映画『ブラックパンサー』は、マーベル・シネマティックユニバース(MCU)の中で特に重要な作品であり、公開直後から大ヒットを記録しました。初の黒人ヒーローによるこの映画は、アメリカの黒人歴史月間に公開され、その文化的意義が高く評価されました。監督ライアン・クーグラーは、アフリカ系のキャストとスタッフを起用し、独自のイントネーションの英語を使用。物語は主人公ティ・チャラと魅力的な悪役キルモンガーの関係を描き、エンターテインメント性の高い作品として、多くの人々に感動を与えました。
- 原題
- Black Panther
- 公式サイト
- https://marvel.disney.co.jp/movie/blackpanther
- 監督
- 登場人物
-
- ティ・チャラ / ブラックパンサー
-
Actor: チャドウィック・ボーズマン
本作の主人公。ワカンダの若き国王で、超人的な力を持つ。スーパーヒーロー。父の死をきっかけに王位と共にブラックパンサーとしての役割を引き継いだ。ヴィブラニウム性のスーツがトレードマーク。
- エリック・キルモンガー
-
Actor: マイケル・B・ジョーダン
本作のヴィラン。元アメリカの秘密工作員。父の死をきっかけに復讐心を抱き、ワカンダの王位を狙う。
- ナキア
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Actor: ルピタ・ニョンゴ
本作のヒロイン。ワカンダのスパイ「ウォー・ドック」の一員。ティ・チャラの元恋人だった。世界各地で活動を師、ワカンダのために尽力している。
- オコエ
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Actor: ダナイ・グリラ
ワカンダ王国の親衛隊「ドーラ・ミラージュ」の隊長。忠誠心が強い。ワカンダのために戦う、屈強な戦死で、槍を使った戦闘を得意とする。
- シュリ
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Actor: レティーシャ・ライト
ティ・チャラの妹にして、ワカンダ王国の王女。16歳にして、ヴィブラに生む高額の天才科学者であり、発明家でもある。最新技術で兄を献身的にサポートしている。
- 配給会社
ここがおすすめ!
- スーパーヒーロー映画の歴史を変えた一作
- 黒人歴史月間に最適な映画
- MCUの放つ新たなヒーロー
あらすじ
アフリカの秘境にありながら、世界の誰もが創造出来ないような最新テクノロジーをもつ<超文明国ワカンダ>。ここには世界を変えてしまうほどのパワーを持つ鉱石<ヴィブラニウム>が存在する…。突然の父の死によって王位を継いだティ・チャラは、この国の“秘密”を守る使命を背負うことになる。ヴィブラニウムが悪の手に奪われると、人類に未来はない――。“秘密”を狙う敵に立ち向かうのは若き国王。漆黒の戦闘スーツをまとい、ブラックパンサーとして戦うティ・チャラは、祖国を……そして世界を守ることができるのか?
公式ウェブサイト
2008年公開の映画『アイアンマン』によって産声を上げた、アメリカの出版社マーベル社が手掛けるコミックスを原作とした映画シリーズで2010年代のスーパーヒーロー映画の先駆けとなったマーベル・シネマティックユニバース。そしてシリーズが始まってから10年の節目に、その歴史を大きく変える一作が公開されました。それが映画『ブラックパンサー』です。
スーパーヒーロー映画の変えた作品
映画『ブラックパンサー』は、まさにスーパーヒーロー映画の歴史を変えた一作となりました。本作は公開されるや否や大人気となり、2018年に公開された映画の中でも北米で最もヒットした作品となりました。MCUというと、さまざまなヒーローが一堂に会する『アベンジャーズ』シリーズが大人気ですが、本作は単独のスーパーヒーロー映画が活躍する映画として、当時一番のヒットを記録していました。
2018年のアメリカ(北米)映画興行収入ランキング(年間)は以下の通りです。(2018年の映画のwikiを参照しています。)。この年はディズニーが10位中5作あり、そしてのちに買収した20世紀フォックスを含めると7作品を占め、いかにディズニーが強いとわかる年でした。
順位 | タイトル(原題) | 配給会社 | 興行収入(ドル) |
---|---|---|---|
1 | ブラックパンサー(Black Panther) | ディズニー | $700,059,566 |
2 | アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(Avengers: Infinity War) | ディズニー | $678,815,482 |
3 | インクレディブル・ファミリー(Incredibles 2) | ディズニー | $608,581,744 |
4 | ジュラシック・ワールド/炎の王国(Jurassic World: Fallen Kingdom) | ユニバーサル | $417,719,760 |
5 | アクアマン(Aquaman) | ワーナー・ブラザース | $335,061,807 |
6 | デッドプール2(Deadpool 2) | 20世紀フォックス | $318,491,426 |
7 | グリンチ(The Grinch) | ユニバーサル | $270,620,950 |
8 | ミッション:インポッシブル/フォールアウト(Mission: Impossible – Fallout) | パラマウント | $220,159,104 |
9 | アントマン&ワスプ(Ant-Man and the Wasp) | ディズニー | $216,648,740 |
10 | ボヘミアン・ラプソディ(Bohemian Rhapsody) | 20世紀フォックス | $213,817,348 |
アメコミを原作とする映画で特にMarvelは、なかなかアメリカにおいて映画の賞レースでは活躍できないという事情がありました。本作の前だとDCコミック原作の映画『ダークナイト』が批評家から大絶賛されています。しかしながら、ハリウッド映画の最高峰とされるアカデミー賞の作品賞にノミネートすらされず、世界中で大きな波紋を呼びました。
そんな中、本作はゴールデングローブ賞の作品賞にマーベル映画としては史上初のノミネートを果たします。さらに、アカデミー賞では作品賞を含む7部門にノミネート。それまで厚い壁だったアメコミ映画、そしてスーパーヒーロー映画の作品賞への初ノミネートという快挙を成し遂げたのです。これは、歴史を動かす大きな転換点といえるでしょう。
映画『ブラックパンサー』(2018年)は、第91回アカデミー賞で以下の7部門にノミネートされました。ノミネートされた賞は以下となります。(The 91st Academy Awards | 2019)
- 作品賞
- 作曲賞
- 歌曲賞(「All The Stars」)
- 美術賞
- 衣装デザイン賞
- 録音賞
- 音響編集賞
黒人による黒人ヒーロー映画
映画『ブラックパンサー』は、アメリカでは2月に劇場公開されました。これには、とても大きな意味があります。毎年2月は黒人歴史月間といって、アフリカ系アメリカ人の歴史をたたえるという風習がアメリカにはあります。
本作で監督を務めたのは、ライアン・クーグラー。監督として手掛けた作品はまだ多くないものの、そのすべてが批評面でも興行面でも成功を収めている監督です。黒人という自身のルーツにまつわる作品を多く製作しています。主人公ブラックパンサーは黒人のヒーローで、ワカンダというアフリカにある架空の国の長です。演じるチャドウィック・ボーズマンも、黒人の俳優です。それ以外にも登場するキャラクターはほとんど黒人で、同じルーツを持つ俳優たちが集められました。それだけでなく、制作スタッフも多くがアフリカ系にルーツを持ち、世界中のアフリカ系の仕事人たちが結集した作品となりました。アフリカ系の出演者が多い作品でも、制作スタッフは白人がそろう現場は数多くあるため、本作はひときわ大きな注目を集めていました。
本作は基本的には英語で作られた作品ではありますが、登場人物たちが話すのは、いわゆるネイティブな英語とは少し異なるイントネーションの英語です。これにも意味があり、ワカンダは一度も他国から支配されたことのない国という設定に基づいています。奴隷としてアメリカに連れてこられた彼らの歴史を考えると、本作で描かれている世界は、彼らにとって理想郷のような世界なのかもしれない、と思うと、多くのことを考えさせられました。
MCUの新たなヒーロー
映画『ブラックパンサー』は、エンターテインメント作品としても非常に優れた一作です。スタイリッシュな音楽に演出、素晴らしい物語に見ごたえたっぷりのアクションシーンなど、エンターテインメントとして楽しめる要素がふんだんで、134分という長い作品時間も短く感じるほどです。
そんな本作を引っ張っているのは、やはり主人公のブラックパンサーことティ・チャラでしょう。初登場はキャプテン・アメリカのシリーズである「シビル・ウォー」からになります。

