映画
ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 “友情と勇気が紡ぐ壮大なる王の帰還”

Score 4.2

アカデミー賞史上最多タイ11部門受賞の快挙を成し遂げた、三部作完結編の金字塔 映画史に燦然と輝く不朽の名作が、ついにその幕を閉じました。『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』は、ファンタジー映画というジャンルの枠を遥かに超え、人間ドラマとしての深み、戦争映画としての迫力、そして叙事詩としての壮大さを見事に融合させた傑作です。 小さきホビットたちの勇気、流離の王の覚醒、老いた魔法使いの知恵、そして真の友情の力。これらすべてが織りなす物語は、観る者の心を揺さぶり、涙を誘い、そして希望を与えてくれます。スペシャル・エクステンデッド版で約4時間半という上映時間にもかかわらず、一瞬たりとも退屈させることのない、まさに「映画の魔法」がここにあります。

原題
The Lord of the Rings: The Return of the King
公式サイト
https://www.warnerbros.com/movies/lord-rings-fellowship-ring

© 2003 New Line Cinema, Inc. All Rights Reserved.

監督
登場人物
フロド・バギンズ

Actor: イライジャ・ウッド

他の作品:

指輪を滅ぼす使命を背負ったホビット

ガンダルフ

Actor: イアン・マッケラン

他の作品:

闇と戦う賢者、導き手

アラゴルン

Actor: ヴィゴ・モーテンセン

他の作品:

王として覚醒する人間の戦士

サム

Actor: ショーン・アスティン

他の作品:

フロドを支える忠実な友

レゴラス

Actor: オーランド・ブルーム

他の作品:

エルフの弓の名手

ギムリ

Actor: ジョン・リス=デイヴィス

他の作品:

ドワーフ族の戦士。屈強な肉体とその怪力を生かした斧を使う戦闘を得意とする。

セオデン

Actor: バーナード・ヒル

他の作品:

屈強な騎馬隊を有する国、ローハンの王。本来は誇り高き王だが、サルマンの魔力の影響で衰弱している。

エオウィン

Actor: ミランダ・オットー

他の作品:

セオデンの姪にして、エオメルの妹。

エオメル

Actor: カール・アーバン

セオデンの甥にして、ローハンの騎士をまとめる騎馬隊の隊長を務める。

ファラミア

Actor: デビッド・ウェナム

他の作品:

フロドらの旅の仲間であったボロミアの弟で、イシリアンの兵隊長。

ゴラム(モーションアクター)

Actor: アンディ・サーキス

他の作品:

“一つの指輪”の力に魅了され、異常な長命を得た生き物。元はホビットの仲間で、本来の名前は「スメアゴル(Sméagol)」。

配給会社

ここがおすすめ!

  • アカデミー賞11部門受賞の圧倒的完成度
  • フロドとサムの絆 困難を乗り越える真の友情の描写
  • アラゴルンの王としての覚醒 流離の王が真の王へと成長する姿
  • エクステンデッド版の充実した追加シーン サルマンとの決着など重要場面を収録

あらすじ

エルム峡谷の戦いで辛くも勝利を収めたローハン軍。流離の王アラゴルン、エルフの射手レゴラス、ドワーフの戦士ギムリ、そして白のガンダルフは、ローハン王セオデンと共にゴンドールの王都ミナス・ティリスへ向かいます。 一方、メリーとピピンは森の民エントの力を借りて魔法使いサルマンの拠点アイゼンガルドを攻略し、アラゴルン一行と合流を果たします。 モルドールに足を踏み入れたフロドとサムは、道案内のゴラムに裏切られ、絶体絶命の窮地に陥ります。その頃、冥王サウロンはゴンドールの王都ミナス・ティリス目がけて、全軍を結集させていました。 一つの指輪を巡る壮大な冒険は、ついに最終局面を迎えます。果たして、小さきホビットたちは指輪を破壊し、中つ国に平和をもたらすことができるのでしょうか。

ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 | ワーナー・ブラザース公式サイト

映画『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』は、J.R.R.トールキンの不朽の名作『指輪物語』を原作とする三部作の完結編です。前作『旅の仲間』『二つの塔』で積み上げてきた壮大な物語が、ついにクライマックスを迎えたのです。

本作は、アカデミー賞11部門受賞という快挙です。作品賞、監督賞、脚色賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイクアップ賞、作曲賞、歌曲賞、視覚効果賞、音響効果賞などとノミネートされた全部門での受賞は、『ベン・ハー』(1959年)、『タイタニック』(1997年)と並ぶ史上最多タイの記録です。

