映画『ダークハウス』は、多数のホラーを映画を手がけているジェームズ・ワンが製作を手がけたホラー映画です。
ただ交霊会に参加したメンバーを襲うシーンが無いというのは、ホラー作品してドキドキハラハラが物足りないという印象。ストーリーとして途中途中で彼らに起こった異常事態も描かれるので、時たまびっくりする場面も存在する怖さのインパクトとしては非常に弱かったですね。
斬新なストーリーテリングと構成
『ダークハウス』は、ユニークなストーリーテリングでした。それは一般的なホラー映画のように単に出来事を時系列で追うのではなく、「事件の後の警察の捜査」と「事件の最中の出来事(回想・発見された映像)」を並行して描くという手法がとられています。

これがありきたりな幽霊屋敷ホラーに終わらせず、「ファウンド・フッテージ(発見された映像)」「心霊探索」「警察の捜査」といった異なるジャンルの要素を融合させています。この構成は巧みさでした。
警察の捜査と過去の出来事を交互に見せるトリッキーな構成は、この手法が定番ながらモチーフに新味を与えている印象でした。これは単に怖い出来事を追体験するだけでなく、刑事と一緒に事件の真相を解き明かすという、ミステリーのような感覚を味わうことができます。
ただ「ホラー」「ミステリー」「ファウンド・フッテージ」と欲張りすぎたせいか、どれも中途半端で、結局何がしたかったの?と感じてしまいました。
ジェームズ・ワン作品の雰囲気
本作には製作に『ソウ』『死霊館』シリーズで知られるホラー界の巨匠、ジェームズ・ワンが関わっています。ジェームズ・ワンは『ソウ』『インシディアス』『死霊館』といった、数々の大ヒットホラーシリーズを生み出してきた監督、そしてプロデューサーでもあります。
まず巧みな雰囲気づくりが挙げられます。派手なゴア描写に頼らず、不気味な雰囲気や音響効果で恐怖を煽る演出が秀逸です。そして効果的なジャンプスケアがあります。これは観客を驚かせるジャンプスケア(急な音や映像で驚かせる手法)も効果的に使われている印象でした。
そして独特の雰囲気づくりは欠かせない部分です。『死霊館』シリーズを彷彿とさせるような、古びた洋館での心霊現象が描かれています。これは派手な特殊効果よりも、不気味な雰囲気と音でじわじわと恐怖を煽る演出は、まさにジェームズ・ワン作品の真骨頂と言えるでしょう。
また「仕掛け」のある構成がありました。多くのワン作品がそうであるように、『ダークハウス』もただ怖いだけでなく、予測を裏切るサプライズが隠されています。こんな終盤の展開は『ソウ』も感じ取れましたね。
低予算映画が生み出す緊張感
低予算映画が生み出す緊張感は、独特の恐怖体験を提供します。低予算の制作でも、創造的な撮影技術や緊迫感のある映像が使われれば、観る者の心を掴むことができます。例えば、アメリカの映画「ブレアウォッチプロジェクト」は、限られた予算ながらも優れた演出により、終始息がつまる映画でした。それは過剰なCGIや特殊効果に依存せず、ストーリーの本質やキャラクターの深層に迫ることに成功しているからです。
一見するとありきたりな「呪われた廃屋」ホラーに思えますが、物語が進むにつれて予想外の真実が明らかになり、観客は何度も裏切られます。特に終盤のツイストは、この映画を単なるホラーで終わらせない、サイコロジカルなスリラーとしての側面を際立たせています。
本作は他の心霊映画とは違って個人的には楽しめました。これは斬新な構成が、物語のペースに合わないと感じる人もいれば、新鮮な体験として楽しめる人もいるようです。ただホラーとして観ればよいのかサスペンスとして観ればよいのか中途半端に感じる部分もありました。多くの要素を詰め込みすぎて中途半端になってしまった印象でしたね。
特に物語の「悪霊」が十分に説明されず、ラストに不満が残ると指摘しています。
交霊会の魅力
多くのホラー映画が「交霊会で何かを呼び出してしまった!」という直接的な恐怖を描くのに対し、『ダークハウス』は「交霊会がきっかけで、隠されていた真実が明らかになる」という形で物語を紡ぎます。交霊会で起きた惨劇の映像を、警察の尋問や心理学者の分析を通して断片的に目にすることになります。これにより、断片的な情報から何が起きたのかを推理するという、一種のパズルゲームのような感覚を味わえました。

交霊会という古くからあるテーマを、ミステリーや心理スリラーの要素と組み合わせることで、『ダークハウス』はホラー映画に新たな視点をもたらしました。単なる儀式としてではなく、登場人物たちの過去や秘密を暴くための装置として交霊会を利用している点が、この映画のユニークな魅力と言えるでしょう。
まとめ:ホラーとサスペンスが混じった斬新な構成
映画『ダークハウス』は、斬新な構成で定番ホラーにひねりを加えた作品でした。ただこのスタイルは、見る人にとっては「ホラー映画として退屈」「中途半端」と感じられることもあると思います。「死霊館」などのホラー映画を期待する人には残念なホラーとなる作品かもしれません。
「定石を破るホラー」として評価するか、それとも「詰め込みすぎた凡作」となるか。もしあなたが、単なるお化け屋敷ホラーに飽き飽きしているなら、この実験的なアプローチは一見の価値があるかもしれません。