軽妙なギャグと愛情深さを感じる – 東京ゴッドファーザーズ

4週間 ago

4.5

亡くなられた今 敏監督の作品。パプリカ、千年女優がとてもおもしろかったので鑑賞。いや~負けづ劣らずの作品です。

原題
Tokyo Godfathers
公式サイト
https://www.sonypictures.jp/he/774151
監督
登場人物
ギン

Actor: 江守徹

自称、元競輪選手のホームレス(本当は自転車屋の親父)。

ハナ

Actor: 梅垣義明

元ドラァグクイーンのオカマのホームレス。

ミユキ

Actor: 岡本綾

家出少女の高校生。

配給会社
制作会社

ここがおすすめ!

  • ギンちゃん役の江守徹さんの演技が最高!
  • 格差社会をホームレスの視点から見る日常
  • 一癖も二癖もある登場人物たちが悪い人間にはなりきれない切なさ

あらすじ

ギンちゃん、ハナちゃん、ミユキ-。新宿で暮らすホームレス3人組の前に、意外なクリスマス・プレゼントがやってきた。ゴミの山の中で生まれたばかりの赤ちゃんを発見したのだ。勝手に“清子”と命名し、ゴッドファーザー(名づけ親)となった3人は、雪ふる街を、親を探してさまよい歩く。ウラ東京で、人生を生き抜くホームレスたちが、急転する「運命」の中で出遭う<奇跡>とは。

ソニー・ピクチャーズ公式サイト

ホームレスとなった3人が赤ん坊を助けるため、テンポのいい展開と軽妙なギャグで笑いを誘い、構えることなく娯楽作品としても観ることができ。さらに登場人物の心理描写も見事です。

お話はフィクションのご都合主義の乱発かと思いきや、実は最後までしっかり伏線が張られた「意味のある偶然の連続」が物語を織りなしていて、クライマックスしっかりと回収され感無量といった感じです。

今敏監督が描く、東京の片隅で咲く奇跡

アニメ界の巨匠である押井学に師事し、「千年女優」や「PERFECT BLUE」などの名作を遺した今敏監督の作品です。

本作は冒頭からホームレスが生活する都庁が見える新宿中央公園や赤ちゃんを抱いて走った際に見える東京タワーなど、2003年公開当時の雰囲気はまだ昭和の面影が残る懐かしい雰囲気です。

実際の場所と瓜二つな描き方をする見せ方は、新海誠監督の作品にも共通するやり方です。今敏監督は、アニメの聖地巡礼が流行するずっと前に、こうした手法を取り入れていました。ホームレスから見た東京の街並みは少し違った見方をします。

AIで作成したイメージ画像

しかし”ホームレスもここにいるしかないんだ”、という諦めの心境を絵を通して描かれています。ホームレスのギンちゃん役に名優江守徹を迎えて、アニメ声優ながら迫真の演技を見せています。子供が欲しいオカマのハナちゃん、家出少女のミユキと捨て子の清子を抱いて、子供の親を探す旅に出発します。

その道中で出会う様々な人たちはホームレスでなくても、何かしらの問題を抱えながら東京の日々を必死に生きている人ばかりです。そんな人たちの協力を得ながら、清子を捨てた親を探すのは、ロードムービーの真骨頂といえます。

そんな一筋縄に行かないが、日々に揉まれて雑草のように強いホームレスと、ゆかりの人物たちとの触れ合いは、そんな一筋縄に行かないが、日々に揉まれて雑草のように強いホームレスと、ゆかりの人物たちとの触れ合いは、同じようなロードムービーとして2022年公開の新海誠監督の「すずめの戸締り」にもにた印象を受けました。

言葉を超えたコミュニケーションと共感

東京ゴッドファーザーズは、海外での評価も高く、その後に大ヒットする日本アニメの原型ともいえる作品です。

筆者の印象に残ったシーンとしては、ミユキがギンちゃんたちとはぐれた際に出会った南米から来た女性でした。おそらく不法滞在と思われる女性が清子にミルクをあげたり、訳ありと思われるミユキと清子に優しく接します。

女性はスペイン語と少しの英語しかわからないのですが、ミユキが家出した過去のことを思い出し、悲しそうな表情をすると、女性が慰めるシーンは、言葉が通じなくても痛みは分かち合えるのだ、と思えるとてもいいシーンです。

ギンちゃんもハナちゃんも共にホームレスですが、いろいろなわけがあって現在の生活をしています。むしろ悪人ではないからこそ、今ホームレスをしているといえるような過去を持っています。

ミユキも家出の原因も家族に自分がやってしまったことを後悔してホームレスになっているというもので、3人とも自分のしてしまったことを悔やむ形でホームレスになっているというものでした。

それぞれの関係のある人に、旅の途中で会っていくのですが、皆口々にもう済んだことだと言って、元の場所に戻ってくるよう促します。

ホームレスになったことは罪の意識により、この生活になってしまっているというところに切なさを感じます。そんなことは気にせずにふてぶてしく日常を送っている人は多い中、この三人はとても繊細です。そんな旅の道中は、偶然と奇跡の再会の連続です。これはご都合主義といえばその通りです。

しかしながら映画の中で旅を一緒にしていく中で、3人の人間模様がわかってくると、なんとか幸せな結末になってほしい、という気持ちがわいてきます。

涙と感動!忘れられない家族の物語!不朽の名作の感動

作品の中でギンちゃんの話を聞いていると離婚して生き別れた娘が、ハナちゃんが倒れて運ばれた病院で看護師として働いていたと聞いて、最初は「なんて都合のいい展開だろう」と思ってしまいました。しかし、話を進んでいくうちにギンちゃんの人柄を知っているうちに、「やっと会えたんだね」と感じるようになってきました。

これも今敏監督が成せる演出力と声優陣の演技力だと思います。今敏監督は、2010年にすい臓がんにより46歳という若さでこの世を去りました。生きていればおそらく新海誠監督や細田守監督など日本を代表するアニメ映画の若手監督として肩を並べていたことは間違いありません。

東京ゴッドファーザーズは、そんな栄誉をたたえて、舞台化されるなどリメイクされていて、今なお多くの人たちに愛される作品となっています。

いろいろな理由で日の当たる道を外れてしまった人たちでも、東京で生きていくことには苦労が絶えないながらも、それでも支えあって生きていこう、という優しい気持ちになる作品です。そんな本作は前編を通して悲壮感は全くなく、とにかく包み込むような優しい雰囲気が鑑賞していて気分がとてもよくなります。

家族をテーマに、ホームレスとして知り合った3人が父親と母親、娘のような感じでになっていくのは微笑ましくも、切ないながらも、たくましく生きている強さも感じます。でも、本当会いたい家族や恩人には3人とも会いたいけど、顔を合わせられないもどかしさも、また粋な演出です。

家族の暖かさ、絆の大切さをあらためて諭してくれる作品です。ぜひ家族みんなと一緒に見てほしいです。

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