特に重要なのは、ファンタジー映画として初めてアカデミー作品賞を受賞したという点です。それまでファンタジーやSF作品は、どれほど優れていても「娯楽作品」として扱われ、作品賞の栄誉には恵まれませんでした。本作は、その壁を打ち破り、ファンタジー映画もまた芸術作品として評価されるべきだという新しい時代を切り開いたのです。

トールキンの世界を映像化した情熱と挑戦

複数視点が織りなす群像劇の構成美

映画『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』は、複数の視点を並行して描く群像劇の形式を取っています。フロドとサムの旅、アラゴルンたちの戦い、ピピンとメリーの成長の視点が同時進行で描かれ、クライマックスで一つに収束していく構成は見事でした。

しかし、欲を言えば、フロドとサムの旅の部分が若干飛び飛びに感じられる箇所がありました。特に滅びの山へ向かう終盤は、製作時間の都合なのか、やや駆け足気味に感じられます。それでも、これ以上長くすると冗長になってしまうため、現在の形がギリギリのバランスだったのかもしれません。

約4時間半という長大な上映時間も、一瞬たりとも退屈させない濃密な内容で満たされています。スペシャル・エクステンデッド版では、三部作合わせると約半日という長さになりますが、劇場で観た際には誰一人として席を立たず、エンドロールまで見守っていたという印象的な光景が記憶に残っています。

長いエンディングに込められた深い余韻

本作を語る上で避けて通れないのが、その長いエンディングです。指輪を滅びの山の火口に投下され破壊され、サウロンが滅びた後も、映画はまだ30分以上続くのです。

アラゴルンの戴冠式、ホビットたちのシャイアへの帰郷、サムの結婚、そしてフロドの旅立ち。これらすべてが丁寧に描かれます。私はこの長いエンディングこそが、本作の真髄だと考えています。

なぜなら、本作は単なる冒険活劇ではなく、登場人物たちの人生そのものを描いた物語だからです。彼らが冒険を終えた後、どのような人生を歩むのかを丁寧に描くことで、物語に深い余韻が生まれます。

特に感動的なのは、フロドが灰色港からエルフたちと共に旅立つシーンです。指輪を運んだ重荷は、彼の心と体に深い傷を残しました。もはや平穏な日常には戻れない彼は、不死の国へと旅立つことを選びます。サム、メリー、ピピンとの別れは、涙なしには観られません。

「さよならは言わない」というフロドの言葉と、サムの涙は、友情の深さと別れの哀しみが凝縮されています。そして、サムがシャイアに戻り、妻と子供たちと共に穏やかな日々を過ごす姿で物語は幕を閉じます。「ただいま」というサムの言葉が、長い冒険の終わりと、新しい人生の始まりを象徴しているのです。

トールキンの膨大な世界観を映像化する挑戦

J.R.R.トールキンの原作『指輪物語』は、膨大な設定と詳細な世界観で知られる作品です。トールキンは本編だけでなく、『シルマリルの物語』や追補編まで執筆し、中つ国の歴史、言語、文化を緻密に作り上げました。この壮大な文学世界を映像化するという挑戦は、まさに映画史上類を見ない芸術的な冒険でした。

ピーター・ジャクソン監督と製作陣が直面したのは、膨大な原作をどこまで忠実に再現するか、そしてどこを映画的に脚色するかという、極めて難しい選択の連続でした。原作ファンの期待を裏切らず、かつ初見の観客にも理解できる作品を作るとこの二つの要求を両立させることは、並大抵の努力では成し遂げられないのではなかったでしょうか。

ニュージーランドの壮大な自然を舞台に、約18ヶ月にわたる撮影が敢行され、三部作すべてを一度に撮影するという前代未聞のプロジェクトは、製作陣の情熱と献身的な努力なくしては実現不可能だったでしょう。

VFXチームの創造的なエネルギーも素晴らしいものでした。当時の技術水準を遥かに超える映像表現に挑み、ゴラムのモーションキャプチャー技術は後の映画製作に革命をもたらしました。美術チームは中つ国の各地を具現化するため、細部に至るまでこだわり抜いたセットを作り上げました。衣装デザイナーは、それぞれの種族や文化を反映した衣装を数千着も制作しました。

ハワード・ショアの音楽も、この壮大なプロジェクトに欠かせない要素でした。三部作を通じて一貫したテーマを持ちながら、各場面に相応しい楽曲を作曲し続ける作業は、まさに芸術的な創造の連続だったのです。

