劇場版 アニメ
ヒックとドラゴン 聖地への冒険:三部作の集大成、圧倒的映像美で贈る究極の冒険譚

Score 3.8

長きにわたって愛されてきた『ヒックとドラゴン』シリーズが、ついに完結の時を迎えました。本作は三部作の最終章として、圧倒的な映像美と心温まるストーリーで観る者を魅了する、まさに「感動の大団円」と呼ぶにふさわしい作品です。アニメーション技術の到達点を示す映像表現、キャラクターたちの成長の集大成、そして予想を超える感動的な結末。三部作すべてを見守ってきたファンにとって、これ以上ない「ご褒美」のような作品となっています。

原題
How to Train Your Dragon: The Hidden World
公式サイト
https://gaga.ne.jp/hicdragon/

© 2019 DreamWorks Animation LLC

公式サイトSNS
監督
登場人物
ヒック(Hiccup)

Actor: 田谷隼

他の作品:

かつて弱さを自覚していたが、父を継ぎ若きリーダーとなったバイキング。ドラゴンと人間の共存を守るため、聖地を探して旅立つ。

アスティ(Astrid)

Actor: 寿美菜子

他の作品:

ヒックのガールフレンドでありドラゴン乗りの実力者。行動力があって、ヒックを支える存在。

ヴァルカ(Valka)

Actor: 深見梨加(ふかみ りか)

他の作品:

ヒックの母親。ドラゴンと共に暮らしており、ドラゴンのことを深く理解する人物。

ストイック(Stoick)

Actor: 田中正彦

他の作品:

ヒックの父。かつてバーク島のリーダーであり、バイキングとしての使命感が強い人物。今作では過去や遺志が物語に影響する。

スノット(Snotlout / Snot)

Actor: 淺井孝行(あさい たかゆき)

他の作品:

ヒックの幼なじみで、強気で目立ちたがり。戦いやドラゴンとの関係において波乱を巻き起こす。

配給会社
制作会社

ここがおすすめ!

  • アニメーション史に残る圧倒的な映像美
  • セリフに頼らない視覚的でもトゥースレスの恋物語が微笑ましく感動的
  • キャラクターの成長が丁寧に描かれた三部作の完結

あらすじ

バイキングの若き族長となったヒックは、相棒のナイト・フューリー、トゥースレスとともに、ドラゴンと人間が共存する平和な島を築き上げていました。しかしある日、トゥースレスが唯一の存在だと思われていたナイト・フューリーではなく、新たな「ライト・フューリー」と出会います。白く美しいライト・フューリーに一目惚れしたトゥースレスは、不器用ながらも彼女の心を掴もうと奮闘します。その一方で、ドラゴンを憎む冷酷なハンター、グリメルがトゥースレスを狙って迫ってきます。ヒックとトゥースレスは、すべてのドラゴンが安全に暮らせる伝説の「聖地」を探す旅に出るのですが...。

映画『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』公式サイト

アニメ映画「ヒックとドラゴン 聖地への冒険(原題:How to Train Your Dragon: The Hidden World)」はこれまでシリーズの中で壮大なスケールで物語を展開していました。

『ヒックとドラゴン』三部作を通して、各作品ごとに世界を拡張し、新たな驚きを提供する必要があるということでした。ディーン・デュボア監督は「驚き(Wonder)がとても重要だ。それは私たち全員の中にいる冒険好きな子どもに語りかけるものだから」と語っています。

新たな島々、未知のドラゴンたち、そして伝説の聖地――すべてが「エピック(壮大)」という言葉で表現できる規模感を持っています。プロダクションデザイナーのピエール・オリヴィエ・ヴィンセントとともに、監督は「すべてを大きく」作り上げることにこだわりました。その結果、観る者は唯一無二の体験を得ることができるのです。

到達点を示すアニメーション技術の進化

アニメ映画「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」を語る上で避けて通れないのが、その圧倒的な映像美でしょう。筆者が特に感動したのは、序盤のヒックとトゥースレスが飛行するシーンから、画面いっぱいに広がる無数のドラゴンたちへとパンしていくカットでした!

