ケネス・ブラナーによるアガサ・クリスティシリーズの続編 – ナイル殺人事件

5日 ago

3.2

映画『ナイル殺人事件』は、ケネス・ブラナー監督によるポワロシリーズ第2作で、アガサ・クリスティの原作『ナイルに死す』を映画化しています。豪華なキャスティングとブラナー自身が演じるポワロが魅力です。特に注目は、エマ・マッキーが重要な役を務めている点で、若いながらも見事な演技を披露しました。また、スタイリッシュな演出やメロドラマ的要素の追加が特徴で、観客を惹きつける作品となっています。

原題
Death on the Nile
公式サイト
https://www.20thcenturystudios.jp/movies/nile-movie
監督
登場人物
エルキュール・ポアロ

Actor: ケネス・ブラナー

本作の主人公。灰色の頭脳を持つ、ベルギー人の私立探偵。オリエント急行での事件を解決したのち、本件に関わることとなった。

リネット・リッジウェイ・ドイル

Actor: ガル・ガドット

莫大な遺産を相続した大富豪の女性。その美貌で多くの人の視線を惹きつける。新婚旅行と披露宴を兼ねて、友人たちと共にエジプトにやって来た。

サイモン・ドイル

Actor: アーミー・ハマー

リネットの夫。もともとはジャクリーンの婚約者だったものの、彼女を捨ててリネットと結婚した。

ジャクリーン・ド・ベルフォール

Actor: エマ・マッキー

リネットの元親友で、サイモンの元婚約者。リネットにサイモンを奪われたことで、彼女を心底恨んでいる。リネットに執拗につき纏う。

ブーク

Actor: トム・ベイトマン

ポアロの友人で、前作から継続して登場している。鉄道会社を退職して、現在は無職。ロザリーと互いに惹かれ合うものの、障害が立ちはだかる。

配給会社
制作会社

ここがおすすめ!

  • 新たなポワロ像に迫るブラナー版ポワロ第2弾
  • 求心力のあるキャスティング
  • ブラナーらしいスタイリッシュな演出

あらすじ

愛の数だけ、秘密がある。「世界一売れている作家」アガサ・クリスティ原作。“世界一の名探偵”ポアロが挑む、エジプトの神秘ナイル川をめぐる極上のミステリー・クルーズ。大富豪の美しき娘の新婚旅行中に、クルーズ船内で起きた連続殺人事件。容疑者は、乗客全員──。豪華客船という密室で、誰が何のために殺したのか?そして、ポアロの人生を大きく変えた≪衝撃の真相≫とは? 愛と嫉妬と欲望が複雑に絡み合う、禁断のトライアングル・ミステリーの幕が開く。

公式ウェブサイト

2017年に劇場公開された映画『オリエント急行の殺人』から始まったケネス・ブラナー版の名探偵ポワロシリーズ。そんなシリーズの第2弾として本作『ナイル殺人事件』は公開されました。アガサ・クリスティの原作小説『ナイルに死す』を映画化した本作ですが、前作『オリエント急行殺人事件』で次の舞台がナイルになることが示唆されていたので、待望の続編、といったところでしょう。同小説を1978年に映画化した作品が著名なこともあり、本作を選んだのはなかなかに挑戦的だとも言えたと思います。


ブラナー版ポワロ第2弾

映画『ナイル殺人事件』は前述に書いた通りのブラナー版ポワロの第2弾になります。このシリーズの特徴は、監督だけでなく主人公の名探偵ポワロ役までブラナーが務めている点です。シェイクスピア俳優として広く知られるブラナーは、舞台や映画でこれまで何度も監督と出演を兼任してきています。

『ナイル殺人事件』と「ナイルに死す」のどちらも原作がポワロシリーズの中でも特に著名なだけでなく、過去に優れた映像作品も制作されているため、とても大きな挑戦だともいえます。

