内容はいたってシンプルで画序盤にトラブルに見舞われた主人公が一人火星に取り残され、知恵を絞り生き抜こうとする。 サバイバル映画にしては、珍しい明るいムードな作品なので気軽に観られます。主人公が常に前向きで、地球のNASA職員も含めて映画のムードメーカーでした。
- 原題
- The Martian
- 公式サイト
- https://www.20thcenturystudios.jp/movies/odyssey
- 監督
- 登場人物
-
- マーク・ワトニー
-
Actor: マット・デイモン
アレス3ミッションのエンジニア兼植物学者。
- 配給会社
- 制作会社
ここがおすすめ!
- 火星や宇宙居住施設の描写のリアリティ
- 科学的正確性の徹底的な追及
- 70年代ディスコミュージックとの親和性
あらすじ
人類による有人火星探査ミッション<アレス3>が、荒れ狂う嵐によって中止に追い込まれた。ミッションに参加した6人のクルーは撤収を余儀なくされるが、 そのひとりであるマーク・ワトニーは暴風に吹き飛ばされ、死亡したと判断される。しかしワトニーは奇跡的に生きていた。
公式サイト
本作の公開当時、マット・デイモン演じるマーク・ワトニーという宇宙飛行士がたった一人で火星に取り残されてしまうという宣伝が多くなされていたと記憶しています。この宣伝どおりに基本的にはマット・デイモンの一人芝居に近い作品なのかな、と予想していました。作品の長さが約2時間半と書かれているのを見てとてもびっくりしました。一人芝居で2時間半はなかなかに狂気の沙汰では?と思いつつも、ほぼ前知識なしで鑑賞してみることに。やはり鑑賞してみてもその長さには疲労感を覚えましたし、内容も少し冗長に感じる部分があったので、ちょっと長すぎたかな~と思います。
映画の冒頭、チームでミッションをこなしていく様子を見て、あれ、一人じゃない、となぜか少し安心しました。男性中心の作品かと思ったのですが、チームの指揮官はジェシカ・チャステインが演じるメリッサ・ルイスで、女性地質学者という設定でした。女性リーダーが描かれる作品だとは思っていなかったので、この時点で思っていた印象とだいぶ違うな、と感じました。
その後、すぐにミッション中のアクシデントに見舞われて火星に一人取り残されるワトニーですが、完全なる孤軍奮闘、というわけではありませんでした。事故直後こそ、彼は亡くなったものと考えられていたため一人きりでしたが、すぐに彼の生存をNASAが感知すると、彼を連れ戻すべく多くの人が尽力する様子が描かれていました。なので、ワトニーが生き残るための試行錯誤を重ねる様と、ワトニーの無事の帰還のために多くの人々が奮闘する様という二つの物語がほぼ同時に進行するような形で映画は進んでいきます。ワトニーが一人でサバイバルする映画だと思っていたので、この二つのプロットが同時進行するという物語形式は観ている方としては飽きにくくなるので、嬉しいサブらイズでした。また、この二つの物語が進行するからこそ二時間半という長い時間の映画なのだ、と納得することができました。
本作はアンディ・ウィアーの小説「火星の人」(2011年出版)を原作として原題は「The Martain (火星の人)」となっており、邦題は古代ギリシャの詩人ホメロスが書いた叙事詩であり、そこから長い冒険旅行を意味する「オデッセイ」になっています。
リアルな映像と物語
本作「オデッセイ」の一番の魅力は、やはり宇宙の映像でしょう。これは高い映像技術を持った現代だからこそ映像化できたのだと思います。ワトニーのサバイバル生活は基本的に火星と宇宙の居住施設で描かれるため、必然的に宇宙で生活する様子を映像に納めなければなりません。映画の魔法を使ったことは理解していますし、本当に宇宙に行ったことはないので単純に過去の宇宙ステーションの映像などからのイメージですが、非常に忠実かつリアルに宇宙空間での生活が描かれていたように感じました。これはワトニーに限った話ではなく、ルイス率いるクルーたちの生活ぶりからも、宇宙空間での人々の過ごし方はこんな感じなのだろうか、と容易に想像できるようになっていたのが非常に印象的でした。
その一方で、本作は2035年という近未来を舞台としているため、通信手段などは現代の技術よりも進んでいるように感じる場面も複数ありました。宇宙関連の技術開発は日進月歩なので、実際に2035年にはどのようなことが可能になっているか、何となく想像しながら映画を観るのもなかなかに楽しかったです。
監督こだわりの科学的正確性
本作を見て抱いた印象は、「ロビンソン・クルーソー」と「アポロ13」を足して割ったような作品かなという印象を持ちました。「ロビンソン・クルーソー」は一人の男性が島でサバイバルすべく試行錯誤を重ねる小説ですが、実際の航海日誌になるようなことを想定して書かれているため、妙にリアリティがある部分があります。本作ではワトニーが生き延びるべく、自身の植物学者としての知識を生かして食料を確保したり、水や空気、電気をどうにかまかなったりと非常にリアリティのある描写が複数あり、「ロビンソン・クルーソー」を想起させるな、と感じました。同じようなことが「アポロ13」にも言えるように思います。なかなかに一般人には想像がつきづらい宇宙のミッションを描いた作品ですが、どうにか自分たちの持っている資源だけで生き延びようと試行錯誤していた様が私には印象的でした。ワトニーが「オデッセイ」で様々な工夫をしながら必死に生き抜こうとする様にも似たような気持ちを覚えました。
それだけでなく、彼を救おうとするNASAの面々の言動もリアリティがあるな、と思いました。現場の混乱や焦りから間違った判断をしてしまったり、どのアイデアを採択するかの試行錯誤であったり、といった場面はリアルに感じました。特に、作業を焦るあまり点検の工数を無理やり減らした結果、大失敗してしまった、という場面は、技術系の職場にいたことがある人ならだれもが共感する場面だったのではないかなと感じました。
シリアスになりすぎない音楽の力
作り方次第ではとてもシリアスな作品になってしまうのではないかな、と思った本作ですが、重すぎず適度な軽さに仕上がったのは、まさにワトニーの持ち前の明るさと、映画を彩る70年代の音楽のおかげだと感じました。これはルイスが70年代音楽好き、という設定だったためですが、深刻な音楽ではなく軽快なディスコ音楽が流れることで観ている方としても気分が軽くなりますし、ワトニー同様希望を捨てずにいられる感じがしました。特に、ABBAの名曲が流れた場面などは、なかなかに危機的な状況であるにもかかわらず、観ている人々は思わず笑顔になってしまったのではないか、と感じました。
「オデッセイ」は2時間30分以上の長い作品でありつつも、リアリティを追求する反面、重くなりすぎないようにするなど、非常に細かく作り込まれた作品です。時間が確保できるのであれば、一度は観てみると良い作品なのではないかと、全体的に思いました。
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