驚くべきことに、そこに映る一匹一匹のドラゴンが、すべて個別に動き、呼吸しているように見えるのです。コピー&ペーストの安易な処理は一切感じられず、画面に映るすべてが生命を宿しているかのような躍動感がありました。このシーン一つをとっても、アニメーション技術がどれほど進化したかを実感できます。

砂の表現も特筆すべき点です。トゥースレスがライト・フューリーを口説こうとビーチで砂を巻き上げるシーンでは、一粒一粒の砂が舞い上がり、光を反射する様子が信じられないほどリアルに描かれています。こうした細部へのこだわりが、作品全体の没入感を高めているのです。

また他にも実写との融合が技術が光っていましたね。

成長し続けたヒックという主人公の魅力

『ヒックとドラゴン』シリーズ全体を通して素晴らしいのは、主人公ヒックが常に成長し続けてきたことです。彼は決して同じ場所に留まることなく、一作ごとに新たな課題に直面し、それを乗り越えてきました。

本作では、ヒックはバイキングの族長としてリーダーシップを発揮しなければならない立場にあります。しかし、彼の性格を知る私たち観客には、彼が「自分はその任に値するのか」と常に自問していることが分かります。この自己肯定感の低さこそがヒックらしさであり、同時に彼の成長の余地でもあるのです。

物語が進むにつれ、ヒックは難しい決断を迫られます。ドラゴンと人間の共存という理想、トゥースレスとの絆、そして族長としての責任――これらすべてのバランスを取ることの困難さが、彼の葛藤として丁寧に描かれています。そして最終的に彼が下す決断は、真のリーダーとしての成長を示すものでした。

AIで生成したイメージ画像

トゥースレスの恋物語――言葉を超えた感動

本作の最大の見どころは、間違いなくトゥースレスとライト・フューリーの恋物語です。特に、トゥースレスが彼女の心を掴もうと奮闘するシーンは、映画全体の中でも最も印象深い場面でした。

ビーチで砂に絵を描いたり、不器用なダンスを披露したりするトゥースレス。セリフは一切なく、ただ二匹のドラゴンの動きと表情だけで、恋する気持ちや戸惑い、そして喜びが伝わってきます。この「視覚的ストーリーテリング」の完成度は、現代アニメーションの到達点と言っても過言ではありません。

トゥースレスの表情の豊かさには本当に驚かされました。目の輝き、耳の動き、尻尾の揺れ――すべてが彼の感情を雄弁に語っています。言葉を話さないキャラクターにこれほどの感情移入ができるのは、アニメーターたちの卓越した技術と、キャラクターへの深い理解があってこそでしょう。

ライト・フューリーもまた魅力的なキャラクターです。警戒心が強く、簡単には心を開かない彼女が、次第にトゥースレスに心を許していく過程は、見ていて微笑ましく、同時に切なさも感じさせます。二匹が空を舞うシーンの美しさは、まさに息を呑むものでした。

ヴィランの弱さという唯一の課題

本作において唯一残念だったのは、ヴィラン(悪役)のグリメルが魅力に欠けていたことです。彼はただのドラゴンハンターであり、過去作のドラゴやヴィゴのような複雑さや深みがありません。

正直筆者はむしろ「ヴィランがいなくても良かったのでは」とさえ思いました。ヒックとトゥースレスが聖地を探す旅、そしてトゥースレスとライト・フューリーの関係性の発展――これらだけで十分に物語は成立していたように感じます。もちろん、物語には緊張感を生む脅威が必要なのは理解できますが、グリメルというキャラクターにはもう少し掘り下げが欲しかったところです。

物語のテンポと構成について

物語の序盤は、過去二作と同様、少し時間がかかる印象を受けました。世界観の説明や現状の提示に尺を割いているため、本格的に物語が動き出すまでやや冗長に感じる部分もあります。

また、ロケーション移動が多いことも気になりました。島から島へ、そして新たな場所へと、物語が頻繁に場所を変えるため、少しジャンプ感があります。これは三部作の中で最も「遊牧的」な展開と言えるでしょう。もちろん、これは彼らが聖地を探す旅をしているという設定上、避けられない部分ではあります。

しかし、一度物語が動き出し、観客の心を掴んだ後は、まさに「手放せない」展開が続きます。アクションシーンの興奮度は過去作を凌駕しており、特に終盤の飛行シーンでは、障害物を間一髪で回避する緊迫感に手に汗握りました。

三部作全体として――満足のいく完結

本作単体で見れば、前二作と比べてやや劣る部分があるかもしれません。物語の深みという点では、おそらく三作の中では最も軽いでしょう。

重要なのは、本作が三部作の「締めくくり」として見事に機能しているということです。ヒックの成長の集大成、トゥースレスとの絆の到達点、そして彼らが選ぶ未来――すべてが丁寧に、そして感動的に描かれています。

特にエンディングは素晴らしいものでした。ネタバレを避けるため詳細は伏せますが、ヒックとトゥースレスの関係性に一つの答えを出す結末は、予想を超えるものであり、同時に納得のいくものでした。妻も含め、多くの観客が予想していた展開とは異なる方向性を示しながら、それでいて心から満足できる終わり方――これこそが優れた物語の証です。

まとめ:絆の完結、そして新たな旅立ちへ

アニメ映画『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』は、長年愛されてきた三部作を見事に完結させる、感動的な作品です。圧倒的な映像美、心温まるキャラクターたちの成長、そして予想を超える結末――すべてが調和し、観る者に深い満足感を与えてくれます。

