映画 スペイン
レック3 ジェネシス:結婚式が悪夢に変わる瞬間

Score 3

シリーズ第1作、第2作で確立されたファウンドフッテージスタイルから大胆に舵を切り、通常の映画的な撮影手法とコメディ要素を取り入れた異色作です。結婚式という華やかな舞台が一転して阿鼻叫喚の地獄絵図となる展開は衝撃的で、ウェディングドレス姿でチェーンソーを振り回すヒロインのビジュアルは強烈な印象を残します。前2作のような緊迫感や完成度には及びませんが、監督パコ・プラサの挑戦的な姿勢は評価に値します。ホラーファンであれば、シリーズの一篇として楽しめる作品です。

原題
REC 3: Genesis
公式サイト
https://www.facebook.com/Rec3GenesisRec3/

© 2011 REC GENESIS A.I.E. /Filmax 他

監督
登場人物
クララ

Actor: レティシア・ドレラ

結婚式を間近に控えた花嫁。披露宴会場で突然の感染と暴動に巻き込まれ、夫との再会を目指しながらゾンビ化した友人・家族と戦う。

コルド

Actor: ディエゴ・マルティン

クララの新郎。祝福の渦中から混乱の渦へと転落した結婚式という非日常において、生き延びるために覚悟を決める。

配給会社

ここがおすすめ!

  • 結婚式という幸福の絶頂から地獄への転落が衝撃的
  • ウェディングドレス×チェーンソーというヒロインの強烈なビジュアルインパクト
  • コメディとホラーの融合

あらすじ

幸せな結婚式を挙げるクララとコルドは、愛する家族や友人たちに囲まれて人生最良の日を迎えようとしていました。披露宴会場には笑顔が溢れ、ビデオカメラが幸せな瞬間を記録していきます。 しかし、その華やかな祝福の場は一瞬にして悪夢へと変貌します。新郎の叔父が突然凶暴化し、ゲストたちに次々と襲いかかったのです。実は叔父は第1作に登場した獣医で、感染した犬に噛まれていたのでした。

REC 3 ( Genesis ) : Rec 3 | Facebook

映画ホラー『REC レック3 ジェネシス』は、前2作からの大胆な路線変更となった映画です。第1作、第2作は、閉鎖されたアパートを舞台にしたファウンドフッテージスタイルのホラーでした。ところが本作では、冒頭こそホームビデオのファウンドフッテージで始まるものの、20分ほどで披露宴が始まりそこから通常の映画的撮影手法へと切り替わります。

この変化には賛否両論がありますが、新郎新婦が離ればなれになり、それぞれの視点で物語が進行する構造を描くには、この選択が必要だったのでしょう。

そして本作を特別なものにしているのが、結婚式という舞台設定です。人生で最も幸せな瞬間が一転して地獄絵図となるというギャップが強烈な印象を残します。愛する家族や友人がゾンビと化し、互いに襲い合う姿は、単なるホラー映画の恐怖を超えた痛みを感じさせます。特にクララが家族の一人と対峙するシーンは、彼女の表情に宿る苦悩が痛々しく、観る者の心を締め付けました。

披露宴会場という広い空間も、前2作とは異なる恐怖を生み出しています。開放的でありながら出口は封鎖され、どこに敵が潜んでいるか分からない不安感が漂います。結婚式という設定は、ゾンビホラー映画に新しい風を吹き込んだと言えるでしょう。

ウェディングドレス姿のヒロインと容赦ないゴア描写

映画ホラー『REC レック3 ジェネシス』は、ウェディングドレス姿でチェーンソーを振り回すヒロイン、クララの姿でしょう。レティシア・ドレラが演じるクララは、幸せいっぱいの新婦から生き残るために戦う戦士へと変貌します。白いウェディングドレスが血で染まっていく様子は、美しさと狂気が共存した忘れがたい映像です。

教会の地下で丸太に突き刺さったチェーンソーを引き抜く姿は、『死霊のはらわた』のアッシュを彷彿とさせます。ハイヒールでゾンビの目を突き刺すシーンなど、機転を利かせた戦い方も見せてくれる強いヒロイン像は、観客の共感を呼びます。ただし終盤で彼女が感染し、夫コルドと悲劇的な最期を迎える展開は救いがありませんが、これこそが本作の持つダークな魅力でもあります。

本作は前2作同様、容赦ないゴア描写が特徴です。CGIに頼りすぎず、特殊メイクや血糊などを使った古典的な手法が多用されているのか、2012年のCGIにはないリアリティのある恐怖を生み出しています。

ネタバレありの印象的なシーン

クララがチェーンソーでゾンビを切り裂くシーンや感染した腕を切断されるシーンは特に強烈でした。終盤のラストシーンも非常にダークです。感染したクララが愛する夫にキスをし、その舌を噛み切ってしまう。二人は抱き合ったまま銃で撃たれ、手を繋いだまま息絶えます。この救いのない結末は、あまりにも残酷で後味の悪さを残します。

また本作のサブタイトル「ジェネシス(起源)」が示す通り、シリーズ全体の謎に迫る要素も含まれています。聖書の朗読によってゾンビが静止するという設定が登場し、彼らが単なるウイルス感染者ではなく、悪霊や悪魔に憑依された存在であることが示されます。新郎の叔父が第1作で感染した犬に噛まれた獣医という設定は、シリーズファンにとって嬉しいサプライズでしょう。ただし神父による説明的なシーンは、前2作の謎めいた緊張感と比べるとやや説明過多に感じられました。

