若い人でも見やすいように、よく配慮がされていると思います。派手なCGを使いエンタメ重視の時代劇ものとしてみればおもしろです。時代劇がテレビからなくなるこの時代こういった作品は残っていって欲しいです。
- 原題
- THE FLOATING CASTLE
- 公式サイト
- https://www.asmik-ace.co.jp/works/1293
- 監督
- 登場人物
- 配給会社
ここがおすすめ!
- 歴史をエンタメとして難しいこと抜きで楽しめる!
- 野村萬斎ら豪華俳優陣による演技力あふれる映像!
- 城攻めの水攻めなどのシーンの映像がリアル!
あらすじ
この男の奇策、とんでもないッ 20,000人 VS 500人 豊臣軍にケンカを売った、でくのぼうがいた。
のぼうの城 | アスミック・エース
時代は戦国時代であり、豊臣秀吉がまだ関白になる前の北条氏の小田原城で支城の一つである「忍城」攻めのお話になります。現在は埼玉県東部エリア行田市にあり、関東7名城のひとつに数えられており、豊臣秀吉の関東平定の際には、石田三成の水攻めにも耐えた「浮き城」として知られています。続日本100名城のひとつにもなっています。
そんな舞台を和田竜が歴史小説にした「のぼうの城」をもとにした映画作品になります。
ほかにもコミカライズ作品も数点あります。
巨大な軍勢に立ち向かう少数精鋭
豊臣軍勢2万強で、総大将は石田三成に対して成田長親率いる軍勢はたったの500。これで太刀打ちできると思えるのか、数の関係からも勝敗は明らかです。豊臣軍勢も楽勝と考えている。そんな中で天下統一を図る豊臣軍勢と対立する北条家につくのか、成田家の家臣たちは真剣に悩むにもかかわらず、そして現当主である成田氏長(成田長親の従兄弟)は、小田原にいてすでに豊臣方と内通し降伏の意志を伝えている始末。
そして豊臣軍勢がで城を守るのは、成田長親(なりた ながちか)であり、長親は領民からもでくのぼうを意味する「のぼう様」と呼ばれている。長親は豊臣にも北条にもつかない独自の道を探ろうとするが、何もわかっていない、と家臣たちは呆れる。そんな長親は領民たちの協力と、天性の人たらしで豊臣軍勢を翻弄します。
大群に立ち向かう作品は古典的であり、様々な歴史のエンタメ作品に数多くあります。筆者が似た作品だと「300」、「キングダム・オブ・ヘブン」が思いうかべました。
魅力的な長親を演じる狂言師である野村萬斎
底が知れない不思議な魅力を持つ本作の主人公である成田長親に野村萬斎がキャスティングされ、また豊臣軍勢のエース石田三成には上地雄輔、石田三成の盟友である大谷吉継に山田孝之ら、実力派俳優陣による名演技が見所です。
長親は普段から城下に出て領民たちと触れ合っており、その姿をみて苦々しく思う長親の家臣たちだが、領民が豊臣方について水攻めの堤を作る際には、長親と親しくしていた領民がスパイのような活動をしたりするところは、戦は数で勝敗が決まるわけでないというところを実感する場面です。
また水攻めの堤を守る敵軍の前線に長親が船で出ていき、命がけで狂言を舞う姿はさすが狂言師というところもさることながら、長親のファンを敵軍である豊臣方にも作ることで戦を混乱させるところは、何が起こるかわからないハラハラ感を感じることができます。真向勝負をすればまず勝てないような数の軍勢では、相手の裏をかくような戦略が必要です。
普段は寝転がって何もしていない長親でも、いろいろと考えていた、ということでしょう。こういった人は日常にもいます。考えている間は何もしていないように見えても、いざというときに力を発揮する、という人は頼りになります。
それを知らない人からしたら、あの人何?って思ってしまいますが。
歴史エンタメ小説と映画化のギャップ
原作は、本作「のぼうの城」がデビュー作の和田竜です。和田氏は歴史エンタメ小説が大変好評であり、この作品は堤で水に囲まれた城や堤が決壊する際の洪水の映像など、非常にリアルな映像で視聴者に緊迫感を見事に演出しています。
和田氏の作品では、100万部を突破した2013年に単行本が刊行された大ヒット作「村上海賊の娘」が有名だと思います。こちらも中世に瀬戸内海で活躍した海賊、村上水軍をテーマにした歴史エンタメ小説です。残念ながら2024年現在、映画化の話は未だありません。
その原因の一つとして瀬戸内海を航行する海賊の船団をダイナミックなスケールで撮影するのには予算がかかりすぎるではないかと予想します。
歴史をテーマにした映画作品だと黒澤明監督の有名なエピソードで、「乱」という映画の撮影時に実際にセットではない城を建築して、撮影のために燃やしたというものがあります。他にもキャストが足りないからスタッフ総出で集めたや途中までの試写会で予算を集めたなど黒澤明監督には数々の逸話があります。
映画製作の予算が桁違いだったことで有名な黒澤監督ですが、撮影のために城を建てて、さらに燃やすという映画人でなくても制作費用がどれだけかかるのか?と考えてしまうでしょう。
話がだいぶ脱線してしまいましたが、のぼうの城についても、実際に水攻めのシーンなどは、ある程度のシーンを実際に撮影して、一面に水が溜まっているシーンなどの一部にCGを使うVFXという撮影技術を使用しています。
これによって黒澤明監督の時代よりはある程度製作費を抑えることができましたが、それでも制作費用は15億円かかっているのに対して興行収入が28億円でした。
映画を事業として考えると、制作費用に対してもう少し興行収入が伸びてほしいところです。そう考えると、村上海賊の娘が映画化できない理由が理解できるのではないかと思います。VFXで撮影しても映像を作るのにお金がかかりすぎてしまうのでした。
それでも、のぼうの城同様、村上海賊の娘は映画化されれば絶対に面白いといえます。和田竜の歴史エンタメ小説は、それだけ映画との相性はよいと思います。原作を読んでいても、活字であっても映像が頭に次々に浮かんできて、登場人物たちが生き生きと動き回っています。
そんな小説が実際に映像化された作品が「のぼうの城」、と言えるでしょう。
歴史に詳しくなくても楽しめる!爽快な戦いの物語
本作は終わり方も爽快です。
豊臣軍勢が勝つのは数の上からも、歴史の上でも明らかなのですが、少ない人数での健闘を称えるシーンでは、こうした戦においてもスポーツマンシップのようなものがあったのではないか、と考えると歴史的に戦にもロマンを感じる終わり方です。
歴史もの、というと難しいのでは?と感じる人にもぜひ見てもらいたいです。映画エンタメとして完成されていて、見終わった後の爽快感と、成田長親という人物が実際にいた、という歴史のロマンにエンタメ性を十分に感じることができるでしょう。
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