映画 インド
ブラフマーストラ:神話と現代が交錯する壮大なスペクタクル

Score 2.8

インド映画史上初の全米初登場2位という快挙を達成した『ブラフマーストラ』は、古代インド神話を現代に蘇らせた壮大なスーパーヒーローファンタジーです。アヤーン・ムカルジー監督が11年の歳月をかけて練り上げたこの三部作の第一章は、ハリウッドレベルのVFXと豪華キャストによって、これまでにないスケールのインド映画体験を提供します。167分という長尺にも関わらず、主人公シヴァの成長と愛の力を軸とした物語は観客を最後まで魅了し続けます。ただし、一部のセリフの弱さや古典的なラブストーリー展開には改善の余地があり、完璧とは言えません。しかし、インド映画界の技術的進歩と創造性を世界に示した記念すべき作品として、映画史に刻まれることは間違いありません。

原題
Brahmastra Part One: Shiva
公式サイト
https://www.twin2.co.jp/distribution/%e3%83%96%e3%83%a9%e3%83%95%e3%83%9e%e3%83%bc%e3%82%b9%e3%83%88%e3%83%a9/

© 2022 Star India Private Limited.

監督
登場人物
シヴァ

Actor: ランビール・カプール

主人公。幼くして両親を失い、普通の青年として暮らしていたが、自分が炎のアストラ(Agniastra)を宿す者であると知らされ、運命に巻き込まれる。

イーシャ・チャテルジー

Actor: アーリヤー・バット

シヴァと出会い、彼を理解し、支える女性。物語の中でシヴァとの関係が彼の成長や運命に影響を与える。

ジュヌーン

Actor: モウニー・ロイ

アストラの力を利用しようとする勢力の中で、シヴァと対立する。

ラグー(グル)

Actor: アミターブ・バッチャン

古代の賢者・指導者的立場。アストラや力・知識の守護者としての役割を持つ。シヴァの導き手の一人。

配給会社

ここがおすすめ!

  • バーフバリ2以来の視覚的衝撃 - 1000人超のVFXスタッフが創り出すハリウッドレベルの映像美
  • 自然で美しいVFX - ケレン味で押し切らない、ハリウッドと遜色ない完成度
  • 「愛こそが最強の力」という哲学 - インド神話の精神性を現代的に再話

あらすじ

ムンバイに暮らす孤独な青年シヴァは、見知らぬ科学者が襲われる幻視を体験する。その謎を追ううちに、古代から伝わる神々の武器“アストラ”と、最強の“ブラフマーストラ”の存在を知る。やがてシヴァは火の力を宿す救世主であることが判明し、世界を滅亡の危機から救う使命を背負う。

ブラフマーストラ | 株式会社twin

インド映画「ブラフマーストラ」は、アヤーン・ムカルジー監督が11年間温め続けた構想が遂に結実した映画です。それは単なるエンターテインメント作品を超えて、インド映画の新時代到来を告げる歴史的作品となりました。

本作最大の特徴は、古代インド神話「ブラフマーストラ(宇宙創造の最強武器)」を現代的なスーパーヒーロー映画として再構築した点にあります。しかし、単純にマーベル映画の模倣ではありません。「愛こそが最強の力」というインド哲学の根幹を現代に蘇らせ、独自のシネマティック・ユニバースの礎を築いた野心作なのです。

映像革命と文化的意義:インド映画界の歴史的転換点

インド映画「ブラフマーストラ」を語る上で最も重要なのは、『バーフバリ2』以来となる圧倒的な視覚的衝撃でしょう。それはエンドロールに1000人を超えるVFXスタッフの名前が流れることからも分かるように、制作陣が注ぎ込んだ技術的情熱は並大抵のものではありません。

特に印象的なのは、各キャラクターが持つ「アストラ(超能力)」の視覚表現です。炎、水、光といった自然エネルギーがそれぞれ独特の色彩と動きで描かれ、まるで『ジョジョの奇妙な冒険』のスタンドバトルのような独創性を持っています。これまでのインド映画にありがちな「ケレン味で押し切る」表現から完全に脱却し、ハリウッドと遜色ない自然さを獲得している点は革命的といえるでしょう。

しかし、本作の真の価値は単なる技術的進歩にとどまりません。『RRR』がテルグ映画(南インド)の力を世界に示したのに対し、『ブラフマーストラ』はボリウッド(北インド)の底力と創造的可能性を国際舞台で証明したのです。アヤーン・ムカルジー監督が11年間かけて構築したビジョンは、完全にインド的でありながら国際的な訴求力を持つ作品創りを実現しています。

