「ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス」は、これまでハンガーゲームのプレイヤーであったカットニスがレジスタンスの象徴となり、スノー大統領に対抗するための戦いが始まります。物語としては、彼女とピーターの救出を中心に展開し、地区を超えた反乱の様子が描かれます。
- 原題
- The Hunger Games: Mockingjay - Part 1
- 公式サイト
- https://hungergames.movie/
- 監督
- 登場人物
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- カットニス・エバディーン
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Actor: ジェニファー・ローレンス
反乱の象徴“マネシカケス”として反政府活動を担う少女。第13地区に保護され、プロパガンダに出演しながら仲間を救うため奔走する。強い意志と葛藤を抱えながら戦いに臨む。
- ピータ・メラーク
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Actor: ジョシュ・ハッチャーソン
カットニスと共に第75回ハンガー・ゲームに出場したチームメイト。 ヘヴンズビーによるカットニス救出作戦の最中に姿を消すが、のちにキャピトルに捕らえられ、国営放送を通じて反乱軍に降伏を促させられていたことが判明する。
- ゲイル・ホーソーン
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Actor: リアム・ヘムズワース
反乱軍の一員としてカットニスと共に戦いに加わる。
- プレター・ヘヴンスビー
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Actor: ジュリアン・ムーア
第13地区を治める指導者。カットニスを反乱の象徴"マネシカケス"として位置づけ、反乱軍の士気向上のために利用する。
- コリオラヌス・スノー大統領
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Actor: ドナルド・サザーランド
パネムを治める最高権力者。政敵を陰で毒殺し権力を維持していたことがフィニックの口から明かされる。
- プルターク・ヘヴンズビー
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Actor: フィリップ・シーモア・ホフマン
第75回ハンガー・ゲームのチーフ・ゲームメイカーだった。反乱軍の一員で、カットニスを第13地区に連れてくるために救出作戦を企てた。
- プリムローズ・エヴァディーン
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Actor: ウィロウ・シールズ
カットニスの妹。
- 配給会社
ここがおすすめ!
- 葛藤を抱え成長する「カットニスの決断の瞬間」
- リアリティが織りなす「戦争の現実」
- 社会批評としてのプロパガンダ描写
あらすじ
コイン首相が率いる反乱軍により、歴代勝者が戦うハンガー・ゲームから救出されたカットニス。独裁者パネムを倒すべく、彼女は反乱軍に入ることを決意する。一方のパネムは、人質にしたピータをプロパガンダ放送に登場させてカット二スを翻弄していく。
ハンガー・ゲームFINAL:レジスタンス(洋画 / 2014) - 動画配信 | U-NEXT
フランシス・ローレンス監督による『ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス』は、これまでのバトルロワイヤルから現体制へのレジスタンスの物語に変わりました。そして革命の緊張感を映像化するという新たなアプローチで臨んだ作品です。しかしシリーズ最終章の始まりとしては惜しいと感じる点も散見されました。
シリーズの変遷と深掘り不足
「ハンガーゲーム」から始まり、「ハンガーゲーム2」で描かれたカットニスの勝利は、単なるデスゲームではなく抗争の始まりを示唆していました。また「ハンガーゲーム2」からフランシス・ローレンス監督に変わり、監督はバトルロワイヤルのデスゲームだけでなく、物語の深いストーリーを見せることで、キャラクターたちの思いや葛藤を引き立てようとしているように感じました。またピータやゲイルとの関係性も、視聴者にとって重要なポイントで、彼らの感情が物語をさらに興味深いものにしています。ハンガーゲームシリーズがもたらすドラマやアクションは、一つの作品だけでは味わえない奥深さがありました。
けれども本作ではその奥深さが十分に活かされていない印象です。これまでのシリーズで描かれてきたドラマやキャラクターの成長の積み重ねが、最終章で期待されるほどの結実を見せていません。特にフィリップとの関係性やコインの役割など、個々の要素は印象的であるものの、全体としてのまとまりや、そこから生まれるはずの大きな感動には至らなかったように感じます。
キャラクター描写と相関図の物足りなさ
ジェニファー・ローレンス演じるカットニスは、本作からレジスタンスの象徴として存在感を放っています。またピータやゲイルといった主要登場人物も重要な役割を果たすはずでした。例えば、ピータはカットニスの愛情を支え、ハンガーゲームの厳しい現実に立ち向かう勇敢なキャラクターであり、スノー大統領は反乱の敵役として、地区を支配する冷酷な存在として物語全体の緊張感を高めています。
