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映画 アメリカナイブズ・アウト:ウェイク・アップ・デッドマン “信仰と罪が交差する密室、名探偵は不可能を暴けるか”
神の家で、神を信じない男が、神に仕える者の死を解く。 聖金曜日の礼拝の最中、誰も入れないはずの小部屋で司祭が刺殺された。 出入口はひとつ。目撃者あり。そして——論理的に、犯行は不可能だった。 長い白髪をなびかせた名探偵ブノワ・ブランが、ゴシック聖堂の闇へと踏み込んでいく。 彼の相棒は、信仰の危機に揺れる若き神父。ふたりの「異端者」だけが、 この密室に隠された真実へと手を伸ばすことができる。 ライアン・ジョンソン監督が紡ぐ三部作の完結編。 これは単なるミステリーではなく、人間の告白と赦しをめぐる、深く美しい問いかけです。 -
映画 アメリカワン・バトル・アフター・アナザー:次から次へと続く戦いに、父と娘は何を見つけるのか
カッコ悪いダメ親父レオナルド・ディカプリオが、娘のために立ち上がる。思想も血統もパスワードも関係ない——ディカプリオが体ごとぶつかる不格好な愛の物語に、ショーン・ペンの怪物的な悪役演技が火を注ぐ。ポール・トーマス・アンダーソンが20年以上の構想を経て放つ本作は、1950年代の映像技術VistaVisionを現代に蘇らせ、カリフォルニアの砂埃と光を粒立った映像に刻んだ野心作でもある。ジョニー・グリーンウッドの前衛的スコアが鼓動を煽り、圧巻のカーチェイスが画面の奥へと引きずり込む。ポール・トーマス・アンダーソン10作目にして最もエンターテイメントに振り切り、最も美しい父と娘の物語。 -
劇場版 アニメひゃくえむ。 “たった10秒に人生を懸ける者たちの狂気と情熱の記録”
公開5日間で興行収入1.6億円を突破し、最終的には動員47万人・興収7億円超を記録を達成。インディーズ発の劇場アニメが単館・限定上映から全国規模へと拡大し7億円超に到達したことは、異例中の異例といえる作品となりました。これはインディーアニメーション出身の監督作品としては、近年最大級の商業的成功といっても過言ではないでしょう。原作ファンからは大胆な改変への賛否も一部見られますが、映画単体の完成度への評価は非常に高い水準でした。 -
映画デル・トロ版フランケンシュタイン:怪物は孤独を知り、人間は赦しを学ぶ
ギレルモ・デル・トロが30年以上温め続けた宿願の映画化、Netflixオリジナル映画ホラーゴシックドラマ『フランケンシュタイン』。豪華絢爛なバロック調の美術と衣装、ジェイコブ・エロルディの峻烈な怪物演技、そして二部構成が生む物語の深淵。「怒りの先にある感情とは何か」を徹底レビュー。 -
劇場版 アニメKPOPガールズ! デーモン・ハンターズ:歌って踊って悪魔を狩れ
歌声が武器になる。K-POPの三人娘が、今夜も悪魔と戦う。 あなたはステージの上で輝くアイドルが、舞台裏でデーモンを狩っていると知っていたでしょうか? 2025年6月、Netflixに突如現れたこのアニメーション映画は、公開後わずか数週間で世界93か国のトップ10入りを果たし、ついにはプラットフォーム史上最高視聴記録を塗り替えるという前代未聞の快挙を成し遂げました。ゴールデングローブ、アニー賞全冠――数々の栄光を手中に収めた今、その魅力の正体を丁寧に解き明かしていきたいと思います。 -
映画 カナダ アメリカファイナル・デッドブラッド:死のピタゴラスイッチが帰ってきた!世代を超えた恐怖が観る者を襲う
14年ぶりに復活したホラーフランチャイズの新作『ファイナル・デッドブラッド』は、シリーズファンの期待を見事に裏切らない作品として仕上がっています。前作『ファイナル・デッドブリッジ』で完結したかに見えたこのシリーズですが、『スパイダーマン』三部作を手がけたジョン・ワッツの原案により、まさかの復活を果たしました。今作最大の特徴は「三世代に渡る死への抗い」という革新的なアイデアです。過去作では単発の事故を回避した若者たちが次々と命を落としていく様を描いてきましたが、本作では1968年の惨事から始まる家系全体が死の呪縛に囚われるという、シリーズ史上最も壮大なスケールの物語となっています。グロテスクな死のシーンは健在で、むしろ従来作品よりもさらに過激さを増しています。ワーナー・ブラザースとニューライン・シネマが潤沢な予算を投じたことが画面から伝わってくる映像クオリティと、CGIと実物効果の絶妙なバランスが、観る者を圧倒します。 -
映画 日本アンダーニンジャ:アクションは一流、物語は寒い内輪ノリ
花沢健吾の人気漫画を実写化した映画『アンダーニンジャ』は、現代日本に密かに存在する忍者組織と、そこから離反した「アンダー忍者」と呼ばれる反逆者たちの戦いを描くアクション作品です。福田雄一監督が手がけた本作は、優れたアクションシーンと実力派キャストの熱演という光を持ちながら、同時に監督特有のコメディ演出が原作の世界観と衝突し、作品全体のバランスを崩してしまった印象を受けました。 -
映画アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ “さすがのキャメロン、しかし前作の影がちらつく”
映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』を視聴した率直な感想としては、前作の焼き直しのような印象を強く受けました。上映時間は3時間17分と長尺ですが、目新しい展開は前半部分に集中しており、後半は既視感のある展開が続いたという印象です。 ただし、これはシリーズとして5部作構成が予定されているため、今作が次回作への布石として機能していると考えれば納得できる部分もあります。映像美に関しては相変わらず圧倒的で、ドルビーシネマでの視聴では色鮮やかな映像に見惚れる瞬間が何度もありました。 -
映画 アメリカスーパーマン (2025) :「優しさこそがパンク」新時代のスーパーマンが問いかける、人間の善への希望
DCエクステンデッドユニバースから世界観をほぼ刷新し、新たなDCユニバースの第一作として登場した映画『スーパーマン』は、ジェームズ・ガン監督による大胆な再解釈が光る作品です。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」三部作や「ザ・スーサイド・スクワッド」で培われた監督のキャラクター造形力と、現代社会への鋭い問題提起が見事に融合しています。 圧倒的な展開スピード、TikTok時代を反映した映像感覚、そして「優しさこそが新しいパンク」という力強いメッセージ。スーパーヒーロー映画に疲れを感じ始めていた観客に対して、ジェームズ・ガン監督は「スーパーマンの本質とは何か」を真正面から問い直す挑戦状を叩きつけました。 -
映画 日本ドールハウス:矢口史靖監督が挑んだ日本人形の世界
「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」で青春コメディの旗手として知られる矢口史靖監督が、まさかのホラー映画に挑戦しました。長澤まさみが脚本の面白さに出演を熱望したという映画『ドールハウス』は、「ドールミステリー」という宣伝文句とは裏腹に、正真正銘のホラー映画です。しかし、矢口監督ならではのコメディセンスが随所に光り、恐怖と笑いのバランスが絶妙な作品に仕上がりました。110分ノンストップの展開は観る者を飽きさせず、日本人形ならではの不気味さと、ミステリー要素のフェアさが見事に融合しています。第45回ポルト国際映画祭でグランプリを受賞したことも納得の、王道Jホラーの良作といえるでしょう。