新時代のインド映画の誕生

ロケーション、色彩、キャラクター設定、すべてが「真のインドらしさ」に根ざしながら、同時にグローバルな観客にも響く普遍性を獲得している本作は、インド映画が技術的にも創造的にもハリウッドと肩を並べるレベルに到達したことを雄弁に物語っています。これは単なる映像技術の進歩を超えて、インド映画界全体の新時代到来を告げる文化的事件なのです。

実生活でも夫婦の主演コンビと豪華脇役陣

本作最大の話題は、主演のランビール・カプールとアーリア・バットが撮影中に実際に結婚したことです。『RRR』でも印象的だったアーリア・バットは、今やインド映画界のナンバーワン女優として君臨し、本作でも「CGみたいに美人」と評される圧倒的な美貌を披露しています。

ストーリー:愛の哲学を現代に蘇らせた三部作序章

映画「ブラフマーストラ」は167分という上映時間の相当部分がシヴァとアイーシャの恋愛描写に割かれており、「30分は二人の思いを語り合っているだけ」というレビューが多々あります。しかし、これは本作のテーマである「愛こそが最強の力」を観客に浸透させるための意図的な構成なのかもしれません。

インド映画伝統への回帰と現代的解釈

この長大な恋愛描写は、実はインド映画の古典的伝統への意図的な回帰でもあります。昔のディズニー映画のようなコテコテのミュージカル調で展開される恋愛シーンは、現代的な感覚では「やや冗長」と感じる観客もいるでしょう。特にシヴァとアイーシャの出会いから惹かれ合うまでの過程は、日本人観客からすると「キャッチボールになっていない、ちょっとやばい2人」に見えるかもしれません。

しかし、これこそがインド的な愛の表現方法なのかもしれませんね。一目惚れから始まる古典的なロマンスは、古臭く感じるかもしれませんが、「愛は理屈ではない、運命的な力である」という核心部分を体現しています。

AIで作成したイメージ画像

インド版シネマティック・ユニバースの誕生

本作の真の価値は、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のような壮大な世界観構築への第一歩を踏み出したことにあります。MCUが『アイアンマン』という不完全ながらも革新的な作品から始まったように、『ブラフマーストラ』もインド神話ユニバース「アストラバース」の土台となる記念すべき出発点なのです。

三部作への明確なロードマップ

MCUとの最大の違いは、『ブラフマーストラ』が最初から明確な完結計画を持っていることです。既に具体的なスケジュールが発表されており、第二作『Brahmāstra: Part Two – Dev』が2026年12月第三作が2027年12月の公開が予定されています。

特に注目すべきは、第二作で劇中の最大の謎であったデーヴ(シヴァの父親)が主人公となることです。ブラフマーストラを解放し、妻アムリタとの壮絶な戦いを繰り広げた彼の過去と真実が明かされることで、三部作全体の物語に深い奥行きが生まれることは確実でしょう。

まとめ:不完全ながらも歴史を刻んだ映画

映画『ブラフマーストラ』は制作費と11年の構想期間をかけた大作映画として、正直セリフが最大の弱点だと思います。それは壮大なVFXと神話的世界観に見合わない陳腐で説明的なセリフの数々は、作品全体の品格を著しく損なっています。

しかし、これらの欠点を補って余りある歴史的意義と「新しい映画体験」がここには確実に存在しています。インド映画が新たな黄金時代に突入したことは疑いようがなく、『ブラフマーストラ』は技術的・創造的にハリウッドと肩を並べるレベルに到達したインド映画界の力を世界に示した文化的遺産として、映画史にその名を刻みました。

「これは一生に一度の映画体験であり、インド映画の新時代の始まりです」 ──愛と神話の力が織りなす壮大な叙事詩の幕開けに、あなたも立ち会ってみませんか。

各サイトのレビュースコア

Brahmāstra: Part One – Shiva(以降「ブラフマーストラ」)は、インド神話的要素を現代に持ち込み、大規模なビジュアルと「宇宙(アストラヴァース)」構築というシリーズ構想に挑んだ野心作である。そのスケール感と映像的インパクトには確かな魅力がある一方で、「物語」「脚本」「キャラクター描写」において、評価の分かれる複雑な作品だ。

批評家評価と観客評価の乖離

批評家評価

  • Rotten Tomatoes(Critics):47% — 評価はまちまち。批評家の多くは「壮大なビジョン」「ビジュアル・デザイン」「世界観の構築」に一定の敬意を払いつつも、脚本や構成の甘さに対して厳しい。
  • Metacritic:57/100(Mixed/Average) — 批評家の意見は割れており、高評価は少数、概ね「悪くはないが完璧ではない」という評価。

