PUSH 光と闇の能力者

10か月 ago

3.5

能力者同士の異能バトル。異能力バトルだとX-MENが有名ドコロですが、この作品はわりと地味。バトルとしてよりも心理戦の戦いがとてもおもしろかったです。

原題
PUSH
監督
登場人物
ニック・ガント

Actor: クリス・エヴァンス

10年前に父親をディビジョンに殺された経緯を持つ青年。

キャシー・ホームズ

Actor: ダコタ・ファニング

母親がディビジョンに捕らわれている。

キラ・ハドソン

Actor: カミーラ・ベル

ディビジョンでの投薬実験に耐えた唯一の能力者。キャシーの母の助けでディビジョンを脱出した後、自身の記憶を2日分消した。

配給会社

ここがおすすめ!

  • 先の読めないストーリー展開
  • 異能者が存在する独特の世界観
  • ヒーロー映画とは違う超能力バトル

あらすじ

念動力という特殊能力を持つニックは、ある日未来予知力を持つキャシーから、ある女性の行方探しを手伝って欲しいと頼まれる。 その女性キラは謎の政府機関“ディビジョン“から脱走したというのだが……。

筆者が要約しました。

内容とスケールからB級のくくりになるのかと思います。ただB級と呼ぶには恐れ多いキャスト揃えてます。主人公はマーベルヒーローのキャプテンアメリカですし。
CGも比較的頑張ってました。(メチャクチャ凄いCGではないですけど、B級モンスターにありがちな違和感ありまくりのCGなんかではないです。)

内容はひたすら平坦な一本道のストーリー。起伏なく進むって感じ。(物語のキーとなるキャシーの母親が最後まで出ないのはいただけないと思います。続編につなげたかったのか)

一番盛り上がりはと聞かれたら、ちょっと困る作品です。中盤の香港マフィアとの未来との心理戦だったり、念能力者同士のバトルは盛り上がると思います。ただそこが中盤なので終盤にかけて盛り上がらず不完全燃焼がする作品でした。

超能力の軍事利用は本当にあった話!?

陰謀論が好きな人なら、楽しめる作品だと思いました。

本作で描かれているのは「超能力の軍事利用」。調べてみると、DTIC(米国防技術情報センター)のアーカイブに、超能力についての研究が残されていました。また1960年~1970年代には、超能力の軍事利用計画が立てられていたという噂も。なお計画は、90年代まで続いていたそうです。

計画をつきとめたのは、イギリス人ジャーナリスト。ジャーナリストがまとめたレポートは、後に「ヤギと男と男と壁と」のタイトルで、映画化にもなりました。

超能力の軍事利用。事実かどうかについての判断は、各々にお任せします。ただ陰謀論が好きな人なら、ワクワクできる映画であるのは事実です。

展開が早い!

映画の展開は早く、1秒たりとも目が離せません。

物語は10年前の出来事から始まります。そして次に場面が変わると謎の施設からの脱走シーン。その後すぐに映画メインの舞台となる香港シーンに入っていきます。3つのシーンが流れる時間は僅か8分!間にOPシークエンスが入るため、実質的な時間は5分です。5分で映画の世界観を全て説明されていました。

映画の世界観を説明するのに、長たらしい説明は皆無。OPではナレーションが入っているものの、ほとんど「映像」で語られています。邦画ではまず見ない手法です。

一息つけるシーンが来ても、油断は禁物。いきなりバトルシーンに入り、場面から目が離せなくなります。バトルが終わったと思ったら、別の場所で重要シーン投入。

凄まじいスピード感です。

映像がスタイリッシュでオシャレ

今作はスタイリッシュな映像が目白押しでした。アクション映画の場合だと優先されるのは迫力のある映像。スタイリッシュさは二の次だと思っていました。しかしながら本作映像は、とてもスタイリッシュ。どのシーンを切り取っても、1枚の絵として成り立ちます。

OPシークエンスでは、歴史映像が次から次へと切り替わっていきます。映画「セブン」を思わせるような、意味深な演出が印象的です。さらにダコタ・ファニングのナレーションも相まって、映画の空気感を作り出しました。

香港の九龍城砦のような独特のゴチャゴチャした街並みも、本作にかかればスタイリッシュに変身。クリス・エヴァンスが香港の街を歩くだけでも、絵になります。

アクション映画好きな人はもちろん、アート系映画が好きな人でも楽しめる一作です。

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設定は斬新だけど惜しい

「PUSH 光と闇の能力者」には、斬新な設定が織り込まれていました。だからこそ、もう少し物語に踏み込んで欲しかった気がします。

政府が秘密裏に進めていた超能力実験。実験に関わるアイテムをめぐり、香港でバトルする映画。聞くだけでもワクワクが止まりません。超能力の設定も面白く、スニッファー・ウォッチャー・ムーバーとジャンル分けされているのも斬新でした。実在の軍事実験をモチーフにしているだけあり、リアリティもあります。

だからこそ色々と惜しいと感じる部分も。超能力についても、もう少し踏み込んで欲しかったです。物語の方向性を決定づけた「ウォッチャー」の能力も、後半では飾り程度に収まっていました。ラスボスの存在感も薄く、ハラハラドキドキもありません。

これに関しては色々と惜しい映画でした。

クリス・エヴァンスとダコタ・ファニングの名コンビ

クリス・エヴァンスとダコタ・ファニングのコンビ。控えめに表現しても「最高」でした。

「PUSH 光と闇の能力者」は、超能力題材のサスペンス映画です。一方で、だらしない男としっかり者少女のバディムービーな一面もありました。

クリス・エヴァンス演じるニックは、冴えない男。お金にだらしがなく、その日暮らしです。ダコタ・ファニング演じるキャシーは、しっかり者の少女。

2人の関係性をだけを見ると、同じバディものとして映画「レオン」をまず思いつきました。しかしキャシーは「レオン」みたいに、守られるだけの女の子ではありません。

ところが、彼らの関係は映画の途中で変わります。様々なアクシデントを潜り抜けて、漢になったニック。キャシーは心を開いたのか、年齢相応の顔を見せてくれます。

別の形でも良いから、クリス・エヴァンスとダコタ・ファニングの共演映画が、また観たいです。

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海外ドラマでお馴染みの俳優も登場

「PUSH光と闇の能力者」では、海外ドラマ好きなら思わずニヤリとする俳優も出ています。

冒頭に登場した父親を演じていたのは、ジョエル・グレッチ。「4400 未知からの生還者」で、メインを務めた俳優です。主人公の協力者役を務めたミン・ナは、日本でも話題になったドラマ「ER 緊急救命室」に出演。主人公の少年時代を演じたコリン・フォードは、ドラマ「スーパーナチュラル」に出演していました。

さらに意外な役でも、海外ドラマでお馴染みの俳優が出演。想像遥かに超える、豪華なキャスト陣です。

巧妙に張られた伏線の数々

本作の至る所に、伏線が張られていました。一度映画を見ただけでは、全ての伏線を把握するのは難しいでしょう。

鏡の文字や絵は、初見でも「伏線」だと一発で分かります。ただ「何気ないシーン」が、重要展開の伏線になっていたのは驚きました。

ただ伏線の中には、回収しきれていない要素があるのも事実。伏線回収は、続編で回収するつもりだったのでしょう。残念ながら肝心の続編は制作されず仕舞い。本作に敷かれた謎は未解決のままです。

各サイトのレビューサイトのスコア

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