【新海誠監督が描く震災】すずめの戸締まり

2年 ago

3.5

すでに新海誠監督というとどんな作品になるのかを想像できるぐらい、「新海誠監督」というブランドになっていると思います。 そんな新海誠監督がおくる今作もやはり映像がきれいです。 そして今作はこれまでの「君の名は」や「天気の子」とは趣向が違い日本列島を九州から東北まで横断する冒険譚ともなっていました。

原題
Suzume no Tojimari
公式サイト
https://suzume-tojimari-movie.jp/
上映日・配信日
2022年11月11日
監督
登場人物
岩戸 鈴芽

Actor: 原菜乃華

宮崎県の静かな町で叔母の環と2人で暮らす17歳の女子高校生[9]。4歳の頃に母親を亡くす。脚が一本欠けている椅子(母の形見)を大切にしている。

宗像 草太

Actor: 原菜乃華

『閉じ師』として日本各地の扉を閉める為に旅をしている青年。ある廃墟に向かう途中で鈴芽と出会うも、後にある出来事によりすずめの椅子に姿を変えられてしまう。

配給会社
制作会社

ここがおすすめ!

  • 新海ワールドの世界が満載の映像美
  • ガールミーツボーイから始まる日本横断旅行
  • 賛否が分かれると思う後半の震災

あらすじ

九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、「扉を探してるんだ」という旅の青年・草太に出会う。 彼の後を追って迷い込んだ山中の廃墟で見つけたのは、ぽつんとたたずむ古ぼけた扉。 そんな扉を閉めた際怪我をおった草太をすずめは助ける。 その時突如、謎の猫・ダイジンが現れ、草太がイスにし逃げてしまう。 逃げるダイジンを捕まえようとしつつ、日本各地で次々に開き始める扉を戸締まりすつ旅にでる。 旅先での出会いに助けられながら辿りついたその場所ですずめを待っていたのは、忘れられてしまったある真実だった。

公式サイトのStoryより抜粋

ファンタジーな世界観

近年の新海監督の作品だと男女が入れ替わる「君の名は」、女の子が願うと必ず晴れる「天気の子」で若干ファンタジーの世界観が入った作品だと感じました。そんな中での本作は、早めにファンタジーの世界観を全面に出すファンタジー感の強い作品になっていたと感じました。このようなファンタジーを全面に出したのは、アガルタという世界を冒険する「星を追う子供」だと思います。

そしてやはりとも言うべき新海誠映画の映像美は今回も健在でした。

新海監督の映像は、新海ワールドとも呼ばれているみたいで心情を象徴したかのような美しい風景があると思います。特に空の描写が素晴らしいと感じています。空から差し込む太陽の日差し、スッキリと晴れた鮮やかな青空、夕日になりかかると薄紫(ピンク)っぽい色彩から夕焼け。どれもこれだけで画集が出せるのはではないかと思えるほど素晴らしい風景描写と思っています。

そんな新海ワールドも今作も健在であり、冒頭の扉の先にある世界である星空の丘のような非現実的な風景はもちろんのこと、今作は特に主人公すずめの暮らす家や街並み、そこから日本各地の自然や都会などなど。移動ルートや移動時間の描写までも映像美がきれいでありリアリティがとても日常感があり、細部まで何処かで見たことがあるい言えて楽しむことができました。

スズメと草太(イス)のコミカルなガールミーツボーイ

やっぱり新海監督は男女の出会いから始まる物語はささるものがあります。

今作はすずめが草太と出会いすずめの一目惚れから始まります。(昔にどこかで会った気がするみたいなセリフがあった?かもしれない。うろ覚えなのです)

そのあとすぐに猫の姿で現れた要石の「ダイジン」によって草太がイスにされてしまい、その原因になったダイジンを追って日本を宮崎から宮城まで追いかけます。途中で追いかけるのではなくなくりますが。

この二人がダイジンを追いかけなが各地で出会う人々とのふれあいがそれぞれやさしく、このやりとりを見ているだけで心が優しさに包まれる感じがします。あとローカルご飯も美味しそうです。

そして2022年のネット時代の作品ということで、作中かなりでデジタルを多様します。スマホはもちろんのことTwitter(らしきもの)やLINEやInstagramはふつうに出てきます。あとなにげにすずめを追いかけるために電車の乗車履歴を調べて足跡を追うのは、いかにもネット時代でした。

ただ思春期の子にLINE(っぽいもの?)で長文を連続で送信するのはやめたほうがよいかも。

後半からの震災への向き合い

今作の重要なテーマである震災が「ミミズ」というファンタジー要素として表現されています。そして「東北地方」「3月11日」「地震」という言葉がストーリーのところどこで出でてきます。

また東日本大震災や阪神淡路大震災などこの日本だと震災は突然襲いかかってくるものであると思います。ある日突然これまで日常にあった街が消え、生活が消え、大切な人がいなくなる人がある。

そんな緩やかな絶望と虚無感に襲われることがあると思います。

主人公すずめも震災被害者です。

そんな震災被害者のすずめがこの震災とこれまでどう向き合っていたかが、これからどう向き合うかへ変わるかが今作のもう一つのテーマだと思いました。

これまで当たり前にいえた日常であり言葉であった「いってきます」や「ただいま」を私たちは忘れてはならない。そんなメッセージがあると思います。

おそらくこれは今作を賛否両論に分けると思います。筆者は震災で幸いなことに震災で大切なものを失われずにすみました。ただ震災被害者の方には当時に記憶が蘇るかもしれなく、ネットの感想をみるとこの震災のテーマはなかなか扱うことが難しいと思う。ただあらためて震災について考えて見てほしいというメッセージがある作品になっていると思う。

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