フランス民話の「美女と野獣」をディズニーが初の実写映画化。実写映画自体は他にもあります。ただディズニーアニメーションの代表作によく挙がる「美女と野獣」。これをディズニーが実写映画するということで力をいれている感じがすごくしました。
- 原題
- Beauty and the Beast
- 公式サイト
- https://www.disney.co.jp/movie/beautyandbeast
- 監督
- 登場人物
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- ベル
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Actor: エマ・ワトソン
ヒロイン。飛び切りの美人で、読書と空想が大好き。父親思い。村人たちからは変わり者だと思われている。より広い世界を見たいと思っている。
- 野獣
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Actor: ダン・スティーヴンス
王子。魔女の呪いのせいで醜い野獣の姿に変えられてしまった。幼少期は冷酷な父により虐待を受けていた。
- ガストン
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Actor: ルーク・エヴァンス
ヴィラン。村の英雄で人気者。ナルシスト。美人なベルに求婚するも、断られたことに納得がいかない。
- ル・フウ
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Actor: ジョシュ・ギャッド
ガストンの相棒。力強くて男らしいガストンに心酔している。しかし、だんだんと彼の粗暴な一面を見て、心境が変化していく。
- ルミエール(燭台)
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Actor: ユアン・マクレガー
野獣の城の給仕頭。気障な性格。魔女が野獣にかけた呪いのせいで、燭台へと姿を変えられてしまった。
- ポット夫人(ティーポット)
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Actor: エマ・トンプソン
野獣の城のメイド頭。優しく面倒見がよい。魔女が野獣にかけた呪いのせいで、ティーポットへと姿を変えられてしまった。息子のチップも同じ呪いでティーカップへと変えられてしまっている。
- 配給会社
ここがおすすめ!
- 現代に蘇る不朽の名作
- より現実的で説得力のある物語
- 現代で意義のある語り直し
あらすじ
ディズニー・アニメーション不朽の名作『美女と野獣』がついに実写映画化。魔女の呪いによって野獣の姿に変えられてしまった美しい王子。呪いを解く鍵は、魔法のバラの花びらが全て散る前に誰かを心から愛し、そして愛されること―。だが野獣の姿になった彼を愛するものなどいるはずがなく、独り心を閉ざし本当の自分を見失っていく。そんな絶望な日々に光を与えたのは、心に孤独を抱えながらも、自分の輝きを信じて生きる、聡明で美しい女性、ベル。このふたりの出会いがお互いの運命を次第に変えていく。
公式ウェブサイト
1991年に公開され、手描きのアニメーションとして傑作のアニメーションとして語られ、キャラクターたちの表情や動きがとても豊かで現在でも不朽の名作として語り継がれるアニメーション映画『美女と野獣』です。フランスの民話を下敷きとした本作は、美しい音楽と描写で人々を魅了し、アニメーション作品としては異例のアカデミー賞作品賞にノミネートするなど、公開当時から非常に高い評価を得ています。そんな『美女と野獣』が、2017年に実写版として新たに生まれ変わりました。それが今回執筆しました「美女と野獣」になります。
アニメーションとして史上初のアカデミー賞(R)最優秀オリジナル作曲賞、最優秀主題歌賞を受賞しました。
美女と野獣とは
「美女と野獣」(仏: La Belle et la Bête)は、フランスの異類婚姻譚で、1740年にガブリエル=シュザンヌ・ド・ヴィルヌーヴによって最初に書かれました。この物語は、心優しい娘が魔法で醜い怪物に変えられた王子を救うというストーリーで、中部ヨーロッパを中心に広く語り継がれている異類婿の話の一つです。そしてジャンヌ=マリー・ルプランス・ド・ボーモンによって1756年に短縮され、多くの人々に知られるようになりました。
不朽の名作が現代に新たによみがえる
映画『美女と野獣』をリメイクする、というのはとても勇気のいる決断だったのではないでしょうか。アニメ版が大好評だったので、プレッシャーも大きかったと思います。アニメ版と差をつけるため、当初はストレートプレイとしての製作も考えられていたそうですが、ビル・コンドン監督のミュージカル作品としての実写化への強い思いから、ミュージカル作品としての製作に至ったようです。
