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ブラックライト:御年70歳を超えたアクションスターの人間味あふれる闘い

Score 2.5

FBI長官直々に雇われた「フィクサー」のトラヴィス・ブロック(リーアム・ニーソン)は、極秘任務で潜入捜査官の救出と身元洗浄を行うプロフェッショナルです。ある日、救出した捜査官ダスティからFBIが一般市民殺害に関与しているという衝撃的な告発を受けます。この情報をジャーナリストにリークしようとしたダスティが何者かに殺害され、トラヴィスは記者のミラと共に真相を追うことになります。調査の過程で浮上するのは、極秘プログラム「オペレーションUnity」の存在。しかし、娘と孫娘が危険に晒されることで、トラヴィスは個人的な戦いに巻き込まていくのです。

原題
Blacklight
公式サイト
https://klockworx.com/movies/12732/

©2021 BL Productions LLC; Allplay Legend Corporation

監督
登場人物
トラヴィス・ブロック

Actor: リーアム・ニーソン

他の作品:

FBI長官直属の「フィクサー」。極秘任務で潜入捜査官の救出を担当。

ミラ・ジョーンズ

Actor: エミー・レイヴァー=ランプマン

ジャーナリスト。トラヴィスと共にFBIの陰謀を追う。

配給会社

ここがおすすめ!

  • 70歳を超えてなお見せるアクションスターとしての存在感。
  • 限られた空間で身の回りのものを武器として活用する、創意工夫に富んだ演出が楽しめる。

あらすじ

FBI長官直々に雇われている主人公トラヴィス・ブロック(リーアム・ニーソン)は通称“フィクサー”と呼ばれ、極秘任務で潜入捜査している秘密捜査官に危機が迫った際、救出し更生させるという陰の任務を担っていた。 ある日、救出した潜入捜査官からFBIが一般人の殺しに関与しているという話を聞かされる。にわかに信じられなかったが、ダスティがその事実を記者のミラにリークしようとするも、何者かに殺されてしまう。 ミラと調査を進める中、国家を揺るがす極秘プログラム“オペレーション・U(ユニティ)”の存在を突き止めたブロックだったが、何者かに娘と孫娘を誘拐されてしまう―

ブラックライト - 株式会社クロックワークス - THE KLOCKWORX

マーク・ウィリアムズ監督作品『ブラックライト』は、リーアム・ニーソンが70歳を超えてなお見せるアクションスターとしての存在感と、年を重ねた男性の人間的な魅力を同時に楽しめる作品でした。本作で彼が演じるのは、FBI長官直々に雇われた「フィクサー」ことトラヴィス・ブロックです。

極秘任務で危険に晒された潜入捜査官を救出し、身元を洗浄して新たな人生を歩ませる、いわば「影の清掃人」としての役割を担っています。

リーアム・ニーソンが魅せるキャラクターの二面性

映画『ブラックライト』で印象的なのは、トラヴィス・ブロックという人物の複層的な描写です。任務遂行時は冷静沈着で的確な判断を下すプロフェッショナルでありながら、プライベートでは孫娘ナタリーのお迎えを忘れたり、学芸会の約束を失念したりと、どこか抜けた一面を見せる愛すべき祖父でもあります。

AIで生成したイメージ画像

ニーソン演じるトラヴィスは、建物に入ると瞬時に出口の数を確認し、常に周囲に対して異常なほどの警戒心を保つ、ある種の強迫神経症的な側面も持っています。これは長年の危険な任務が彼の精神に刻んだ傷跡とも解釈でき、単なるアクションヒーローではない、人間味あふれるキャラクターとして描かれているのです。

さらに印象深いのは、彼が抱える職業への葛藤です。これまで「正義のため」と信じて行ってきた非合法な手段による任務遂行が、本当に正しいことだったのか——そんな自問自答を繰り返しながら、普通の父親、祖父として穏やかな日常を取り戻したいと願う姿が丁寧に描かれています。

