RRR「Raudraṁ (怒り)」「Raṇaṁ(戦争)」「 Rudhiraṁ(血)」

S・S・ラージャマウリ監督といえば、2018年に公開された「バーフバリ 伝説誕生」「バーフバリ 王の凱旋」の2部作が有名だと思います。バーフバリは少しありきたりなヒーロー映画に飽きていた時に衝撃を覚えました。あんなにワクワクしたのを覚えています。
そんな前作「バーフバリ」2部作とは、ロードオブザリングのような神話でありファンタジーテイストが強かった作品だったと思いますが、今作「RRR」は1920年の大英帝国の植民地だったインドが舞台。ファンタジー作品からリアルであり当時実在した人物をモチーフにしている作品になったことでどんなテイストになったのかと思っていたら、史実を独自にアレンジしている作品です。というか史実というより史実で登場した人物の英雄譚です(ほぼファンタジー)。
そしてバーフバリと同じくビッグ・スケールの大作になっており、もう本当に見ているだけで楽しいエンタメ映画です。
今作のタイトル「RRR」は製作国インドだとテルグ語で「Raudraṁ (怒り)」「Raṇaṁ(戦争)」「 Rudhiraṁ(血)」のようです(筆者はインドの言語に疎いので誤りがあるかもしれません)。この3つの頭文字を取っているようです。
この頭文字どおり今作は全編をとおしてサーカスのような仰天のアクションが続き一息つく暇を与えてくれません。またのビーム(演:N・T・ラーマ・ラオ・Jr.)と、ラーマ(演:ラーム・チャラン)の二人の男が織りなす友情を超えた絆の物語でもあります。これはバーフバリだとデーヴァセーナやアヴァンティカのように男と同じく戦う女性は登場せず、ひたすら男と男の物語に割り振っています。(男版リコリス・リコイルだと考えるとしっくりきます。)

派手で盛り上がるアクションとダンスの連続
やっぱりインドの大作映画は豪快なパワフルアクションと華麗な神技アクションです。コーエーテクモの無双シリーズのような一撃で人が吹っ飛ぶあり得ないアクションの連続です。こういったアクションは度が過ぎると現実味がなさすぎてはっきりいうと子どもじみたアクションだと拍子抜けてしまう作品もあります。そんな中今作は現実味がないなかでエンターテイメントとして楽しむことができました。
このアクションシーンを存分に楽しむためには、映画館というフルスクリーンで観ないと意味がない映画でした。
キービジュアルで2丁拳銃を持って肩車をもっている姿を見たときはどうなんだと思っていたら、いや肩車がこんなにかっこよくなるのか!

そしてインド映画といえばと踊り。劇中でもいろいろな踊りが登場しますが、特に印象に残るのはイギリス総督府で開催されたパーティで披露された、ラーマとビームが踊るナートゥダンス。
これまでの宮廷ダンスとは違い、心躍る歌とハイレベルのキレッキレダンスで今作の二人の主役であるビーム(演:N・T・ラーマ・ラオ・Jr.)と、ラーマ(演:ラーム・チャラン)が作り上げたシーンで心躍る歌はもちろん息ピッタリの高速ダンスを披露していました。

豪華絢爛な美術セット
ナートゥダンスのミュージカルシーンはウクライナのマリア宮殿で撮影されたそうです。他にもインドをはじめ、オランダ、ブルガリアなど世界を股にかけて行われているようです。アクションに目を奪わればがちですが、今作は世界をまたにかけて撮影された豪華絢爛な美術と衣装にも私を含めて多くの観客の目を楽しませてくれると思います。
