映画 アメリカ
アンチャーテッド:人気ゲームの実写化に挑む!痛快アクション・アドベンチャー

Score 3.3

PlayStationの看板タイトルを実写化した映画「アンチャーテッド」は、派手なアクションと軽快なバディムービーの要素を組み合わせた娯楽性全開の冒険映画です。原作ファンからは賛否両論あるものの、トム・ホランドの身体能力を存分に活かした圧巻のアクションシーンと、マーク・ウォールバーグとの息の合った掛け合いが魅力的。物語の厚みや謎解き要素には既視感があるものの、頭を空っぽにして楽しめる痛快な一本に仕上がっています。

原題
UNCHARTED
公式サイト
https://www.sonypictures.jp/he/907632

© 2022 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

公式サイトSNS
監督
登場人物
ネイサン・“ネイト”・ドレイク

Actor: トム・ホランド

他の作品:

若きトレジャーハンター(元バーテンダー)。巧みな手さばきとスリの才を持ち、サリーと宝探しの冒険に出る。

ビクター・“サリー”・サリバン

熟練のトレジャーハンターでネイトの相棒的存在。

サンティアゴ・モンカーダ

Actor: アントニオ・バンデラス

財宝の正当な相続を主張する敵側の富豪一族の当主(対立軸の一つ)。

クロエ・フレイザー

Actor: ソフィア・アリ

ネイトと行動を共にする女性ハッカー/トレジャーハンター系。

制作会社

ここがおすすめ!

  • トム・ホランドが魅せる新時代のトレジャーハンター!
  • 空中アクションに圧倒される!娯楽性全開の冒険譚
  • 人気ゲームの実写化に挑む!

あらすじ

ニューヨークのバーで働く青年ネイサン・ドレイク(トム・ホランド)は、幼い頃に孤児院で別れた兄サムの行方を探し続けていました。そんなある日、トレジャーハンターのヴィクター・サリヴァン(マーク・ウォールバーグ)がネイトの前に現れます。サリーはネイトに、500年前に探検家フェルディナンド・マゼランの世界一周航海で失われたとされる莫大な黄金の在処を探す冒険への参加を持ちかけます。

アンチャーテッド | ソニー・ピクチャーズ公式

PlayStationの看板タイトルを実写化した映画「アンチャーテッド」は、派手なアクションと軽快なバディムービーの要素を組み合わせた娯楽性全開の冒険映画です。原作ファンからは賛否両論あるものの、トム・ホランドの身体能力を存分に活かした圧巻のアクションシーンと、マーク・ウォールバーグとの息の合った掛け合いが魅力的。物語の厚みや謎解き要素には既視感があるものの、頭を空っぽにして楽しめる痛快な一本に仕上がっています。

10年越しの企画がついに実現

『インディ・ジョーンズ』『ナショナル・トレジャー』『ハムナプトラ』──これらの名作アドベンチャー映画の系譜を受け継ぐ新たな冒険が、2022年に登場しました。2007年にPlayStationで第1作が発売されて以来、世界中で愛されてきた人気ゲーム「アンチャーテッド」シリーズの実写映画化です。

実はこの映画化企画、10年以上もの歳月をかけて実現にこぎつけた作品なのです。当初はマーク・ウォールバーグが主人公ネイサン・ドレイク役で企画されていましたが、脚本の迷走や監督交代を経て、最終的にMCU版スパイダーマンで世界的人気を博したトム・ホランドが主演に抜擢されました。これに伴い、物語も原作ゲームの前日譚的な「若き日のネイトとサリー」を描く内容へと変更されています。

ゲームファンからは「トム・ホランドのイメージが違う」という声も聞かれますが、果たしてこの実写版『アンチャーテッド』は、ゲームの魅力を映像化することに成功したのでしょうか。私自身、原作ゲームの1〜3作目をプレイしてから鑑賞しましたので、その視点も交えながらレビューをお届けします。

原作ゲームについて:プレイする映画の魅力

まず原作ゲーム「アンチャーテッド」シリーズについて触れておきましょう。2007年にNaughty Dogが開発した本シリーズは、「プレイする映画」と称されるほど映画的な演出とストーリーテリングで高い評価を受けてきました。


原作ゲームの魅力は、映画『インディ・ジョーンズ』シリーズをはじめとする冒険活劇の要素を、インタラクティブなゲーム体験に落とし込んだ点にあります。遺跡の探索、謎解きパズル、銃撃戦、そして息をのむようなアクションシーンが絶妙なバランスで配置され、プレイヤーを飽きさせません。特に2作目『黄金刀と消えた船団』と3作目『砂漠に眠るアトランティス』は、ゲーム史に残る傑作として語り継がれています。

