2025の秋に配信されたもしくは鑑賞したアニメ、ドラマのまとめページになります。執筆した配信タイトルはタイトルのリンクから視聴可能です。(執筆時点での情報になります。)
アニメ
銀河特急 ミルキー☆サブウェイ
2022年に映像系専門学校生(バンタンゲームアカデミーCGアニメーター専攻)だった亀山陽平氏が卒業制作としてYouTubeに公開した短編3Dアニメ『ミルキー☆ハイウェイ』は、独特な世界観とゆるい会話劇で話題となり、総再生回数670万回を記録しました。
鑑賞したのは続編となる『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』は、公式YouTubeチャンネルにて全12話が放送・配信されました
本作でも亀山陽平氏が監督、脚本、キャラクターデザインのみならず、モデリング、アニメーションや編集など、実制作のほとんどを担当するという驚異的な制作スタイルでした。エンディングの制作のキャスト一覧をみるとビビる。
レトロポップな曲と色調と近未来な世界観とのバランス感覚、軽快な音ハメが魅力で3Dで描かれる宇宙列車の車内や、カラフルなキャラクターたちが織りなす映像は、どこか懐かしくも新鮮な煌めきを放ちます。
そしてなんといっても小気味いい台詞の掛け合い!
12話構成ですが、1話あたり3分弱と観やすくて続きが観たい作品でした。個人的に好きなエピソードは第7話で掃除屋二人が「ありがとう」と感謝されてデレてしまうエピソードが、テンポのよい曲に合わせたアクションと合わせてギャップが良い!
スター・ウォーズ:ビジョンズ Volume2
Volume1が主に日本のアニメスタジオによる作品だったのに対し、Volume2では世界中のアニメーション会社が参加しています(日本のスタジオは参加していません)。それぞれのスタジオが独自の文化とスター・ウォーズの融合に挑んだアンソロジーシリーズでした。
本当にアニメーションの表現方法が多彩であり、2Dから3D、ストップモーションまで、多彩な表現手法で描かれる9つの物語は、正史(カノン)には縛られない自由な発想で制作されていました。
ただ20分前後の日本のアニメを観ている影響か10分前後の短編で、世界観の説明が駆け足になる作品もあった印象であり、また童話の絵本の世界観が強かった印象です。
| タイトル | 制作国 | スタジオ名 |
|---|---|---|
| Sith(シス) | スペイン | El Guiri Studios |
| Screecher’s Reach(スクリーチャーズ・リーチ) | アイルランド | Cartoon Saloon |
| In the Stars(星の中で) | チリ | Punkrobot |
| I Am Your Mother(アイ・アム・ユア・マザー) | イギリス | Aardman |
| Journey to the Dark Head(ダークヘッドへの旅) | 韓国 | Studio Mir |
| The Spy Dancer(スパイ・ダンサー) | フランス | Studio La Cachette |
| The Bandits of Golak(ゴラクの盗賊) | インド | 88 Pictures |
| The Pit(ザ・ピット) | 日本/アメリカ | D’Art Shtajio / Lucasfilm |
| Aau’s Song(アーウの歌) | 南アフリカ | Triggerfish |
スター・ウォーズ:ビジョンズ Volume3
オムニバス形式のビジョンズ Volume3では、Volume1と同じく日本のスタジオの制作でした。またVolume1で人気を集めた作品の続編も登場していました。神風動画の「The Duel」、キネマシトラスの「村の花嫁」、Production I.Gの「九人目のジェダイ」など、ファンから支持された物語がさらに展開されます。
日本文化の奥深さとスター・ウォーズの壮大な世界観が融合し、黒澤映画へのオマージュから最新の3DCGアニメーションまで、多彩な表現で描かれる9つの物語です。
Volume1 日本スタジオ、Volume2が日本を除いた(一つアメリカ合作あり)、Volume3 日本スタジオ。これを連続してみると日本のアニメはAnimeだなと感じました。それはストップモーションやクレイアニメというアニメーションの表現方法よりキャラクターの演出やカメラワークに力をいれて、よりドラマに重点を置いていることを感じますね。
| タイトル | 制作国 | スタジオ名 |
|---|---|---|
| The Duel: Payback(ザ・デュエル:ペイバック) | 日本 | 神風動画+ANIMA |
| 四枚羽の詩 | 日本 | プロジェクトスタジオQ |
| The Ninth Jedi: Child of Hope(九人目のジェダイ:希望の子) | 日本 | Production I.G |
| ユコの宝物 | 日本 | キネマシトラス |
| The Smuggler(ザ・スマグラー) | 日本 | TRIGGER |
| The Bounty Hunters(バウンティ・ハンターズ) | 日本 | WIT STUDIO |
| 極楽鳥の花 | 日本 | ポリゴン・ピクチュアズ |
| 彷徨う者たち | 日本 | キネマシトラス |
| BLACK(ブラック) | 日本 | デイヴィッドプロダクション |
Production I.G制作の『九人目のジェダイ』が「ビジョンズ」初の長編シリーズ化が実現し、オリジナルアニメーションシリーズ『Star Wars Visions Presents -The Ninth Jedi』として2026年に配信されることが決定しています。

