POVの臨場感から目が話せない – クローバーフィールド/HAKAISHA

7か月 ago

3.5

低予算ながらアイディアによっては大ヒットする手法である、POV手法。今作はPOV手法で撮られた映画であり、モンスターや破壊さらたビル群から逃げ惑う臨場感と緊張感にあふれていました。

原題
Cloverfield
公式サイト
https://www.paramountpictures.com/movies/cloverfield
監督
登場人物
ロバート・ホーキンス(ロブ)

Actor: マイケル・スタール=デヴィッド

日系企業タグルアト社に勤務する青年で、日本本社への栄転が決まり喜ばしい一方、離ればなれになる恋人ベスとの今後について整理できずにいた。

エリザベス・マッキンタイア(ベス)

Actor: オデット・アナブル

ロブの恋人。ロブが自分を置いて日本へ行くことで、転勤を祝うパーティーでロブと口論になり、自分のアパートに早々に帰宅してしまう。その後、怪獣の襲撃でアパートが半壊し怪我をして動けなくなり、電話でロブに助けを求める。

配給会社
制作会社

ここがおすすめ!

  • 徹底したリアリティの追求が凄い!
  • 日本とゴジラへの親近感が随所に込められている
  • こだわりのPRや裏設定を見つける愉しさ

あらすじ

N.Y.のアパートで日本への転勤が決まった青年ロブの送別パーティーが開かれる。ところが突如、正体不明の“何か”が出現して街を破壊。逃げまどう人々で街中はパニックに陥り、軍隊も出動して戦闘状態に突入する。恋人から助けを求める電話を受けたロブは、友人たちとともに彼女の救出に向かうが…。

Amazon Prime Video より

POV+モキュメンタリー形式で迫力満点の映像

本作は「国防総省に保管されていたデジタル記録の開示(または流出)」という設定の、モキュメンタリー映画です。OPではカラーバーが表示されたりタイマーが作動したりと、ホンモノらしく見せる工夫がされています。

ストーリーは単純明快で「日本へ栄転が決まった青年ロブの送別会中、巨大モンスターが現れてNYの街をパニックに陥れる」というもの。ロブが恋人ベスを助けに行く様子を友人がビデオカメラで撮影し、この助けに行く途中で襲いかかるモンスターと合間合間に以前撮影した2人のラブラブシーンがランダムに現れる、といった具合です。

モンスターが街を破壊するシーンは迫力満点!

高層ビルが崩れて逃げ惑う人々、ビルの陰にチラチラとじらすように姿を見せるモンスター。やがて装甲車が現れ、軍が銃をぶっ放す。このあたりは2001年のアメリカ同時多発テロ『9.11』の映像が参考にされており、カメラワークが目まぐるしく変わるため、本当の記録映像と勘違いするほどでした。

さらにハンディカム撮影によるPOV手法のため画面がブレブレ、俳優のセリフが重なって聞き取りにくいなど、ハンパない臨場感が伝わってきます。またロブ役の マイケル・スタール=デヴィッドやロブ役のオデット・ユーストマンなどキャストの多くが当時無名の俳優から選ばれており、徹底してリアリティを追求する姿勢が感じられました。

日本とゴジラへの親近感が嬉しい

ロブが日本への栄転を祝うパーティーのシーンでは、暖簾(のれん)や和傘、寿司、酒など、日本文化を象徴する小道具が数多く使われています。さらに日本人なら誰でも知っているお茶のペットボトルや、卓上醤油のビンなども、ほんの一瞬ですが映っています。

本作の監督は、猿の惑星:新世紀と聖戦記などで知られるマット・リーヴスであり、制作は『ミッション:インポッシブル3』、『スター・トレック』などの監督として知られるJ・J・エイブラムスが加わっています。J・J・エイブラムスは『ミッション:インポッシブル3』の宣伝で来日した折に、原宿でゴジラの人形を見て本作を思いついたのだとか。確かに長い長いエンドロールと共に流れる音楽『ROAR!』も、ゴジラの映画で使用されていた曲とよく似ています。

ちなみに『ROAR!』を作曲したマイケル・ジアッチーノは、ゴジラ映画の大ファンとのこと。こんな形で日本映画にリスペクトを表現されると、日本人としては嬉しい限りですね!

Spotify

凝りに凝ったPRと裏設定

映画の予告編では「自由の女神像が何者かに破壊され、切断された頭部が飛んでくる」という恐ろしいシーンが話題を呼びました。そして日本での公開前には、この女神像の首から下の部分をわざわざアメリカからお台場へ運びに設置して人々を驚かせました。

さらに注目を集めたのは、YouTubeに投稿された謎のニュース映像。「タグルアト社(ロブが勤務する日系企業)の掘削装置が破壊された」という架空のニュース映像が制作されたのです。このニュース映像が実によくできていて、それも日本語版やイタリア語版、フランス語版など複数の言語版が制作されており「映画のPRにここまでお金と手間をかけるのか⁉」と感心しました。

これらのPR戦略が功を奏したのか、本作の興行収入はアメリカで8,000万ドル、日本では12億円という数字を叩き出しました。

タグルアト社はもちろん架空の企業。しかしネット上に同社の公式ホームページが出現し、会社概要はもちろん、謎めいたCEOやCEOの母親にまつわる話まで、実に細かく設定されていたようです。

現在、タグルアト社のホームページには謎のメッセージ(?)が表示されています。また同社の主力商品『SLUSHO!』のCMサイトも存在していますので、興味のある方は一度覗いてみてはいかがでしょうか。

シンプルなSFパニック映画

モンスターの記録映像は、セントラルパークの橋が破壊されたところで途切れます。そして1か月前にロブとベスが観覧車でデートを楽しむシーンが現れるのですが、よく見るとそこに重大な伏線が張られています。これから映画をご覧になる方は、注意して見てください。

©2008 PARAMOUNT PICTURES

エンドロールが終わると“Help us(助けて)”という声が聴きとれますが、この部分を逆再生すると”It’s still alive(ヤツはまだ生きている)”と聴こえることがYouTube上の動画で紹介されています。続編を期待させる演出ですが、ずいぶん手の込んだ仕掛けですね。これを見つけた人も、かなりすごいと思いました!

本作のストーリーは単純明快で、特に心に響くセリフやシーンはありません。あまり難しいことは考えずに、大がかりなSFシーンに驚き、日本やゴジラへ向けられたリスペクトを喜び、誰かがアップしたなぞ解きや裏設定をネットで見つけるのが、ベストの楽しみ方だと思います。

本作のノベライズ版は竹書房より出版されています。カバー裏にはモンスターの全身のイメージ画像が掲載されており、これはJ・J・エイブラムスの意向で日本版でのみ見ることが可能です。

また漫画では角川書店より『クローバーフィールド KISHIN』が発売されています。ストーリーは映画とは全く異なりますが、タグルアト社に関する記述があります。もしかしたら今後制作されるかもしれない続編に繋がっていくのかもしれません。

各サイトのレビューサイトのスコア

本ページの情報は 時点のものです。
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このページではAmazon Prime Video Jpで配信中のクローバーフィールド/HAKAISHAから執筆しました。

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Amazon Prime Video Jp クローバーフィールド/HAKAISHA

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