしりーずが進むにつれヒックの恋人そして後に妻となる運命の相手へと変貌を遂げました。この変更により、物語はより成熟した恋愛要素を含む構成となり、友情から愛情への成長というドラマティックな軸が加わったのです。つまり、今回の実写版は「原作小説→アニメ版→実写版」という三重の変遷を経た、極めて複層的な映像化なのです。

アニメ「ヒックとドラゴン」の魅力

今回の実写はアニメ版である2010年に公開された「ヒックとドラゴン」を実写化した作品となっています。このアニメーションはアカデミー賞2部門およびゴールデングローブ賞にノミネートされた傑作として映画史に名を刻みました。そして今回、実写化を手がけたのは、アニメ版三部作すべてを監督したディーン・デュボア。興味深いのは、デュボア監督が当初実写化に否定的だったという点です。「原作のハートや魂を失うリスク」を心配していた彼が、最終的に「他人の手に委ねるなら自分でやるしかない」と名乗りを上げた経緯は、まさにクリエイター魂の現れと言えるでしょう。

またやはりトゥースのアートワークが魅力があるでしょう。小説のカバーのドラゴンからだいぶ変更されているのが特徴でしょう。これはドラゴンクエストで鳥山明氏のキャラクターデザインがこれまでのおそろしいドラゴンからどこか愛嬌があるドラゴンになったようです。

小説のカバー

2010年アニメ

実写化

映像美と演出の魅力

本作の最大の見どころは、間違いなくヒックとトゥース(ナイト・フューリー)による圧巻のドラゴンライド・シーンでしょう!スコットランドやフィンランドの雄大な自然を舞台に、アニメでは表現しきれなかった臨場感と浮遊感を実現しています。

そして特に印象的だったのは、ヒックが制作した操縦マニュアルが空中に飛ばされてしまい、メモではなくトゥースとの信頼関係と感覚のみで完璧なライドを成し遂げるシーンです!物語性を超えた純粋な映像体験として、観客の心を鷲掴みにする瞬間でした。海面から急上昇し、雲海を突き抜ける高度差の演出は、まさに「ジェットコースターのような感情の揺さぶり」を体感させてくれます。これはトップガン:マーベリックで戦闘機のシーンで空を飛んでいるような体験しているようでした。

そして序盤の閉鎖的で暗い色調から、ドラゴンとの出会いを経て徐々に色彩豊かな世界へと変化していく様子は、ヒックとトゥースの関係性やヒックと登場人物たちの心境の変化と完璧にシンクロしているようでした。

キャラクター描写と演技

本作で主人公を務めていたメイソン・テムズ演じるヒックは、原作の魅力を損なうことなく実写に落とし込まれていました。ヒックの臆病でありながら知恵と勇気で困難を乗り越える成長物語を、テムズは等身大の少年として自然に演じきっています。

そしてアストリッド役のニコ・パーカーについては、アニメ版の金髪キャラクターから巻き毛の女性への変更がありましたが、外見的な違いは全く問題になりません。むしろアニメ版のアストリッドそのものの強さと可愛らしさを併せ持つ魅力的なキャラクターに仕上がっています。人種的な配慮を超えて、キャラクターの本質的な魅力が見事に実写で再現されていることこそが重要でしょう。デュボア監督がキャスティングで重視したのは「似ていること」ではなく「作品を理解し愛していること」だったそうですが、その方針は見事に成功しています。

実写化へのストーリーと技術演出

本作は125分の上映時間であり、これは98分だったアニメ版から約30分延長されています。ただこの30分余計な要素は一切ありませんでした。むしろアニメ版に忠実でありながら、各キャラクターやトゥースとの関わりの描写をより深く掘り下げることに成功しています。

そしてヒックと父親との親子関係のテーマも、尺の延長によってさらに重層的に描かれた印象です。これまでのバイキングでありドラゴンはひたすら敵という固定観念にとらわれた父親と、自分の感覚を信じて行動する息子──この対比が最終的に和解に至る構造は、アニメ版の良さを保ちながら実写ならではの説得力を加えています。

また欠かせないのはCGIで描かれたドラゴンです。アニメ版の可愛らしさを残しつつ、より生命感のある登場人物として表現されていました。特にトゥースの表情や仕草は、実際の猫や犬をモデルにしたことで、ペットでもあり友達でもあるような親しみやすい魅力を獲得しています。

一方で、実写化特有の制約も感じられます。アニメーションだと目の動きが特に印象的で、アニメーションらしい柔らかい動きと誇張表現や演出の自由度は、どうしても現実的な制約を受けざる得ない印象はありました。しかしながら、デュボア監督はこの制約を逆手に取り、「実写ならではの映像体験」を追求することで新たな価値を生み出しており、実写として成功しておりとても魅力的でした。

まとめ:原作未視聴でも大満足の大冒険!

体感できる映像体験となっていました。子と父親との絆、ヒックとアスティの恋愛模様、これらは大人から子供まで楽しめる極上であり王道のエンターテインメント作品となっていました。アニメ原作だからといって原作を見なくても、バーク島の世界に入り込むことができます。

2027年6月には続編の公開も決定しており、新たな実写ドラゴン伝説の始まりを告げています。アニメ版が築いた世界観の素晴らしさを、現実の映像として体験ぜひ味わってみてはいかがでしょうか。

果たして「友情」は、長年の憎悪と偏見を乗り越えられるのでしょうか。そして私たちは、目の前にある「当たり前」を疑い、新しい可能性に心を開く勇気を持てるでしょうか──。スクリーンの向こうから問いかけられる普遍的なメッセージが、観終わった後も静かに心に響き続けることでしょう。

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