このように、『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』は、監督、俳優、脚本家、VFXアーティスト、美術スタッフ、音楽家の才能が一つになり、トールキンが創造した世界を見事に映像化した、映画史に残る偉業なのです。

この結末は、できればこうであってほしいという願いを込めて「その後、フロド・バギンズはこの世を去るまで幸せに暮らした」。そう信じたくなる、温かく、切なく、そして希望に満ちた余韻が、本作には確かに存在しています。

圧倒的スケールの戦闘シーン

『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』の映像面での最大の見せ場は、何と言っても二つの大規模戦闘シーンです。前作『二つの塔』のヘルム峡谷の戦いも壮絶でしたが、本作はさらにそれを上回る迫力で観る者を圧倒します。

絶望と希望が交錯する死闘が繰り広げられるミナス・ティリスの戦い

ゴンドールの王都ミナス・ティリスを舞台にした戦闘シーンは、映画史に残る壮絶な描写です。白亜の美しい都市が、モルドールの大軍勢によって包囲される光景は、まさに絶望そのもの。ナズグルが空から襲いかかり、巨大な攻城兵器が門を破壊し、オークの大軍が次々と城壁を越えていきます。

AIで作成したイメージ画像

特に印象的なのは、サウロンの軍勢が使う巨大な象のような生物「ムマキル」の迫力です。その巨体で城壁を破壊し、兵士たちを蹴散らす姿は、観ていて息を呑むほどの恐怖を感じさせます。一方で、セオデン王率いるローハン軍の騎馬隊が、朝日を背に丘の上から現れ、突撃していくシーンは、絶望の中に差し込む一筋の光のような感動を呼び起こします。

セオデン王の演説シーンも忘れられません。「死を恐れず、剣を掲げよ!」と叫び、兵士たちを鼓舞する姿は、前作では弱々しかった老王の見事な変貌を示しています。この戦闘シーンでは、ピーター・ジャクソン監督の演出力が遺憾なく発揮されており、大規模なCGと実写の融合、緻密なカメラワーク、そして壮大な音楽が一体となって、観る者を戦場の真っ只中に引き込みます。

最後の希望を懸けた決死の黒門の戦い

最終決戦であるモルドールの黒門での戦いは、ミナス・ティリスとはまた異なる緊張感に満ちています。この戦いの目的は勝利ではありません。フロドが指輪を破壊するまでの時間を稼ぐための、命を懸けた陽動作戦です。

王としてのアラゴルンの演説シーンは、本作屈指の名場面です。この言葉に鼓舞されメリーとピピンが一番に駆け出しそして仲間たちが、圧倒的な数のオークの大軍に立ち向かう姿は、勇気と友情の究極の形を示しています。


フロドとサムの絆──小さき者が担う、世界を救う重荷

『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』において、最も心を打たれるのは、フロドとサムの関係性の深化です。前作『二つの塔』から続く二人の旅路は、本作でついに終局を迎えます。

指輪の重圧に苦しむフロド

イライジャ・ウッドが演じるフロドは、本作で最も過酷な試練に直面します。指輪の重みは物理的なものだけでなく、精神的な圧迫として彼を蝕んでいきます。目の下には隈ができ、顔色は青ざめ、まるで生気を失った幽鬼のような姿に変貌していく様子は、観ていて痛々しいほどです。

特に印象的なのは、ゴラムの策略によってサムを追い払ってしまうシーンです。最も信頼すべき親友を疑い、遠ざけてしまう。指輪の魔力がいかに恐ろしいものかを、この場面ほど雄弁に語るシーンはありません。観ている側としては「フロド、そうじゃない!サムを信じろ!」と叫びたくなるのですが、それができないフロドの姿に、指輪の呪いの深さを実感させられます。

サムの献身的な友情

ショーン・アスティンが演じるサムワイズ・ギャムジーは、本作で最も輝くキャラクターです。三部作を通じて、彼は常にフロドの傍らにいましたが、本作では彼の真価が遺憾なく発揮されます。

フロドに遠ざけられ、一人ぼっちになっても、サムは諦めません。フロドが巨大蜘蛛シェロブに襲われたと知ると、勇敢に立ち向かい、友を救い出します。そして何より感動的なのは、もはや歩くこともできなくなったフロドを背負い、滅びの山を登っていくシーンです。

指輪は運べないが、あなたは運べる」このセリフには、友情の本質が込められています。サムは指輪の重荷を代わりに背負うことはできません。しかし、その重荷を背負う友を、自らの背に乗せて運ぶことはできるのです。この献身的な愛と友情の描写に、涙を流さずにはいられません。