しかし『ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス』のキャラクター相関図は、その複雑さや深さが、物語の核として期待されるほどには機能していません。カットニスやピータ、ゲイルなど主要キャラクターたちがどのように絡み合い、レジスタンスを形成しているのかは理解できるものの、キャラクター同士の絆や葛藤が表面的な描写に留まり、観客が感情移入しきれない部分があったのは否めません。特に、革命の中心であるはずのカットニスの決断の瞬間や、ピータと他キャラクターとの死闘も、過去作のような強烈な印象を残すには至らなかったように思います。

カットニス:象徴と個人の間で
カットニスは反乱の象徴として強大な存在感を放ちますが、その内面的な葛藤や個人的な成長が、物語の展開に十分に反映されなかった印象です。彼女の決断が、単なるプロパガンダの道具としてではなく、真に彼女自身の意思によるものとして描かれるべきでしたが、その印象はやや希薄でした。
ピータとゲイル:三角関係の終焉と役割の曖昧さ
これまでのシリーズで重要な役割を担ってきたカットニス、ピータ、ゲイルの三角関係は、期待されたほどのドラマや感情的な深みを見せませんでした。ピータの精神的な回復やゲイルの革命への貢献も、個々のキャラクターアークとして十分に掘り下げられず、彼らの関係性が物語の結末に与える影響が弱かったと感じます。
コイン大統領:急進的な変化と深掘り不足
コイン大統領は新たな支配者としての側面を見せますが、彼女の動機や思想、そしてカットニスとの関係性が信頼から対立へと変化する過程が、急進的かつ表面的に描かれました。観客が彼女の行動に納得感や感情的な理解を得るには、より多角的な描写が必要だったでしょう。
スノー大統領:強敵の終焉
スノー大統領はシリーズを通しての強大な敵役でしたが、最終決戦における彼の描写や、カットニスとの心理戦の結末は、期待されたほどのインパクトに欠けました。彼のキャラクターアークが、より深い形で締めくくられるべきだったと感じます。
反乱とプロパガンダとしての描写が浅い
革命とプロパガンダの重要性は、主人公カットニスがレジスタンスの象徴となり、スノー大統領に対抗する姿は、強力なメッセージを伝えています。視覚的要素を駆使したプロパガンダの影響力も巧みに描写しようと試みています。
しかし、この壮大なテーマに対する掘り下げが浅く、単なるアクション映画の域を出ていないと感じる部分もありました。社会の不正を暴く手段としての映画の役割や、情報がいかに重要かというメッセージは伝わるものの、その本質的な部分への踏み込みが足りず、観客に深い考察を促すまでには至っていません。コインのキャラクターも反乱の象徴としての役割を担い、重要な存在ですが、その成長や選択が必ずしも納得させるものではないものでした。
キャラクターの成長を反映させた決断の瞬間
「ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス」ではカットニスが重要な決断をします。それは彼女自身の著しい成長を色濃く反映していました。彼女がレジスタンスの一員として下す一つ一つの選択は、コリオラヌス・スノー大統領との苛烈な戦いにおいて極めて重要な意味を持ちます。フランシス・ローレンス監督は、革命という大きなうねりの中でキャラクターがどのように変化し、進化していくかを巧みに描き出しています。
特に本作ではこれまでの相棒であったピータとの複雑な関係性は、カットニスの内面的な変化を象徴しています。彼を巡る彼女の葛藤と、最終的に勇気を持って戦うことを選ぶ姿は、観客の感情に深く訴えかけます。例えば、絶望的な状況下で地下に逃げ込み、仲間を救出するために奔走するシーンなどは、まさに胸を熱くする瞬間であり、作品全体のドラマ性を一層引き立てています。
圧倒的な映像美とリアリズム
まず注目したいのは、映像の美しさとクオリティの高さです。本作はArri Alexaカメラで撮影され、特に廃墟となった都市や地下施設といった舞台は、まるで中東の紛争地域を想起させるリアルな質感。色調もシーンによってアンバーからブルーへと変化し、登場人物の心情や状況に合わせて巧みに使い分けられています。
爆発やホバークラフトのVFXも非常に自然で、実写とCGIの融合は見事。特にダムの爆破シーンやホバークラフトの襲撃などでは、音響や編集の緻密さも相まって、観る者を圧倒します。
アクションより「戦争の現実」を描いた構成
『レジスタンス』では、これまでの「デスゲーム」的なアリーナでの戦闘は姿を消し、よりシリアスな戦争ドラマへと舵を切っています。ディストリクト8でのホバークラフト襲撃、プロパガンダ映像の撮影現場、ダムの破壊作戦など、戦場のリアリズムが前面に押し出されています。
これは派手なアクションを期待していたファンからは「物足りない」ものでした。テンポが遅く正直盛り上がりに欠けるものでしたが、しかしその分、戦争の静けさと緊張感がしっかりと描かれており、プロパガンダやメディアの力、そしてカットニスの内面に迫る描写には見応えがあります。
まとめ:最終章への期待と不満
『ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス』は、シリーズの最終章の始まりとしてはこれまでのデスゲームから大きく転換をした作品です。ただ戦争や革命を背景にしたドラマは展開されるものの、そこまで強いメッセージを届けるには至らなかったと感じます。監督のフランシス・ローレンスは、素晴らしい映像と緊張感を提供しようとしましたが、やや物足りなさが残りました。
アメリカの社会や政治への鋭い批評という側面も持ち合わせているはずですが、シリアスなテーマを扱いながらも、全体的に「うまくまとめた」という印象が強く、観客の心に深く刺さるような感情的なインパクトは限定的でした。次回のパート2で完結なので本作は中途半端な立ち位置だったと思います。
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