しかし、ここに映画化の難しさがあります。すでに「映画のようなゲーム」として完成されている作品を、再び映画という形式に戻すとき、果たして何が新しい価値として生まれるのか──。この問いに対する答えが、本作の評価を大きく左右することになります。

圧巻のアクションシーン:映画ならではのスペクタクル

本作の最大の見どころは、間違いなくアクションシーンです。特に冒頭と中盤に登場する輸送機でのアクションは、映画史に残る名シーンと言っても過言ではありません。

映画は、空中に投げ出されたネイトが、輸送機から吊り下げられた荷物の間を必死に移動するシーンから始まります。パラシュート付きの巨大なコンテナにしがみつき、空中で繰り広げられる死闘──このシーンはゲームの3作目に登場するシーンを再現したものですが、最新のVFX技術により、まるでトム・ホランドが本当に数千メートル上空で撮影しているかのようなリアリティを実現しています。

このシーンを冒頭に持ってくることで、観客を一気に物語の世界に引き込む演出も見事です。そして時系列を遡り、どうやってこの状況に至ったのかを描く構成は、ゲームの2作目と同じ手法で、原作ファンへのサービスでもあります。

そしてクライマックスでは、ヘリコプターで吊り上げられた2隻の古代船の上での戦闘が展開されます。これはゲーム1作目のクライマックスをパワーアップさせたもので、『パイレーツ・オブ・カリビアン』を彷彿とさせる海賊船での戦いが、空中という異常なシチュエーションで繰り広げられる斬新さが光ります。

これらのアクションシーンだけでも、本作を観る価値は十分にあると断言できます。頭を空っぽにして、アトラクションのようなスリルを楽しむことができる。それが本作の最大の魅力なのでしょう。

ピーター・パンのようなネイトと、プロフェッショナルなサリーによる最強バディの誕生

トム・ホランドの新境地

トム・ホランドといえば、MCU版スパイダーマン/ピーター・パーカー役で世界的に知られる俳優です。本作でも、その持ち味である若々しさと身体能力の高さが存分に発揮されています。

特に印象的なのは、冒頭のバーテンダーとしての演技です。ボトルを軽々と回し、カクテルを作る手さばきの鮮やかさは目を見張るものがあります。なんでもトム・ホランドは役作りのために実際にバーで働いていたそうで、その努力が画面から伝わってきます。

彼のダンスとアクロバットのバックグラウンドは、アクションシーンで真価を発揮します。輸送機からのフォール、建物を駆け上がるパルクール、敵との格闘──そのすべてが流れるような美しさで、まるでピーター・パンが画面を舞い飛んでいるかのようです。実際、古代船の舵を握るシーンでは、マーク・ウォールバーグのサリーが冗談で「ジャック・スパロウか?」と呼びかけます。

ただし、原作ゲームのネイサン・ドレイクとは、やはりイメージが異なるのも事実です。ゲームのネイトは30代の渋みのある冒険家ですが、トム・ホランド版は20代前半の若々しく純真な青年です。どれだけ筋肉を見せても、シャツを脱いでも、彼からは「可愛らしさ」が消えません。これは俳優としての魅力ではありますが、原作ファンにとっては違和感となる可能性があります。

原作のネイト(画像出典::アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝 オンラインマニュアル https://playstation-doc.net/)

マーク・ウォールバーグとの絶妙なバディ感

本作のもう一つの魅力は、トム・ホランドとマーク・ウォールバーグのコンビネーションです。原作ゲームでは、サリーはネイトの父親的な存在として描かれていますが、映画ではまだコンビ結成前の時期を描いているため、信頼できない危険な男として登場します。

マーク・ウォールバーグの演じるサリーは、トレジャーハンターとしての経験は豊富ですが、どこか頼りない部分もあり、ネイトを利用しようとする打算的な一面も見せます。しかし、冒険を通じて徐々に絆を深めていく過程が丁寧に描かれており、最後には真の仲間となる展開は王道ながら感動的です。

二人の掛け合いは軽妙で、数々の名言やジョークが散りばめられています。特に危機的状況での余裕のある会話は、『インディ・ジョーンズ』や『リーサル・ウェポン』といったバディムービーの伝統を引き継いでいます。

