2014 のGODZILLA ゴジラやスターウォーズローグ・ワンでおなじみのギャレス・エドワーズ監督作品です。ギャレス・エドワーズ監督らしい作品となっており、大人と子どもがひたすら未開の地を旅します。この流れはモンスターズ/地球外生命体に近い雰囲気をかもしだしていました。
- 原題
- The Creator
- 公式サイト
- https://www.20thcenturystudios.jp/movies/thecreator
- 監督
- 登場人物
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- ジョシュア・テイラー
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Actor: ジョン・デヴィッド・ワシントン
元特殊部隊隊員。スパイ任務で妻を失い意気消沈してしまう。
- アルファ-O / アルフィー
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Actor: マデリン・ユナ・ヴォイルズ
幼い人間の子供の姿をしたAI。AIと敵対するUSは彼女を破壊しようとする。
- マヤ・フェイ=テイラー
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Actor: ジェンマ・チャン
ジョシュアの妻。
- ハルン
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Actor: 渡辺謙
ニューアジアのAIであり、人間と戦うAI軍のリーダー的存在。
- ハウエル大佐
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Actor: アリソン・ジャネイ
ジョシュアを任務に採用したUS軍大佐。
- 配給会社
- 制作会社
ここがおすすめ!
- 圧巻のVFX映像美
- 主人公とAIの感動物語
- 随所に垣間見える日本文化と、日本人に刺さりやすいプロット
あらすじ
無垢な超進化型AIの少女〈アルフィー〉の破壊を命じられる。しかし彼は“ある理由”から、アルフィーと共にクリエイターを探す旅に出るが…。争いの果てに、ふたりが見つけた真実とは?
公式サイトより
本作『ザ・クリエイター/創造者』は、「スター・ウォーズ」シリーズ初のスピンオフ映画『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』で成功を収めた、ギャレス・エドワーズ監督の最新作になります。日本でも大々的なプロモーションが行われていたため、予告などを見たことがある方も多いのではないでしょうか。本作では監督だけでなく原案、脚本、製作にまでエドワーズ氏が名を連ねて、おりオリジナルの作品となっています。
観客を惹きつける圧巻の映像美
本作で人々の心を真っ先に掴むのは、何と言ってもVFXの作り出した圧倒的に美しい映像でしょう。数々のVFXをこれまでに担当してきたエドワーズ監督らしい匠の技は、圧巻です。本作が数々の映画賞にて視覚効果部門でノミネートや受賞を果たしているのは、当然といえるでしょう。
本作の舞台は2055年、AIと人類が戦争を行っている近未来です。いかにも「近未来都市」といった街づくりだけでなく、自然の美しさを引き立てる場面でもVFXが活躍しています。さらに、AIの表現にも非常に多くのCGが使用されており、その技術力の高さに感激してしまいました。このVFXはぜひとも高画質の配信で思う存分堪能したくなる一作です。
定番の「おじさん×少女」もの
物語の登場人物とプロットには、いくつかの定番の型があります。本作はその中でも「おじさん×少女」ものに当てはまるといえるでしょう。少女を守ろうと必死に戦うジョシュアと、そんな彼を自らも守ろうと必死に頑張るアルフィーの姿は、鑑賞するすべての人々の琴線に触れる、黄金の組み合わせです。少しばかりアルフィーが優秀過ぎて、周囲の大人たちが間抜けに見えてしまう部分もありますが、そこはお愛嬌。単なるSFの枠にとらわれず、戦争映画としての骨太さや「汚し」も光る作品となっている印象です。これは「スターウォーズ」シリーズで大ヒットとなったオリジナルドラマ「マンダロリアン」でもこのプロットが当てはまると考えられます。
監督自身が「スター・ウォーズ」シリーズのファンというだけあり、設定や物語の随所にその影響が感じられるため、「スター・ウォーズ」ファンにとっても見やすい作品だと思いますが、特に『マンダロリアン』や『オビ=ワン・ケノービ』好きの方には刺さりやすい作品ではないと感じました。もちろん、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』が好きな方も、気に入る一作だと思います。日本の作品でいうと、こちらも監督がファンであることを公言している『子連れ狼』のエッセンスを感じることができます。
日本文化と、日本人に刺さりやすい物語
本作では人類対AIの対立構造が、それぞれアメリカ対ニューアジアと呼ばれる地域で表現されています。このニューアジアというのは、さまざまなアジア圏の国や文化が織り交ざった地域で、人間とAIが共存する世界づくりを目指しています。ジョシュアとアルフィーがともに旅をするのはどこか東南のアジアを感じることができます。
そしてそこには日本も含まれまており、突発的に日本語が登場するので、日本人としてはついついニューアジア側に気持ちが寄り添いやすい設定になっています。それ以外にもちらほらと日本文化の影がちらつく場面が複数あります。さらに極めつきは、ニューアジアのAI軍のリーダー的存在ハルンを渡辺謙さんが演じており、やはり日本人はこのAI軍側に感情移入しやすいように思います。途中で都市によるのですが、そこがどこか「攻殻機動隊2.0」を思わせる雰囲気となっていました。
エドワーズ監督自身の経歴から考えると、これは当然のことのように感じます。イギリス出身の監督ですが、映画人を志すきっかけは「スター・ウォーズ」シリーズで、このシリーズも日本文化から多大なる影響を受けています。さらに、監督は「ゴジラ」シリーズのファンであることも公言しており、実際にハリウッド版のゴジラ映画である『GODZILLA ゴジラ』の監督も務めています。また、過去には広島の原爆を題材としたBBCのドキュメンタリー作品として「Hiroshima: BBC History of World War II [DVD]」の視覚効果を担当しています。映画内にて日本文化がちらつくのと同様に、監督の経歴にも日本がちらつきます。
筆者はエドワーズ監督の作品には原爆の影もちらつくように感じています。『GODZILLA ゴジラ』はまさに、核爆弾や原子力が物語のキーワードとなっている作品ですが、ハリウッドの娯楽大作映画としては珍しく、広島の原爆についての言及がなされています。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』におけるデス・スターの描写もまた、核爆弾を彷彿とさせました。『ザ・クリエイター/創造者』でも核爆弾は登場しており、監督としては9.11の同時多発テロを念頭に置いてこのシーンは作成したといいますが、やはり日本の原爆を思い出す日本人は少なくないでしょう。
反対に、本作でのアメリカはどちらかというとヴィランの立場として描かれています。また、アメリカ人は比較的勧善懲悪を好む傾向にありますが、本作はその限りではない作品として仕上がっています。近年もてはやされていたヒーロー映画とは一線を画したつくりとなっていて、そこからもまた、アメリカ人以上に日本人の方が親しみやすい作品だと言えるように思います。
美しいVFXの映像に、感動的な主人公と少女の物語、そして日本人にとって親しみやすいさまざまな文化的エッセンスを含んだ本作。アクションはもちろんのこと色彩豊かなアジアの風景も楽しめる旅を映画としても楽しむことが出来る一作となっていました!
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