進化するアクションと変わらぬニーソンの魅力

アクション面では、さすがハリウッドの一流スタントチームが手がけただけあって、見応え十分の仕上がりとなっています。特にカーアクションシーンは『96時間』のパリでの名場面を彷彿とさせる緊張感と迫力を持っており、ダッジ・チャレンジャーを駆るトラヴィスの姿は実にクールです。

[c]2021 BL Productions LLC; Allplay Legend Corporation.
画像: Blacklight Trailer #1 (2022)

また終盤のアクションシーンでは、限られた空間内で身の回りにあるあらゆるものを武器として活用する戦闘が展開され、これは『イコライザー』のホームセンター・バトルを思わせる創意工夫に富んだ演出となっています。

リーアム・ニーソンのアクション映画といえば、やはり『96時間』シリーズの印象が強烈です。娘を救うために世界を相手に戦う父親の姿は、多くの観客の心を捉えました。本作でも家族愛がテーマの一つとして扱われていますが、『96時間』ほどのシンプルで力強いメッセージ性には及ばないというのが正直な感想です。

しかし70歳を超えたニーソンが見せるアクションには、若い頃のような派手な動きはありませんが、その分だけ知恵と経験を活かした戦術的な魅力があります。完璧なスーパーヒーローではなく、弱さや迷いを抱えた一人の男性として描かれることで、観客との距離感がより近くなったとも言えるでしょう。より人間臭いキャラクターとしての魅力は確実に存在し、これまでとは違った角度からニーソンの演技を楽しむことができます。

物語構成の弱さが全体の印象を削ぐ

しかしながら、本作はストーリー若干に難ありな印象でした。「国家を揺るがすFBIの陰謀」という壮大なテーマを掲げながら、その真相があまりにもあっさりと明かされて解決してしまうのです。正直にいうと観客としてはもう一捻り、もう一つの大きな展開を期待していただけに、やや拍子抜けの感は否めませんでした。

そして悪役の描写にも物足りなさを感じてしまいました。「倒したい」と思えるほどの憎たらしさや魅力的な悪のカリスマ性に欠け、なぜ一般市民を殺害するに至ったのかという動機の部分も曖昧なまま終わってしまいます。これでは、主人公が命を懸けて立ち向かう相手として、どうしても薄っぺらい印象を与えてしまうでしょう。

前半のカーチェイスシーンについても、通常であれば悪役に追われたり、逆に追跡したりする展開が自然ですが、本作では主人公が自らの行為を後悔し、それを阻止しようとする相手を追いかけるという、やや違和感のある構成になっています。街を破壊しながら暴走する姿も、正義のヒーローとしてはいささか疑問符がつく行動と言えるかもしれません。

まとめ:期待と現実の狭間で揺れる佳作

映画『ブラックライト』は、リーアム・ニーソンファンであれば間違いなく楽しめる作品でした。アクションシーンの迫力、主人公の人間的な魅力、そして70歳を超えてなお第一線で活躍するスターの存在感——これらは確実に本作の価値を高めています。

しかし一方で、ストーリーテリングの面では物足りなさが残り、「もったいない映画」という印象も拭えません。壮大なテーマを掲げながら、それを十分に活かしきれなかった感があるのです。

それでも、70歳を超えたアクションスターが見せる人間味あふれる演技と、職人技のようなアクションシーンは一見の価値があります。リーアム・ニーソンの映画キャリアにおける一つの到達点として、また彼の今後の作品への期待を込めて、静かに鑑賞したい作品です。

各サイトのレビュースコア

批評家評価と観客評価の乖離

批評家評価

  • Rotten Tomatoes (Critics):約 11〜12%と非常に低評価。レビュー総数も100件超と、批評家の間で広く酷評された。

  • Metacritic:スコアは約 27/100(「generally unfavorable」)で、こちらも厳しい評価。

    批評家の多くは、プロットの凡庸さ、キャラクター描写の浅さ、アクションの演出力不足を指摘している。

観客評価

  • Rotten Tomatoes (Audience):約 82%。批評家評とは大きく乖離。観客のなかには「リーアム・ニーソンの安定感」「シンプルな陰謀スリラーとしてのスリル」を支持する声が多い。