日本では歴来ミュージカル映画で124億円と2017年に興行収入トップとなり人気を見せつけました。この実写映画以前に本作はミュージカル版が世界中の劇場で上演されており、それらが大人気を博していることからも、本作のミュージカルとしての人気の高さが窺えます。そして本作を彩る音楽を担当しているのが、ディズニー映画には欠かせないアラン・メンケンです。実写映画で見返すと、改めて音楽のすばらしさに圧倒されます。冒頭での舞台設定の説明や、メインキャラクターの紹介が歌に凝縮されていて、ミュージカルとして非常に優れていることも分かります。特に本作の舞台である18世紀の文化や価値観を巧みに示す手法には舌を巻きました。
さらには世界観を支える美術と衣装も圧巻です。特にポスターにも採用されている、本作中盤でポット夫人が歌う「美女と野獣」に合わせて踊るシーンでベルが来ている黄色いドレスは素晴らしく、素材感や刺繍、踊りに合わせて揺れる雰囲気も含めてすべてが芸術品だと感じました。
ブラッシュアップされた本編
アニメ『美女と野獣(1991)』は傑作ではありますが、クライマックスの重要な展開が気になってしまいました。それはベルとその父親のモーリスが地下に閉じ込められてしまった際に、チップがモーリスの発明品を使ってうまいこと2人を助け出しますが、このシーンはファンタジーの世界観であっても二人の流れが非現実的でとっぴな展開でありました。またそれ以外にも町の人々が城の存在を忘れてしまったのはなぜか?、などといった時系列にも現実的に考えるとおかしな点が複数存在していました。そして映像的に前のシーンと次のシーンのつじつまが合わない場面も複数存在し、人気作だからこそ多くの指摘がなされていました。
実写版となる本作では、それらの矛盾の多くが改善されていました。最初に指摘したクライマックスの場面も、荷台に閉じ込められたベルトモーリスは、ベルが機転を利かせることで逃げ出すことに成功していますし、この機転につながる場面も象徴的に描かれていたため、物語が矛盾するどころかメッセージがより強まっていたと思います。時系列についても、細かく設定が追加されていたため、それまで疑問に思われてきていた点の多くが解決していました。また映像的な細かなミスについても、指摘されていた点は大方改善されていました。このように、ミスの修正や物語展開の現実性のある改善、不足していた物語背景の補強などといった調整を施すことで、ブラッシュアップされてより説得力のました作品へと昇華されているように感じます。
現代に『美女と野獣』を作り直す意義
映画『美女と野獣』をあえて現在に作り直すのであれば、時代にふさわしい意義を明示しないといけません。本作ではその意義の提示が見事にできていたと感じます。もともとアニメ版の『美女と野獣』には『リトル・マーメイド』をはじめとする他のディズニー作品でのヒロイン像の描かれ方が性差別的だ、という批判を受け、フェミニストなヒロインを描くことを目標に製作された背景があります。しかし、原作以上に野獣を粗野に描き、そんな彼と幸せになるベルというヒロイン像はDVを助長する可能性があると考えられたり、結局は父親のために自分を犠牲にするヒロインのままだったり、などと、批判を多く受けました。
実写版『美女と野獣』ではこれらの批判に答えると同時に、新たにフェミニスト的なヒロインとしてのベル像を打ち出しています。現代へミニストの象徴的存在である女優のエマ・ワトソンを主演に据え、女性へのコルセットを強要しない、女性にも発明をさせる、野獣の人物背景を描き、彼が知性によってベルに共感を示すことで彼女の心が動くなど、それまでのディズニー作品にはなかったヒロイン像を打ち出しました。他にも、人種的多様性や性的多様性などといったメッセージを含めることで、2010年となり21世紀から10年経ったときに『美女と野獣』を語り直す意義を明示したと言えるのではないでしょうか。
今もなお不朽の名作として名高い『美女と野獣』。ミュージカル風でサウンド・オブ・ミュージックに近い感じがしました。ヒロインのベル演じるエマ・ワトソンは勿論ですが、ルーク・エヴァンス演じるガストンも本当にディズニーアニメから飛び出してきたようです。
そして原作の素晴らしい音楽や魅力的なストーリーを温存しつつ、必要な背景の追加やミスの修正、より現実的なプロットへの改善、そして現在に語るにふさわしいテーマの再構築など、2010年代に公開するにふさわしい作品に仕上がっています。新たに生まれ変わった実写版『美女と野獣』もぜひ、ご家族や友人と楽しんでください。
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このページではDisneyPlus Jpで配信中の美女と野獣から執筆しました。
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