本作においてサムは、大きな剣を振るう戦士でもなければ、魔法を使う魔法使いでもありません。しかし、彼の持つ「諦めない心」と「友への愛」こそが、世界を救う最大の力となったのです。アカデミー賞の助演男優賞にノミネートされたのも頷ける、素晴らしい演技でした。

アラゴルンの王として流離の王から真の王へ

ヴィゴ・モーテンセンが演じるアラゴルンは、三部作を通じて最も大きな成長を遂げるキャラクターの一人です。『旅の仲間』では自らの血統を忌み嫌い、王位を拒んでいた彼が、本作では真の王としての器を示します。

恐怖を乗り越える覚悟

アラゴルンが死者の軍勢を従える場面は、彼の成長を象徴する重要なシーンです。「死を恐れぬ」と宣言し、暗闇の山へと入っていく彼の姿は、もはや迷いのない、確固たる意志を持つ王の姿です。レゴラスとギムリが躊躇する中、一人毅然として進むアラゴルンのマントが風になびく様は、視覚的にも印象深い演出でした。

真の王としてのリーダーシップ

前述の黒門での演説シーンは、アラゴルンが真の王となった瞬間を示す名場面です。圧倒的に不利な状況でも、仲間を鼓舞し、希望を示す──これこそが王に求められる資質です。

彼は大軍を率いる将軍ではなく、少数の仲間と共に絶望的な戦いに挑む一人の戦士として描かれます。しかし、その姿こそが真のリーダーシップであり、王の器を示しているのです。サウロンの誘惑を退け、「フロドのために」と叫んで突撃する姿には、私利私欲のない純粋な勇気と友情が表れています。

アルウェンとの愛──王冠よりも大切なもの

アラゴルンとエルフの姫アルウェンの恋愛要素も、本作では重要な位置を占めています。不死のエルフであるアルウェンが、アラゴルンのために不死を捨てるという決断は、愛の深さを物語っています。

戴冠式の後、再会した二人が抱き合うシーンは、長い苦難の旅を経た二人にふさわしい、感動的な結末です。王冠を戴くよりも、愛する人と共にいることを選んだアラゴルンの姿は、人間としての温かみを感じさせます。

無能な執政デネソールの対照的に際立つアラゴルンの器

一方で、本作には明確な「反面教師」としてのキャラクターも登場します。それがゴンドールの執政デネソールです。ジョン・ノーブルが演じるこの人物は、終始無能なムーブメントを繰り返し、観る者をイライラさせます。

次男ファラミアを蔑み、長男ボロミアばかりを偏愛するデネソール。オスギリアスの奪還という無謀な作戦をファラミアに命じ、結果として彼を瀕死の重傷に追いやります。そして、ファラミアが死んだと思い込むと、絶望のあまり自ら火に身を投じて死んでしまうのです。

この無能な執政の姿は、アラゴルンの王としての器を対照的に際立たせる役割を果たしています。同じ指導者でありながら、一方は私情に囚われ判断を誤り、もう一方は冷静に状況を見極め、最善の選択をする──このコントラストが、アラゴルンの真の王としての資質を浮き彫りにしているようでした。

エクステンデッド版で補完される重要シーン

『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』には、劇場版とスペシャル・エクステンデッド版の二つのバージョンが存在します。劇場版の上映時間は約3時間21分ですが、エクステンデッド版は約4時間23分と、1時間以上も長くなっています。ただ非常に重要なシーンがあります。


サルマンとの決着

エクステンデッド版で追加された最も重要なシーンが、サルマンとの決着です。劇場版では、前作『二つの塔』でアイゼンガルドが陥落した後、サルマンがどうなったのか全く触れられていません。エクステンデッド版では、ガンダルフ一行がアイゼンガルドに到着し、サルマンと対峙する場面が追加されています。

ガンダルフとサルマンの言葉のやり取りは、両者の魔法使いとしての格の違いを示す重要なシーンです。ガンダルフがサルマンの杖を破壊し、彼の力を奪う場面は、視覚的にも印象的でした。そして、サルマンの忠実な下僕グリマ・ワームタンが、長年の虐げに耐えかね、ついに主を刺し殺すという結末は、裏切りの連鎖を象徴する皮肉な場面です。

この重要なシーンが劇場版でカットされたのは、上映時間の都合もあったのでしょうが、ファンとしては非常に残念に思える判断でした。エクステンデッド版でこそ、物語の完全な形を楽しむことができます。