インド国内批評では、“熱意ある試み”“映像・アクションの見どころ”を評価する声もあるが、同時に「脚本の弱さ」「対話・演出の粗さ」を指摘する意見が少なくない。

観客評価

  • IMDb:約 5.6/10 — 世界中の観客からのレビューは割れる。「VFXや画づくりは高く評価」「だが脚本・セリフ・物語の整合性に不満」という声が目立つ。
  • Rotten Tomatoes(Audience):68% — 視覚的なスペクタクルとエンタメ性を楽しんだ観客は多く、好意的な意見も一定。

オンラインフォーラム(例:Reddit等)では、典型的なファン/アンチ両極の反応。たとえば “VFXは素晴らしいが、ストーリーは子ども向け”“愛の要素が強すぎて構造が甘い”“ただのライトなエンタメとしてならあり” といった感想が散見される。

乖離の理由

映像・演出・世界観という「見せ場」に比重を置いた結果、脚本、構成、キャラクター描写が相対的に弱くなり、批評家が重視する「物語の整合性」「テーマの深み」が犠牲となった。一方で、観客のなかには“圧倒的なVFX”と“神話+ファンタジー+恋愛”のエンタメ的融合に価値を見出す者も多く、この差異が評価の乖離を生んでいる。

プラットフォーム別レビュー傾向と主なコメント

IMDb(国際的な観客レビュー)

  • 長所として「驚異的な VFX」「巨大なスケール」「アストラヴァース構築の手応え」を挙げる声が多い。
  • 短所として「脚本が弱い」「ロジック飛躍や展開の雑さ」「ダイアログが陳腐」が繰り返し指摘されている。特にロマンチックな要素や恋愛部分に対する批判が厳しい。

Rotten Tomatoes

  • Critics:「壮大なビジョン」「野心とスケール感」を評価する一方で、「脚本・台詞・キャラクター描写の弱さ」を強く批判する意見が多い。
  • Audience:「物語は都合がよく感じる」「設定はやや荒いが見せ場は楽しい」と肯定的。特に VFX、音楽、アクションを評価する声が中心。

ジャンル・公開背景・作品構造による影響

  • ジャンル:ファンタジー × アクション × ロマンス × 神話。── 巨大なビジュアルとスーパーパワーの戦いという“娯楽”に振った構造であり、観客向けファンタジー映画の典型。
  • 世界観構築とシリーズ性:「アストラヴァース(Astraverse)」という、一大フランチャイズ構想の第一章。これは観客の“続きへの期待”を煽るが、同時に本作だけでは構造的に不安定な土台にもなる。
  • 制作背景:数年にわたる製作と莫大な予算、大規模なVFXの投入。その点で「インド映画のスケールアップ」「ハリウッド的スペクタクルへの挑戦」として高い評価を受けやすい。
  • 弱点の根源:脚本・対話の練り込み不足、キャラクターの深みの欠如。特に恋愛要素や人物間の関係性において、感情移入や説得力に乏しい。

総評:どのような観客に向いた作品か、そしてその限界

「ブラフマーストラ」は、視覚的なスケールと、インド神話的モチーフを現代スーパーヒーロー譚に落とし込む大胆な挑戦。その意味では、「インド映画の可能性」を広げた作品として記憶される価値がある。特に「VFXを劇場の大画面で楽しみたい」「神話 × ファンタジー × アクションの冒険譚を味わいたい」「次作へ続く序章としての設定や世界観に魅力を感じる」観客には、十分に楽しめるだろう。

一方で、「脚本の整合性」「キャラクターの深み」「物語の構造的完成度」を重視する観客――特に批評家的な視点を持つ人には、満足とは言い難い。恋愛要素の強さや“子ども向け”的な演出が、作品の重みや深みを削いでしまっている場面が少なくない。

本ページの情報は 時点のものです。
各サイトの最新スコアは各々のサイトにてご確認ください。

このページではAmazon Prime Video Jpで配信中のブラフマーストラから執筆しました。

Amazon Prime Video Jpで配信されている「ブラフマーストラ」のあらすじ、感想、評価を紹介しました。気になる方は、ぜひ下記URLのAmazon Prime Video Jpからチェックしてみてください!

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このページは 時点のものです。
最新の配信状況は Amazon Prime Video Jpサイトにてご確認ください。

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