本作ではワカンダ国を治める若き国王であり、少し無鉄砲なところや若さゆえのやんちゃさを残しつつも、冷静で崇高かつ気高い精神も持ち合わせています。MCUの中では、リーダーとしてのキャプテン・アメリカや王としてのソーと近い立ち位置にも思えますが、それまでになかった役割を担ったキャラクターといえるでしょう。残念ながら、演じるチャドウィック・ボーズマンが亡くなったため、彼の物語が続かないことは、とても残念で大きな損失です。
そんなブラックパンサーを引き立たせたのが、本作のヴィランであるキルモンガーです。クーグラー監督作品には欠かせないマイケル・B・ジョーダンが演じています。キルモンガーはまさに魅力的なヴィランで、多くのファンを獲得しました。ヴィランが力強い作品は、大抵が成功作となります。本作でも例外ではありませんでした。ティ・チャラと複雑に絡み合う人生が物語の厚みを出し、多くの人々の心をつかんだと言えるでしょう。

ブラック・パンサーはこれまでのマーベルヒーローとは違いハルクのようなパワータイプではなくスピードを重視したスピードと敏捷性重視した戦闘スタイルに目を引くものがあります。それは伝統的なアフリカ武術に現代格闘技を組み合わせたアクションが特徴的であり、主人公ティ・チャラ(ブラックパンサー)のしなやかで俊敏な動きは、他のマーベル作品と比べても独自性が際立つものがあります。
そしてブラック・パンサーが着こなすヴィブラニウム(Vibranium)性の衝撃吸収とエネルギー伝導に優れて、戦闘中のエネルギー充填時に光るラインがとてもスタイリッシュです。このような戦闘シーンを最新技術で駆使したCGバトルと肉弾戦(王位継承の儀式での素手の戦い)が絶妙にバランスを取り合っていました。

総評
映画『ブラックパンサー』は、映画の歴史の中で新たな1ページを作り出した作品です。アメコミを原作としたスーパーヒーロー映画としてだけでなく、アフリカ系のルーツを持つ人々にとっても、非常に大きな意味を持つ映画として作られました。エンターテインメントの要素をたくさん持ち、主人公がしっかりと率いた本作は、悪役も力強い魅力を放った一作です。ぜひ、多くの方に体験していただきたい一本だといえる映画でした。
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このページではDisneyPlus Jpで配信中のブラックパンサーから執筆しました。
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