面白いのは、サリーとネイトが兄弟のように見えてしまう点です。年齢差を考えれば親子や師弟関係であるべきなのですが、二人の雰囲気や外見的特徴がどこか似ているため、まるで実の兄弟のような印象を受けます。劇中でネイトが行方不明の兄サムを探している設定もあり、「あれ、隣にいるのが兄なんじゃ?」と思わせるユーモラスな錯覚も生まれます。

女性キャラクターの存在感

本作では、ライバルのトレジャーハンターであるクロエ・フレイザー役をソフィア・アリが、そして敵側の実行部隊リーダーであるジョー・ブラドック役をタティ・ガブリエルが演じています。

ソフィア・アリのクロエは、原作ゲームでも人気の高いキャラクターです。映画では、ネイトやサリーと協力しつつも裏切る可能性もある、曖昧な立ち位置のキャラクターとして描かれます。ただ、演技自体は悪くないのですが、どこかボンドガールの劣化版のような印象を受けてしまい、キャラクターの魅力を十分に引き出せていなかったのが残念です。ベッドルームでの二人のシーンでも、かつてなら恋愛関係に発展したはずの場面が、あえてそうならない選択をしているのは現代的ではありますが、少し物足りなさも感じました。

一方、タティ・ガブリエルのブラドックは、本作の予想外の収穫でした。近年のハリウッド大作では珍しいほどストレートな女性悪役で、容赦なく敵を排除していく冷酷さが際立っています。彼女の登場シーンは毎回緊張感があり、特にマーク・ウォールバーグとの対決シーンは見応えがありました。サリーの元同僚という設定も、物語に深みを与えています。

物語構成の課題:大味なストーリーと既視感のある謎解き

アクション面では大いに楽しませてくれる本作ですが、物語構成には課題が残ります。

まず、ストーリー自体がかなり大味です。500年前の黄金を巡る冒険というプロットは、『インディ・ジョーンズ』『ナショナル・トレジャー』『ハムナプトラ』など、数々の先行作品で描かれてきたもので、新鮮味に欠けます。展開も予想の範囲内で、驚きや意外性は少ないと言わざるを得ません。

また、原作ゲームの大きな魅力である謎解き要素も、映画では十分に活かせていません。バルセロナの地下墓地での謎解きシーンはありますが、この手の映画で何度も見たような仕掛けばかりで、新鮮さがありません。ゲームでは、古代遺跡の壮大な仕掛けを解いていく過程がプレイヤーを夢中にさせるのですが、映画ではその規模感が縮小されてしまっています。

さらに、ゲームの大きな特徴である「ありえない場所をよじ登るクライミングアクション」も、ほとんど見られませんでした。ゲームでは、崩れ落ちる建物や崖をギリギリでよじ登っていくスリリングなシーンが数多くあるのですが、実写で再現するのは難しかったのでしょう。クロエとの追いかけっこで建物を登るシーンはありますが、もっと大規模なクライミングアクションが見たかったというのが正直な感想です。

AIで生成したイメージ画像

アドベンチャー映画の系譜

本作を語る上で避けて通れないのが、『インディ・ジョーンズ』シリーズとの比較です。

アドベンチャー映画の金字塔である『インディ・ジョーンズ』(特に旧三部作)は、スティーブン・スピルバーグ監督の卓越した演出により、観客を最初から最後まで引き込む魔法のような作品でした。地下墓地でのネズミのシーン、トロッコでの追跡劇、つり橋での対決──どのシーンも緊張感と興奮に満ち、「お約束」の展開でありながら飽きさせることがありません。

では、なぜスピルバーグはそれができたのか。そして、なぜ『アンチャーテッド』をはじめとする後続作品は、同じレベルに達することができないのか。

一つの答えは、キャラクターの魅力にあると思います。ハリソン・フォードが演じるインディ・ジョーンズは、知性と野性、勇敢さと臆病さ、ユーモアと真剣さを併せ持つ複雑なキャラクターでした。彼の行動一つ一つに説得力があり、観客は彼に感情移入できたのです。

本作のネイトも魅力的なキャラクターではありますが、まだ「成長途中」という設定もあり、インディほどの完成度には達していません。これは続編で補完されるべき部分でしょう。

もう一つの答えは、物語の「間」にあるのではないでしょうか。スピルバーグ作品には、息をつかせる静かなシーンと、息を呑むアクションシーンのバランスが絶妙でした。一方、本作はアクションからアクションへと駆け抜けていくため、情緒的な深まりが不足しています。

とはいえ、『アンチャーテッド』は決して失敗作ではありません。むしろ、近年のアドベンチャー映画の中では、かなり高い水準にある作品です。『ハムナプトラ』のリメイク版『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』や、『キング・アーサー』などと比較すれば、はるかに楽しめる作品に仕上がっています。