  • IMDb:4.9/10。Rotten Tomatoes の観客スコアほど高くはないが、非常に低評価というわけでもなく、“期待以下だが完全な拒絶”というほどではない。

  • Filmarks(日本):3.0 / 5。レビュー数は多く、賛否が混在。「悪くはないが、物足りない」「年齢的に見せ場が少ない」との声もある。

乖離の理由

批評家は、脚本の粗さ、陰謀モノとしての深みの欠如、キャラクターの動機付けの弱さなどを問題視。一方で観客(特にライトなアクションファン)は、複雑さや深みよりも“シンプルなエンタメ性”“俳優のスター性”“手軽なサスペンス感”を評価。

このため、ジャンル的な期待と受け手の期待のズレが、批評家と観客の評価乖離を生んでいる。

プラットフォーム別レビューの傾向とコメント

IMDb

  • 「平均より少し低い」評価だが、特定の極端な批判は少ない。

  • 多くのユーザーは、プロットの“予想可能さ”やアクションの“凡庸さ”を指摘。たとえば「脚本が弱く、印象に残らない」「B級スリラーの域を出ない」といったコメントが散見される。

Rotten Tomatoes

  • Critics:「使い古された構造。深みのない陰謀劇」「ローテンションで、スリルも薄い」といった辛口。

  • Audience:逆に好意的な声が一定数。「リーアム・ニーソンの“老練な存在感”が救い」「複雑すぎず気軽に観られる」など。

Filmarks(日本)

  • 感情的、主観的な意見が多く、「期待はずれ」「終盤の盛り上がり不足」「作り手の年齢・演出の限界を感じる」との声が目立つ。

  • 一方で「たまにこういう静かなアクションも悪くない」「ニーソンに安心感がある」と肯定的なレビューもある。

総合評価 — どこに立脚する作品か

Blacklight は、厳密に言えば「批評家向け」でも「観客向け」の超優良娯楽作」でもない――その中間に、やや不安定に立つ作品。

  • 批評の観点から見れば、脚本と構成の甘さ、キャラクターの描写不足、クライマックスの弱さ、と致命的な欠点が見える。

  • それでも作品としての“軽さ”と“わかりやすさ”を武器に、じゅうぶんに“ながら見”のスリラーとして成立しており、特に“懐かしのリーアム・ニーソン型アクション”を好む観客には一定の需要がある。

  • 映画ファンのなかでは「大作でも芸術性でもないが、肩の力を抜いて観られる B級スリラー」としての立ち位置。劇場公開では言うほど注目を集めなかったが、後年ストリーミングで再評価される“雑多な娯楽映画”の典型例。

結論として、Blacklight は「大きな成功も革新もないが、無難にまとまった中堅アクション映画」。しかし、その“無難さ”ゆえに、映画史に残るような重量感や余韻はほとんど残さない――長期的な価値は限定的だろう。

ただし、深い余韻や映画としての濃度を求めるなら、他の同ジャンル作品を選ぶべきだろう。

私見:作品の意義と限界

Blacklight が提示するのは、“年を取り、人生の残り時間を知る男が、過去と現実の狭間で闘う”というある種の老境的ドラマ。しかし脚本と演出はそのアイデアを掘り切れておらず、結果として“使い古された陰謀スリラー”の範囲を出ていない。

── それでも、派手さを抑えた“老いた英雄の静かな抵抗”というモチーフに、わずかな魅力を感じる観客もいる。過大な期待をせず、軽く“晩年のリーアム・ニーソン”を眺めたいときには、悪くない選択肢ではある。

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