新海監督ワールドの映像とRADWIMPSの音楽がぴったりで最高! – 天気の子

6日 ago

3.5

いろいろツッコミどころはありますが、お天気のファンタジーと青春映画がうまく組み合わさり、それを素晴らしいアニメーション作品に仕上がった作品になっていました。

原題
Weathering with You
公式サイト
https://tenkinoko.com/
監督
登場人物
森嶋 帆高(もりしま ほだか)

Actor: 醍醐虎汰朗

家出して東京にやってきた16歳の高校1年生少年。閉塞感を抱えていた故郷の島を離れ、都会での自由を求めるが、やがて陽菜と出会い、彼女の秘密を知る中で運命に巻き込まれていく。

天野 陽菜(あまの ひな)

Actor: 森七菜

帆高が出会った少女。母親を亡くし、弟と二人で生活している。祈ることで一時的に天気を晴れにする「100%の晴れ女」としての不思議な力を持っており、それが物語の鍵となる。

須賀 圭介(すが けいすけ)

Actor: 小栗旬

東京で探偵まがいの仕事をしている男性。帆高を住み込みで雇う。自身も娘を抱える父親であり、社会の現実に直面しながらも、どこか不器用な優しさを持っている。

須賀 夏美(すが なつみ)

Actor: 本田翼

圭介の姪で大学生。元気で社交的な性格。帆高にとっては少し憧れのような存在。将来はフリーライターを目指しており、物語を通じて成長していく一面も描かれている。

天野 凪(あまの なぎ)

Actor: 吉柳咲良

陽菜の弟で、小学生ながら大人びている。女子からも人気があり、時に兄のような立ち回りをすることも。陽菜を守るために奮闘する、しっかり者。

配給会社
制作会社

ここがおすすめ!

  • 新海誠監督らしい美しすぎる映像美と光の表現。
  • RADWIMPSの楽曲と映像の完璧な融合。
  • 現代的な社会問題を織り込んだリアリティのあるストーリー。

あらすじ

天候の調和が狂っていく時代に、運命に翻弄される少年と少女が自らの生き方を「選択」するストーリー。 東京にやってきた家出少年・帆高が出会った、不思議な力を持つ少女・陽菜。ふたりの恋の物語は、美しく、切なく、新たな時代を迎えるあらゆる世代、そして全世界へのメッセージとして描かれる。

映画『天気の子』公式サイト

2016年に公開されて「君の名は。」で250億円以上の興行収入となり、一躍有名になった新海監督。そんな新海監督の次作として公開されたのが「天気の子」となります。

新海監督の作品は、緻密な風景描写光の表現が特徴でしょう。それは空や雲、雨といった自然の描写は、まるで実写以上に美しく、私たちを物語の世界へと引き込みます。その表現は色彩表現です。単なる背景ではなく、キャラクターの感情や物語の進行を伝える重要な要素として色彩が使われています。

「天気の子」では朝焼けのグラデーションや、夕暮れの鮮やかな赤、雨上がりの澄んだ青など、現実にはありえないような光の筋と相まって、感動的なシーンを生み出しています。特に「天気の子」は天気とあるようにさまざまな気象の表現があり、特に雨の表現については本当に息を呑むほどで、「君の名は。」でも美しい映像は印象的でしたが、この作品ではさらに一歩進んで、天気という自然現象そのものが主人公の一人のような存在感を放っています。雨粒の一つ一つまで丁寧に描かれていて、光の反射具合も実に細かく、新海監督らしい表現を感じられました。

AIで作成したイメージ画像

新海誠監督の作風進化

東京の街並みの描写は、「ああ、確かに似たような風景を見たことがある」と思わずにはいられないほどリアルでした。新宿や渋谷の雑踏、代々木会館の独特な雰囲気、そして何より雨に濡れた東京の街の美しさと憂鬱さが同居している感じが、本当に見事に表現されていました。ただ美しいだけでなく、現実の東京が持つ雑多さや、時に美しくない部分も含めて描写していたのが印象的でした。

新海誠監督の作風の変化にも目を見張るものがありました。初期の作品である「ほしのこえ」や「雲のむこう、約束の場所」などでは、どちらかというと内向的で、個人的な感情に特化した物語が多かったように思います。「君の名は。」から「天気の子」へと続く流れの中で、より社会性を持った作品を作るようになったのは非常に興味深かったです。個人の物語でありながら、同時に社会全体に対するメッセージも込められているという、バランスの取れた作風になっていると感じました。

新海誠監督の作品は世間の注目度が高く、「君の名は。」の後に作られた作品としてどうしても比較されがちです。しかし、私は全く別の作品として楽しむべきだと思います。確かに映像の美しさや音楽の素晴らしさなど共通する部分もありますが、テーマやメッセージは全く異なりますし、それぞれに独自の魅力があります。「君の名は。」が運命的な出会いと別れを描いた作品だとすれば、「天気の子」はより現実的な社会の中での選択と責任を描いた作品だと言えるのかもしれません。

等身大の青春を描くキャラクター描写

物語は高校生の森嶋帆高が家出をして東京にやってきた時に不思議な力を持つ少女・天野陽菜と出会いから始まります。彼女は祈ることで晴れ間を呼ぶ「晴れ女」の能力を持っていました。二人は「お天気サービス」を始めますが、その力には大きな代償が伴うことを知り、帆高は究極の選択を迫られることになります。