「ナイル殺人事件」は1978年に監督:​ジョン・ギラーミン、主演:​ピーター・ユスティノフ(エルキュール・ポアロ役)で映像化されています。

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本作でブラナーが着目したのは、ポワロというキャラクターの奥行きではないかと感じました。『オリエント急行殺人事件』では、ポワロの少し柔らかな面が描かれていたように思います。殺人は許される行為ではないものの、犯人たちがなぜ犯行に及んだのか、その動機の部分にポワロが大きく心を揺さぶられ、自身の決断に迷うさまが描かれていました。対して、本作でのポワロは少し荒っぽく、己の私利私欲に突き動かされた本件に対しての強靭な姿勢が見て取れたように思いました。このポワロの大きく異なるキャラクターとしてのダイナミックスさを自ら演出し、演じることにやりがいを感じているように思えました。こうすることで、新たなポワロ像を表現したいという彼の意図が読み取れたように思います。

豪華かつ意外なキャスティング

映画『ナイル殺人事件』は公開前からその豪華なキャスティングで話題を集めていました。ブラナー版のポワロは常に実力派の役者を起用し、非常に豪華なキャスティングになるのが毎回の風物詩で、本作も例外ではありませんでした。美しき大富豪のリネットにガル・ガドットを起用したり、その夫でどこか胡散臭いサイモンにアーミー・ハマーを起用したりするあたりは、役者の持つイメージを巧みに利用するブラナーらしさを感じます。

しかしながら、やや意外だったのは本作のキーパーソンとなるジャクリーンに起用された、エマ・マッキーです。Netflixの人気ドラマ『セックス・エデュケーション』でヒロインを演じる彼女は、決して知名度が低いわけではありません。しかしながら映画への出演歴は多くなく、ブラナーやガドット、ハマーのようにハリウッドの大作映画で活躍してきた俳優たちと肩を並べるには、いささか不安があるキャスティングだと思っていました。

ですが、本編を見てみるとそのような心配が不要であることがよく分かりました。確かにマッキーは若い女優でしたが、彼女の目力の演技はすさまじく、見る人々を惹きつける不思議な魅力を放っていました。実力があるにもかかわらず、まだ映画界では活躍できていない才能を見いだし、重要な役で起用するのもまたブラナー監督のお決まりの手法です。本作ではマッキーが見事にその役にはまったな、と感じました。

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スタイリッシュに魅せるポワロ

映画『ナイル殺人事件』で目を引くのは、やはりスタイリッシュな演出でしょう。本作では特に目まぐるしく場面が変わるカットが多用されていました。少し目まぐるしすぎて、集中していないと分かりづらい部分もありました。特にドレスを使った演出では、色と形、そして影まで考え抜いて演出されていたと思います。ビビッドな色遣いと光、それと相対するような影の使い方は、ブラナー監督お決まりの手法です。ポワロの感情を示すだけではなく、それぞれのキャラクターが持っている明るい面と暗い面を巧みに表現していたように感じます。その上で最後の場面では折り重なる二人の姿が、遠目に見るとハートの形をしているように見える演出が施されていました。これはまさにブラナーらしい魅せ方だと感じさせられました。

他にも原作からのいくつかの変更点が、ブラナーらしさを演出していたと思います。それは特にメロドラマ的な要素を増やした点は大きな違いでしょう。この変更については賛否両論があるようですが、ブラナー版のポワロとして過去作品と一線を画すためには、必要な変更だったと感じています。ただ、作品時間が全体的に眺めでやや間延びした印象があるので、作品の長さもスタイリッシュに短くした方が、より多くの観客を引き寄せたかもしれません。

総評

ブラナー版のポワロシリーズとして第2弾となった映画『ナイル殺人事件』。ブラナーによる新たな解釈のポワロ像が率いる本作では、豪華な実力派キャストが勢ぞろいし、それぞれの魅力を作品内でいかんなく発揮しています。また、ブラナーらしい演出も随所で光る作品に仕上がっていました。

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