レオ様の渾身のサバイバル – レヴェナント:蘇えりし者

4週間 ago

4.0

アメリカの原生林が息づくころの大自然冬の厳しさや美しさがまんべんなく魅せてくれました。常に襲い掛かる吹雪、そして収まった後の澄んだ青白い空と空気、水の冷たさまでがこの映画を通してみているこっち側まで伝わってきました。

原題
The Revenant
公式サイト
https://www.20thcenturystudios.jp/movies/revenant
監督
登場人物
ヒュー・グラス

Actor: レオナルド・ディカプリオ

先住民だった妻の忘れ形見である息子ホークを連れてガイドとして同行していた。山越えルートで進む最中、子連れの熊に襲われ重傷を負った。

ジョン・フィッツジェラルド

Actor: トム・ハーディ

危険な任務を嫌い、他のハンターが居ない隙にグラスを殺そうとする

配給会社
制作会社

ここがおすすめ!

  • 「レオ様」と「トムハ」による迫真の演技
  • レオ様の不屈の精神
  • アメリカの西部開拓時代と先住民文化

あらすじ

北アメリカの未開の荒野を狩猟探検中に、ヒュー・グラス(ディカプリオ)は熊に襲われ仲間に置き去りにされる。予期せぬ悲しみと信頼していた仲間(ハーディー)の裏切りに遭ったグラスだったが、過酷な冬の大地を執念深く生き抜いていかなければならない。

ディズニープラス:レヴェナント:蘇えりし者より

ディカプリオ迫真のサバイバル劇。第88回アカデミー賞で、監督賞、主演男優賞、撮影賞を受賞して話題となった『レヴェナント:蘇えりし者』。ただアカデミー賞というよりはカンヌ、ベルリン、ヴェネチアなどの国際映画祭でも賞をとれる作品と感じました。滝田監督の天地明察や若松監督の柘榴坂の仇討のような映画を画ととても魅せてくれる映画でした。

なんといっても注目を集めたのが、「レオ様」ことレオナルド・ディカプリオによるキャリア史上初となるアカデミー主演男優賞の受賞でした。一躍彼をスターダムにのし上げた映画『タイタニック』ではディカプリオだけノミネートできず、それ以降も『アビエイター』をはじめとして主演作で何度もノミネートされるも受賞には至っていませんでした。そんな彼の悲願のアカデミー賞受賞は、世界で大きな話題となりました。

そして本作では音楽を坂本龍一氏が手掛けており、日本ではこちらも話題を呼びました。

ディカプリオとトム・ハーディ。どちらとも本人と判別がつかないほどの迫真の演技

『レヴェナント:蘇えりし者』でまず目を引くのが、レオナルド・ディカプリオの風貌です。今回彼が演じたのはヒュー・グラスという実在の人物なわけですが、長髪と立派なひげに覆われたワイルドなビジュアルはなかなかの衝撃です。本作の見せ場の一つでもあるクマとの格闘シーンでは、本当にこれがディカプリオなのかと思うほどの白熱した演技を見せています。これまでこのような体当たりなアクションをするディカプリオを見たことがなかったので、このシーンでの血にまみれ、泥にまみれ、汗や涙、鼻水によだれまで垂れ流す姿は、本作にかける彼の役者としての矜持を感じました。

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また、本作のヴィランとなるフィッツジェラルドを演じたトム・ハーディの演技も迫真でした。こちらでも白状してしまうと、しばらくフィッツジェラルドがハーディだと判別がつきませんでした。ディカプリオが自ら監督にハーディの出演を直談判したのもうなずける、納得の演技でした。フィッツジェラルドは単純な悪役ではなく、自身が生き延びるために必死に策を巡らせるキャラクターです。この映画は復讐劇なので、本来であればグラスに肩入れすべきなのでしょうが、ただ生き抜こうともがくフィッツジェラルドを憎み切ることもできなくなるような、素晴らしい演技だと感じました。

グリズリーにも勝つハングリー精神

俳優陣の演技と同じぐらい驚かされたのが、主人公グラスの不屈の精神です。グリズリーベアとの格闘シーンは非常に壮絶で、これでどうして死なないのだろう?と何度も疑問に思ったほどでした。さらに驚きなのは、これが実話であるということです。彼が「ハイイログマに襲われて重傷を負った上に、旅の仲間たちに見捨てられたにもかかわらず、見事に生還した」という逸話は、長年にわたってアメリカで語り継がれてきたいわば伝説のようなもの、なのだそうです。

実際のグラスがどのような冒険をしたのかまでは、完全なる事実は分かっていないそうです。それでも重傷を負いながら非常に長距離を生き延びたのは事実であり、この事実を映画ではその過程が描かれています。このような死んでもおかしくない場面が幾度も続きながら、息子を殺したフィッツジェラルドへの復讐のために生き抜く姿は、まさに圧巻の一言です。いくつ命があっても足りない、と思わせる場面の連続でした。シーンのどれもが雪が覆う極寒の山々であり、体が震えてとても寒そうなのに、ついつい手に汗を握ってしまう展開に、頭が熱くなりました。

西部開拓時代の極寒地帯

アカデミー撮影賞を受賞していることからも、『レヴェナント:蘇えりし者』の撮影が大変だっただろうことは容易に想像ができます。映画のほとんどは雪景色の中で撮影されています。極地で行われた撮影は、スタッフとキャスト双方にとって非常に厳しい環境だったに違いありません。それでも、監督がこだわった自然光での撮影は、自然の恐ろしさと自然との胸像という寮側面を、画面を通して伝えてくれています。

そんな過酷な自然とともに生きることを教えてくれるのは、北アメリカ大陸の先住民族たちの文化です。本作では、グラスの妻は先住民族という設定で、彼の息子も先住民族の血が混ざっているという設定になっています。そのため、親子が先住実の言葉で会話する場面も登場します。また、先住民族との闘いも描かれれば、反対に救われることもあります。このような、劇中に登場する先住民族の方々への言及や文化は、本作の特徴であるといえるでしょう。作中での「生」と「死」のほとんどに先住民族の文化が関わっており、自然や生の循環について深く考えさせられました。それと同時に、アメリカ大陸への白人の入植の歴史についても、考えさせられる作品だと感じました。先住民族と白人との戦いや先住民族同士の戦いが描かれていく中で、何が正しく何が正しくないのか、さまざまなことを考えさせられました。

本作は出演者にとっても制作者にとっても、そして観客にとっても過酷な作品です。圧倒的な自然の恐ろしさとそれに打ち勝つ不屈の精神、それを伝える俳優たちの迫真の演技など、涼やかな画面とは相反して手に汗握る場面が多く登場します。作品の時間自体も長いので、しっかりと見る準備を整えてから挑んでいただきたい一作です。

そして主演のディカプリオの渾身というか執念という言葉が当てはまるような演技には主演男優賞も納得できます。役者と制作がどうだやったぞという意気込みが感じれられる映画でした。

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このページではDisneyPlus Jpで配信中のレヴェナント:蘇えりし者から執筆しました。

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