この10代の男女が出会う物語は、新海監督の作品でよく用いられる関係性です。そしてその中心となる帆高と陽菜の関係性についてですが、これがまた絶妙なバランスで描かれています。帆高の家出少年としての心の揺れ動きや、大人への反発心、それでいて純粋な部分も残している複雑さが、とても丁寧に表現されていました。これは高校生の頃を思い返してみると、あの頃は本当に複雑で、大人を信用できないくせに一人では何もできない、でも妙にプライドだけは高いという少々厄介だったと思い返す方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな等身大の高校生の心境が、帆高というキャラクターを通して見事に描かれていました。一方の陽菜は、弟の凪の面倒を見る責任感の強さと、帆高より年上でありながらも少女らしい部分を併せ持つキャラクターとして、非常に魅力的に描かれています。

ただこの作品で特に印象深いと思ったのは単なる恋愛アニメではなくところどころに、現代社会の問題を自然に物語に織り込んでいる点があることです。例えば、帆高がアルバイトとして働くオカルト雑誌の編集部での描写は、まさに現代の労働環境を象徴しているようでしたし、陽菜たちの生活環境についても、母子家庭の経済的な困窮や、子どもたちだけで生活していかなければならない現実などを決して他人事ではない社会問題が背景に織り込まれていました。

AIで作成したイメージ画像

それが説教臭くならずに物語の一部として機能しています。それらのシーンは変に政治的なメッセージを前面に出すのではなく、あくまで登場人物たちの日常の延長線上に社会の現実があるという描き方が、とても自然で説得力がありました。

RADWIMPSとの完璧な音楽融合

前作「君の名は。」でも素晴らしい楽曲を提供していたRADWIMPSですが、今回もまた映像と音楽の融合が見事でした。特に「愛にできることはまだあるかい」が流れるシーンでは涙腺が完全に崩壊してしまいました。音楽と映像、そして物語の展開が三位一体となって感情を揺さぶってくる演出は、本当に見事としか言いようがありません。野田洋次郎さんの歌声と、あの映像美が組み合わさると、それだけで一つの芸術作品として成立してしまうような完成度でした。

RADWIMPSが手がけた主な楽曲と使用シーン

楽曲タイトル使用されたシーン
愛にできることはまだあるかいオープニングとラストシーン。帆高が東京に向かう場面、そしてラストで陽菜と再会する感動的な瞬間に使用。物語の核となるバラード。
グランドエスケープ(feat. 三浦透子)クライマックスの雲の上を駆ける浮遊シーン。2人の絆と自由を象徴する壮大な楽曲。
風たちの声帆高が東京での新生活に踏み出す序盤の場面。日常のリズムや希望を感じさせる軽やかな曲。
祝祭(feat. 三浦透子)陽菜・帆高・凪が「晴れビジネス」で活躍する明るくにぎやかな場面に使用。一時の幸福を切り取った楽曲。
大丈夫帆高と陽菜が逃避行する場面。2人の不安と絆が交差する心情を描いた、感情に寄り添う曲。
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物語構成への賛否と若者の現実への抗い

「天気の子」は普遍的な少年少女の「恋愛」を軸に進んでいます。帆高と陽菜の関係は、確かに特殊な能力や超自然的な現象に彩られていますが、その根底にあるのは、とてもシンプルで普遍的な「好きな人を守りたい」という気持ちです。それがどんなに大きな犠牲を伴うとしても、愛する人のためなら世界と敵対することも厭わないという、青春期特有の情熱的な愛情が描かれていました。

しかしながら終盤の展開については、少し急展開すぎるという印象です。冒頭で16歳になったばかりの帆高が家出し東京にくる際の理由がよくわからず、劇中のsnsのコメント「人生そんなに甘くはない。」それはその通りとおもってしまいました。

また陽菜の能力についての説明や、なぜ彼女がその力を持つことになったのかという背景をもう少し詳しく知りたかったというのが正直なところです。そして主人公・帆高が社会のルールに抗い、陽菜を選び取る決断や、その後の世界の変化について、あとの結果をみると倫理的な問いかけに対する深掘りが足りないように感じられました。

ただ現代を生きる若者たちの、時に衝動的で、時に無謀とも思える行動力を表現するために、あえてそのような構成にしたのかもしれません。実際、帆高の行動を振り返ってみると、彼の選択はどれも瞬間的で、深く考え込むよりも感情に従って動いているシーンが多いです。それが現代の若者らしさでもあり、この作品の魅力の一つでもあるのかなと思いました。

物語は完全にハッピーエンドとは言い切れない部分もあります。それでも最後には温かい希望を感じることができました。それは技術的な映像美や音楽の力だけでなく、キャラクターたちの人間性、そして彼らが示す強さや優しさによるものです。エンディングでの帆高と陽菜の再会シーンは、観るたびに胸が熱くなる構成でした。

まとめ:美しさと問いかけが織りなす現代の物語

新海誠監督の『天気の子』は、息をのむような圧倒的な映像美が際立つ作品でした。それは特に、光と水、そして空の描写は圧巻で、東京の街並みがこれほどまでに美しく、そして切なく描かれることに深く感動しました。そして現代社会が抱える問題や、若者たちの心の叫びが、この美しい物語の中に確かに息づいています。

「天気の子」は、エンターテインメントとして楽しめる一方で、現代社会について深く考えさせられる作品でもあり、観終わった後も、その余韻と、作品が提示する問いかけについて考えさせられる、記憶に残る一本でした。

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このページではNetflix Jpで配信中の天気の子から執筆しました。

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