ルーベン・フライシャーの映像美と演出

監督のルーベン・フライシャーは、『ゾンビランド』シリーズや『ヴェノム』で知られる監督です。これまでの作品では、コメディ要素の強いアクション映画を得意としてきましたが、本作は彼にとって最も野心的で大規模なプロジェクトと言えるでしょう。

映像面では、スペインロケの美しさが際立っています。バルセロナの街並み、地中海の青い海、そして古代遺跡の神秘的な雰囲気──これらは、セットではなく実際のロケーションで撮影されているため、リアリティと迫力があります。

VFX技術も高水準です。特に輸送機からのフォールシーンや、ヘリで運ばれる船のシーンは、CGと実写の境目がわからないほど自然に融合しています。ただし、一部の背景CGには粗さも見られ、もう少し丁寧に仕上げてほしかったという気持ちもあります。

音楽に関しては、特に印象的なメインテーマがあるわけではありませんが、アクションシーンを盛り上げる劇伴は効果的です。また、いくつかのシーンで既存の楽曲を効果的に使用しており、テンポが落ちそうなタイミングでエネルギーを注入してくれます。

カメラワークも、アクションの激しさをしっかりと捉えています。ただ、もう少し引きのショットで全体像を見せてくれれば、空間把握がしやすかったかもしれません。最近のアクション映画の傾向として、カメラを激しく動かしすぎて何が起きているのかわからなくなる作品も多いですが、本作はそこまで極端ではなく、バランスが取れています。

映画『アンチャーテッド』の舞台裏。主演トム・ホランド(ネイサン・ドレイク)とマーク・ウォールバーグ(サリー)が、人気ゲーム原作の本作を解説。世界を股にかけるトレジャーハンターとその師匠の、スタント満載な「一生に一度の冒険」を描く劇場公開作品です。

原作ファンへの配慮:ノーラン・ノースのカメオ出演

原作ゲームファンにとって嬉しいサプライズが、ノーラン・ノースのカメオ出演です。

ノーラン・ノースは、ゲーム版でネイサン・ドレイクの声を担当した声優で、彼なくして「アンチャーテッド」はあり得ないと言っても過言ではありません。映画では、ビーチで登場する脇役として出演しており、トム・ホランドと一瞬言葉を交わします。

このシーンでは、私が観た試写会場でも一斉に笑いが起こりました。原作を知らない観客には何でもないシーンですが、ファンにとっては感動的なファンサービスなのです。「本物のネイト」と「新しいネイト」が画面で共演する──これ以上の敬意の示し方があるでしょうか。

また、劇中には他にもゲームへのオマージュが散りばめられています。特定の台詞の言い回し、カメラアングル、そして前述の輸送機のシーンなど、原作ファンならニヤリとする要素が随所にあります。

まとめ:娯楽性を極めた、新時代の冒険の始まり

原作ファンからも「イメージが違う」という声がある映画「アンチャーテッド」ですが、私個人としては大いに楽しむことができました。

確かに、物語の厚みには欠けます。謎解きも既視感があります。トム・ホランドは原作のネイトとは異なるタイプのキャラクターです。しかし、これらの「欠点」を補って余りある魅力が、本作にはあります。

それは、徹底的に娯楽性に特化した姿勢です。難しいことは考えず、目の前のアクションに没入し、キャラクターのジョークに笑い、冒険のワクワク感に身を委ねる。そんな純粋な映画体験を提供してくれる作品なのです。

トム・ホランドという才能ある若手俳優が、新たなアクションヒーロー像を確立しようとしている姿は、観ていて頼もしく感じられます。スパイダーマンだけでなく、こうした地に足の着いた(文字通り空中にいることが多いですが)冒険映画でも活躍できることを証明した意義は大きいではないでしょうか。

各サイトのレビュースコア

本ページの情報は 時点のものです。
各サイトの最新スコアは各々のサイトにてご確認ください。

このページではAmazon Prime Video Jpで配信中のアンチャーテッドから執筆しました。

Amazon Prime Video Jpで配信されている「アンチャーテッド」のあらすじ、感想、評価を紹介しました。気になる方は、ぜひ下記URLのAmazon Prime Video Jpからチェックしてみてください!

Amazon Prime Video Jp アンチャーテッド Amazon Prime Video Jp アンチャーテッド

このページは 時点のものです。
最新の配信状況は Amazon Prime Video Jpサイトにてご確認ください。

公式サイトSNSからおすすめポスト

Categories

VOD