コメディとホラー、演出の課題と前2作との比較

映画ホラー『REC レック3 ジェネシス』の特徴の一つは、コメディ要素の導入です。スポンジ・ボブの着ぐるみを着た「スポンジ・ジョン」や、著作権問題をネタにしたメタ的なジョークなど、監督の遊び心が随所に感じられます。重苦しい雰囲気に息抜きを与えてくれる一方、ホラーの緊張感を削いでしまう面もあります。特に聖書の朗読でゾンビが静止するのに、補聴器をつけた祖父だけ動き続けるというギャグは、シリアスな場面での唐突な笑いとなってしまいました。『死霊のはらわた』や『ゾンビランド』のように笑いと恐怖を両立させた名作もありますが、本作は完全には成功していません。

演出と構成にも課題があります。物語の中盤ではテンポが悪く、冗長に感じる場面が続きます。披露宴会場の広大な敷地は前2作のような閉塞感がなく、「逃げられるかもしれない」という希望が極限状況の恐怖を薄めてしまっています。また、地下トンネルから脱出後に穴を塞がないなど、脚本の詰めの甘さも見られました。ただし、こうした粗は低予算ホラー映画にはつきものです。勢いとエンターテインメント性を楽しむ姿勢で観れば、十分に楽しめる作品でしょう。

前2作と比較すると、失われたものと得たものがあります。失われたのは、ファウンドフッテージスタイルがもたらした緊迫感と臨場感です。手持ちカメラの揺れ、限られた視界、突然現れる恐怖──前2作の没入感は、通常の撮影手法に移行したことで大きく損なわれました。一方で、新郎新婦が別々の場所で行動する様子を同時進行で描けるようになり、物語の展開はよりドラマチックになりました。ウェディングドレス姿でチェーンソーを振り回すという強烈なビジュアルも、通常の撮影だからこそ美しく映えています。

まとめ:挑戦と冒険の価値

スペイン映画ホラー『REC レック3 ジェネシス』は、シリーズの転換点となった作品といえるでしょう。前2作が築いた成功の方程式を捨て、新しい試みに挑戦したパコ・プラサ監督の勇気があります。

シリーズ1と2のファウンドフッテージスタイルからの転換、コメディとホラーの不安定なバランス、構成上の問題点は批判すべき点かもしれません。

しかし、映画作りにおいて「安全な道」だけを選ぶことが正解でしょうか。続編やシリーズ作品において、前作の成功を繰り返すだけでは、やがてマンネリ化してしまいます。新しいことに挑戦し、時には失敗することも、創作活動には必要なプロセスなのです。

『REC レック3 ジェネシス』は、結婚式という新しい舞台を設定し、コメディ要素を導入し、撮影スタイルを変更しました。正直なところその全てが成功したとは言えないかもしれません。しかしながらこの冒険心こそが映画の未来を切り開くのです。

ウェディングドレス姿でチェーンソーを振り回すクララの姿は、忘れがたいビジュアルとして観客の記憶に残るでしょう。結婚式が悪夢に変わる瞬間の衝撃も、ホラー映画史に刻まれる一コマとなるはずです。

前2作を愛するファンであれば、本作には物足りなさを感じるかもしれません。しかし、シリーズ全体の一篇として、そして新しい試みへの挑戦として観れば、『REC レック3 ジェネシス』には確かな価値があります。

各サイトのレビュースコア

『[REC]』シリーズ第3作『GENESIS』は、前2作が築いた極限の閉塞ホラーから大きく舵を切り、
スプラッター×ロマンティック・コメディ×ミュージカルという異例の混交を選んだ問題作だ。
シリーズの神話を拡張するというより、意図的に「破壊」する姿勢が、評価の分断を決定づけている。

プラットフォーム別評価傾向とスコア

IMDb(5.0 / 10)

国際ユーザー中心のIMDbでは平均的、やや低めの評価に落ち着いている。

  • 「前2作とは完全に別物」
  • 「コメディとしては楽しめるが、RECではない」
  • 「シリーズ未見なら成立するが、ファン向けではない」

シリーズ文脈を理解しているほど失望し、
単体作品として観ると評価が緩和される
という傾向が顕著だ。

Rotten Tomatoes

  • Critics:44 / 100
  • Audience:27 / 100

Rotten Tomatoesでは明確な低評価。
批評家はジャンル転換の意図は読み取るものの、「恐怖の緊張感を自ら放棄した構成」に否定的。
観客側はさらに厳しく、“RECに求めていたものが、そこに存在しない”という拒否反応がスコアに直結している。

Filmarks(2.9 / 5)

  • 「結婚式ホラーという発想は面白いが、怖くない」
  • 「ギャグとスプラッターのバランスが悪い」
  • 「前作までの世界観を期待すると裏切られる」

感情表現が率直なFilmarksでは、“シリーズ愛”がそのまま失望に変換されている印象だ。

映画.com(2.8 / 5)

  • 「RECの名を冠する必要があったのか」
  • 「テンポは良いが、恐怖演出が弱い」
  • 「ホラーというより悪趣味なコメディ」

日本のレビューでは特に辛口で、ブランド崩壊への違和感が強く語られている。

総合

[REC]3 GENESISは「シリーズのファン層」と「ジャンル実験」を同時に満足させることができなかった」典型例だ。

恐怖を削ぎ、笑いと祝祭へ向かった判断は、映画としては大胆だが、
ブランド作品としては致命的だった。

本ページの情報は 時点のものです。
各サイトの最新スコアは各々のサイトにてご確認ください。

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