ヴィランの弱さや序盤のテンポなど、細かな課題はあるものの、それらを補って余りある魅力が本作には詰まっています。特にトゥースレスの恋物語は、言葉を超えた感動を私たちに届けてくれました。

人とパートナーの絆、いや、それを超えた「家族」としての絆。選んだ家族こそが真の家族であり、その絆は血縁よりも強く、深いものになり得る――本作はそんなメッセージを静かに、しかし力強く伝えています。

シリーズのファンであれば、間違いなく満足できる作品です。そしてこれから初めて観る方も、この壮大な冒険と感動の物語を、ぜひ家族とともに体験してください。ヒックとトゥースレスの旅の終わりは、きっとあなたの心にも深く刻まれることでしょう。

冒険の果てに彼らが見つけた答えとは何だったのか。それは、画面を通じてあなた自身が確かめるべき、かけがえのない宝物なのです。

各サイトのレビュースコア

『ヒックとドラゴン』シリーズ第3作にして最終章となる本作は、少年とドラゴンの友情譚を、永遠の共存ではなく“自立と別離 という成熟した選択で締めくくる。
派手な冒険譚でありながら、その核心はきわめて静かで、誠実だ。

批評家評価

  • Rotten Tomatoes(Critics):90 / 100
  • Metacritic:70点台後半(概ね好意的)

批評家は一貫して、「シリーズを通したテーマの完結性」「映像表現の洗練」「キャラクターの成長描写」
を高く評価している。特に、“別れを肯定する結末”は、ファミリー向けアニメとしては勇気ある選択だと受け止められた。

観客評価

  • IMDb:7.4 / 10
  • Filmarks:4.1 / 5
  • 映画.com:4.0 / 5
  • あにこれ:71.6 / 100

観客側も総じて高評価だが、シリーズ前作に比べると
「盛り上がりが穏やか」「敵役が弱い」
といった声が散見され、熱量の点でやや抑制的な反応も見られる。

乖離の理由

本作はアクションの爽快感よりも、
物語の“終わらせ方”と感情の整理に重心を置いている。
そのため、

  • 観客の一部は「冒険活劇としての高揚」を期待
  • 批評家は「シリーズ全体の構造的完成度」を評価

という視点の差が、緩やかな乖離を生んでいる。

プラットフォーム別傾向とレビューコメント

IMDb(7.4 / 10)

  • 「ビジュアルが圧倒的。空の表現はシリーズ最高」
  • 「静かなラストが大人向けで好印象」
  • 「敵キャラの印象が弱く、緊張感は控えめ」

Rotten Tomatoes

  • Critics
    「シリーズを美しく締めくくる、感情的にも論理的にも誠実な最終章」
  • Audience
    「感動的だが、1作目ほどのワクワク感はない」という声が一定数。

日本(Filmarks / 映画.com)

  • 「トゥースレスの選択に涙した」
  • 「子ども向けと思っていたが、大人の方が刺さる」
  • 「もっと派手な展開を期待していた」

日本では特に、感情移入の強さと結末の切なさが評価点として語られやすい。

受賞歴・ノミネート(公式リンク付き)

第92回 アカデミー賞(2020年)

  •  長編アニメーション映画賞:ノミネート

第47回 アニー賞(2019年)

  •   作品賞(長編アニメーション):ノミネート
  •   監督賞(ディーン・デュボア):ノミネート
  •   キャラクターアニメーション賞、音楽賞 ほか複数部門ノミネート

本作は受賞こそ逃したものの、

シリーズ完結編としての完成度と芸術的成熟 が評価され、

主要アニメーション・アワードで安定してノミネートを重ねた。

結果として、シリーズ全体の評価を国際的に確固たるものにした一本と位置づけられる。

賞レースでの評価は安定しており、シリーズ全体の評価を底上げする役割を果たした最終章といえる。

総合的な立ち位置と評価

『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』は、観客向けエンターテインメントでありながら、批評的にも十分に耐えうる完結編だ。

派手さでは初作に及ばない。
しかし、

  • 「成長とは何か」
  • 「共にいることと、手放すことの違い」

を真正面から描いた結末は、シリーズを単なるヒット作から
“語り継がれる物語”へと引き上げた。

ドラゴンと人間が永遠に並走しないからこそ、この物語は空高く、美しく終わる。
それは少し寂しく、同時にとても誠実な別れだった。

本ページの情報は 時点のものです。
各サイトの最新スコアは各々のサイトにてご確認ください。

このページではU-NEXTで配信中のヒックとドラゴン 聖地への冒険 から執筆しました。

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このページは 時点のものです。
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