削除された恐怖のサウロンの口

もう一つの重要な追加シーンが、「サウロンの口」との遭遇です。黒門の前でアラゴルン一行と交渉に現れるこの使者は、巨大な口と醜悪な姿を持つ、サウロンの代弁者です。

彼はフロドのミスリルの鎖帷子を見せつけ、「お前たちの友は捕らえられ、苦しみながら死んだ」と告げます。この瞬間、ホビットたちは絶望し、涙を流します。しかし、ガンダルフは冷静に「黙れ」と一喝し、アラゴルンはこの使者の首を斬り落とします。

この場面は、仲間の死を知らされた後も、決して諦めずに戦い続ける決意を示す重要なシーンです。劇場版ではカットされましたが、エクステンデッド版では物語に深みを加える素晴らしい追加要素となっています。

善と悪の狭間で揺れる哀れな存在であるゴラムの悲劇

アンディ・サーキスがモーションキャプチャーで演じるゴラムは、本作でも重要な役割を果たします。冒頭では、彼がまだスメアゴルと呼ばれていた頃、指輪を手に入れた瞬間の回想シーンが描かれます。

友人デアゴルを殺してまで指輪を奪い、その後長い年月をかけて醜いゴラムへと変貌していく過程は、指輪の呪いの恐ろしさを如実に物語っています。この冒頭のシーンは、本作のダークなトーンを象徴する重要な導入部となっています。

本作でのゴラムは、フロドとサムを裏切り、巨大蜘蛛シェロブの巣へと誘い込みます。しかし、彼の行動は単なる悪意だけでなく、指輪への執着という哀れな依存症の表れでもあります。最後に指輪を手に入れた瞬間の彼の喜びようは、まるで薬物中毒者が久しぶりに薬を手にしたかのような、痛々しいものでした。

そして、指輪を抱きしめたまま溶岩の中に落ちていくゴラム。彼の最期は、哀れであると同時に、指輪の呪いから解放された安らぎの瞬間でもあったのかもしれません。皮肉にも、ゴラムの死によって指輪は破壊され、世界は救われたのです。

音楽と映像美──ハワード・ショアの壮大な楽曲

『ロード・オブ・ザ・リング』三部作の音楽を手がけたハワード・ショアの功績は、いくら讃えても讃え足りません。本作でも、彼の作曲した壮大なオーケストラ音楽が、物語を大いに盛り上げています。

特に印象的なのは、ローハン軍が突撃する場面で流れる勇壮な音楽、フロドとサムが滅びの山を登る場面の緊迫感あふれる曲、そしてエンディングの感動的なテーマ曲です。アニー・レノックスが歌う主題歌「イントゥ・ザ・ウエスト」は、アカデミー歌曲賞を受賞し、物語の余韻を美しく彩ります。

映像美についても、特筆すべき点が多々あります。ニュージーランドの壮大な自然を背景に撮影された本作は、まさに「中つ国」そのものを映像化したかのような美しさです。ミナス・ティリスの白亜の都市、モルドールの荒涼とした大地、そして滅びの山の溶岩──すべてが圧倒的なスケールで描かれています。

CGIと実写の融合も見事で、当時の技術水準を考えれば驚異的な完成度です。特にゴラムのモーションキャプチャー技術は、後の映画制作に大きな影響を与えました。

まとめ:友情と勇気が紡ぐ、永遠に語り継がれる物語

映画『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』は、単なるファンタジー映画の枠を超えた、映画史に残る不朽の名作です。壮大な物語、圧倒的な映像美、心を揺さぶる人間ドラマが見事に融合し、観る者に深い感動と余韻を残します。

小さきホビットたちが見せた勇気、流離の王が辿り着いた真の王座、老いた魔法使いの知恵、そして何よりも、困難を乗り越える友情の力。これらのテーマは、時代を超えて人々の心に響き続けるでしょう。

アカデミー賞11部門受賞という快挙は、本作がただの娯楽映画ではなく、芸術作品としても高く評価されたことの証です。ファンタジー映画がアカデミー作品賞を受賞したという事実は、映画史における大きな転換点となりました。

「その後、フロド・バギンズはこの世を去るまで幸せに暮らした」そう信じたくなる、温かく、切なく、そして希望に満ちた結末。『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』は、観終わった後も心の中で生き続ける、永遠の物語です。

この傑作をまだご覧になっていない方は、ぜひ時間を作って、できればスペシャル・エクステンデッド版で、じっくりとご鑑賞ください。中つ国の壮大な冒険が、きっとあなたの心を揺さぶり、人生に新たな視点をもたらしてくれるはずです

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