ヒュー・ジャックマンが演じるラブロマンス
予告などでは潜入ミッションがフォーカスれされていますが今作は潜入ミッションではなく、突然の出会いから生まれたハードボイルドラブロマンス映画でした。今作の主人公ニック(ヒュー・ジャックマン)は退役軍人。公式では記憶潜入エージェントとありますが、お客に良い記憶を見せてひとときの安らぎを提供する一種のサービスを提供する人でした。
そこにある日、お客として訪れたメイ(レベッカ・ファーガソン)。初めお客として訪れたメイにだんだんと惹かれていくニック。しかしメイある日忽然と消えてしまう。必死にニックはメイを探すためにレミニセンスをおこうが、まったく見つからない。しかしとある事件をレミニセンスを行なった際にメイのヒントが見つかる。そこからだんだんとメイの秘密がわかってくる。この話が進むにつれて女性の知らない部分を知ってしまいどんどん記憶から抜け出せなくなって行く男の姿を描いています。
このように今作はひたすら、ニックが好きになった女性を探す物語となっていました。なのでSFサスペンスではなくSFラブロマンス映画です。
設定はおもしろいです
- 海面上昇で水没しつつある都市
- レミニセンスをつかっての記憶をたどる捜査
海に浸かりだんだんと生活圏を終わり不満が溜まる貧困層と陸地があり安全に過ごす富裕層に分たり、水没する街並みとかの設定もおもしろいです。しかしながら、これらを活かした展開やアクションがまったくと言っていいほど無かったのが本当に残念でした。メインはニックが過ごす日々を本当に綺麗で良い感じです。

これは言葉としては「ノスタルジー」という言葉が適している描画だと感じます。本作のほとんどは夜がメインでありながら、けっしきて画面が暗いものではなく街並みが懐古や追憶をさそうものであり、アメリカ人ではなくてもどこか懐かしさを感じずにはいられませんでした。
こんな美しくも古めかしい画作りを愛を信じる男・ヒュー・ジャックマンと謎の美女・レベッカ・ファーガソンがそれぞれ大人の香りを醸し出しながら、ラブストリートしてとても素敵な画を創り出していました。
記憶は真実か虚構か
本作は記憶をテーマにしており、ニックは過去の記憶を取り出す装置を使い、希望のない世界に住む人々に過去の良い思い出を追体験させるという商売をしています。この記憶に溺れる人間模様は本作のところどころに登場します。
そんなニックは、メイとの美しい思い出におぼれているその様が、この水没しかかっている街とマッチしていると話が進むにつれて感じました。
SFとしてのアイデアの今回である記憶の映像化は、生田斗真×岡田将生×松坂桃李「秘密」がありました。そして現実にも脳の働きから近く映像を読み取り、画像化する実験はすでに行われています。将来はこの映画のような技術が実現するかもしれません。

う〜ん、これはPR間違えたのでは?
記憶に潜入し、その潜入にはリスクがある。都市が水没して希望がない。などなどSFミステリー要素がたくさんあり、SF好きにはたまらない作品かと思いきや、話はいたって単純なラブストーリです。正直SF要素はいらなかったかもと思えるぐらい。ドラマ「WESTWORLD」のリサ・ジョイ監督なのであの映像作品が好きな方には満足できるかもしれません。
これはPVを観て記憶を扱ったSF大作というイメージだと思い本作を視聴すると、実際に本編を鑑賞すると思っていたのと印象があまりにも違い、始まってからしばらく戸惑ってしまいました。
本編が進むにつれて、ガタイはいいけどさっぱり使えないキャラのヒュー・ジャックマン、気恥ずかしくなるようなファム・ファタル、行き当たりばったりなシーンを重ねる展開。このようなあまりにも古色蒼然としたハードボイルドタッチのメロドラマになっており、自分はどのジャンルの映画をみているのだろうか?と思ってしまいました。そして突如始まるガンアクション。
本作の監督であり脚本も手掛けたリサ・ジョイはこれがやりたかったのだと感じました。このメロドラマ感はドラマ「WESTWORLD」を思い起こさせます。
しかしながら「インセプション」のような世界観、過去と現在が入り混じり、複雑なストーリーを楽しみたい方は肩透かしな作品です。
ラストの過去に縛られるのか未来へ一歩を踏み出すのか、どちらが幸せなのでしょう。