頭を空っぽにして楽しめる
主演スカーレットヨハンソンによる、SFアクション映画です。
テンポが非常に良く、展開が早い映画でした。説明が全くない冒頭から突然人が殺されたり、敵とともに死体が登場したり気が付いたら主人公は薬を打たれていたり。とんでもないスピード感で物語が展開されていきます。ですが、サスペンス映画のように犯人はだれかと考えることや伏線らしい伏線が張られている様子がほぼないため、頭を空っぽにして楽しめます。
また、細かい説明がなくとも状況がすっと入る表現が秀逸なのが印象的でした。例えば冒頭マフィアの運び屋にされたのちに薬を打たれるまでのシーン。主人公はこの過程を経て普通の女子大生から人類を超えた上位存在へと覚醒していきます。あまりセリフはないはずなのに、登場人物の性格、敵は誰か、どんな過程を経てが覚醒するのかがわずか15分の間に分かりやすく描かれています。セリフの裏を読む必要が全くないため非常に見やすいです。
映画は見たいけど重いのは気分じゃないなというときにおすすめです。
驚愕のアクションシーン
アベンジャーズ等でスパイを演じているスカーレット・ヨハンソン。人としての心を徐々に失っていく様子が感じられる圧巻の演技でした。冒頭は普通に恋をし恐怖する感情豊かな女子大生だったはずなのに、覚醒後は人間味がない様子が立ち振る舞いからでも分かるほどです。
また、途中に挟まれるカーチェイスシーンは本当に大迫力でした。何台もの敵車両やパトカーを振り切り、抜き去る点。一般道を逆走しながら向かってくる車両の方向を予測し、事故を起こしまくる他車両の間を超スピードで縫っていくシーンは圧巻です。MCU、ワイルドスピードなどのアクション映画が好きな方は気に入るのではないでしょうか。
ですが、こと戦闘シーンに関しては物足りなさを感じてしまいました。主人公は覚醒後、超能力とも呼べる力を手に入れます。これにより、たとえ20人の銃を持った男たちに囲まれても手を振るだけで寝かせたり、宙に浮かせることで一瞬で倒してしまいます。明らかに不利な状況をどう乗り切るのかという点が楽しみなところですが、すべて超常現象でねじ伏せてしまうため面白みに欠けているように思えました。
設定や状況を深く考えてはいけない
本映画の設定は、人類が普段、脳の本来の機能を10%しか使っていないとする都市伝説のような学説をもとにしています。この隠された機能を100%まで使用することで、他人や重力、電磁力、物体の構成から時間までありとあらゆるものを操れるようになるという話です。冷静に考えれば、100歩譲ってこの都市伝説が正しいとしても、人の臓器や細胞にそのような機能はないため、ありえない話です。学説をもとにしているにしては設定の作りこみが浅く、こじつけがましく感じてしまいました。
また、手術中にマスクをとる医者、殺人犯に協力する警察、無限弾薬無反動ピストルなど、ところどころ現実的におかしい部分が登場します。
深く考えるとつまらなくなってくるので、やはり頭を空っぽにしてみるのがおすすめです。