ウマ娘 シンデレラグレイ 第二章 白い稲妻篇
第1クールで天皇賞(秋)でタマモクロスの「領域《ゾーン》」に敗れたオグリキャップは、再びライバルへの挑戦を誓う。舞台は国際招待GI「ジャパンカップ」へ。世界の強豪ウマ娘たちが集う最高峰のレースで、オグリは新たな伝説を刻むのが第2章です。
原作は週刊ヤングジャンプで6年間という長期連載を経て2025年12月に完結しました。

驚くのは、この作品がキャラ絵から感じられない「萌え系」という先入観を完全に裏切る、骨太のスポーツ物語であることでしょう。可愛らしいキャラクターデザインの奥に潜むのは、レースに挑む者たちの激しい葛藤、怪我との戦い、そして限界を超えようとする魂の叫びがありました。
それはレース描写に本当に情熱を感じずにはいられません。ウマ娘たちの目力、歯を食いしばる表情、汗が飛び散る瞬間の一つ一つに、人間ドラマの真実が宿っている。特にタマモクロスの「領域《ゾーン》」覚醒シーンは、作画監督チームが何度も議論を重ね、修正を繰り返した末に完成した、アニメーション技術の到達点だと思います。
レース展開はほぼ史実通りであり、結果を知っていても熱くなってしまいました。本当にただ走っているだけなのにこれほど鳥肌が立ってしまいます。
最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか
「最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか」は、累計200万部を突破した原作を、ライデンフィルム京都スタジオが丁寧にアニメ化した作品です。
いちおうこれは悪役令嬢者になるのかな?強い女性がこんなにも見た目通りであり、スカッとする痛快さなかなかないでしょう。美しく冷たげな容姿の裏に秘められた凶暴性、幼少期には「狂犬姫」と呼ばれた過去を持つスカーレットが、婚約破棄をきっかけに解き放たれる。
理不尽な悪徳貴族たちが容赦なく鉄拳制裁を受ける様は、まさにカタルシスそのものです。主人公スカーレットの美しさを意識しない質実剛健さ、精神的な強さと正直さに惹かれる第一王子ジュリアスとの関係構築も見どころだ。「面白い珍獣」と呼ぶほど歪んだ愛情表現ながら、二人の関係が物語に深みがありました。
嘆きの亡霊は引退したい 第2クール
第2クールでは「バカンス編」と巨大犯罪組織「九尾の影狐」との対決が描かれています。そしてクライの”逃げたいのに逃げられない”苦悩と、周囲の勘違いが生み出す予測不能な展開は第1クールのままです。
第2クールでも主人公の一挙手一投足を周囲が都合よく解釈する構造が絶妙で、視聴者目線との温度差が笑いがありました。そして第2クールの大きな見どころは、最強パーティ「ストレンジ・グリーフ」のメンバーが(一人を除いて)ついに全員集結すること。長年離れていた仲間たちが揃う展開に、ファンは期待を高めています。キャラクターの可愛さと、ナレーター(杉田智和)のツッコミも秀逸でした。
終末ツーリング
原作は『電撃マオウ』で2020年から連載中の、さいとー栄による異色のツーリングコミック。電撃コミックスNEXTより既刊8巻が発売されており、アニメ化にあたっては原作者自身が監修として制作に参加しています。

終末世界ですが美しく描かれた廃墟の世界観であり自然に還りつつある日本の風景が、息をのむほど丁寧に描写されています。そんな世界を2人の少女の明るい旅路でありながら、失われた世界への切なさも感じる構成。ゆるい日常系に見えて、実は深いSF的な謎が隠されています。
廃墟となった観光地の静けさと、自然が取り戻した風景の美しさに思わず息をのみます。そんな終末世界を走るのは、太陽光発電で駆動する電動バイク・セロー。環境音だけが響く世界で、静かに進むバイクの姿が作品の世界観にぴったりとマッチしていました。
物語には時折、暴走するAI兵器や謎めいた過去の痕跡など、SF的な要素が挟み込まれ、単なる癒し系ツーリングアニメではない深みを感じさせます。稲垣好と富田美憂の演技、毎話変化するエンディング映像、童謡や唱歌の挿入歌も作品の空気感を一層引き立てていましたね。
SEROW250
作品の相棒として登場するのは、ヤマハの名車・セロー(SEROW250)。本来はガソリンエンジンのオフロードバイクですが、作中では太陽光発電で駆動する電動バイクに改造されています。軽量で扱いやすく、悪路にも強いセローの特性はそのままに、静かに終末世界を走り抜ける姿が印象的。2人乗り(タンデム)で自由に旅する様子は、まさに「渋滞なし、信号なし」の究極のツーリングを体現しています。
とんでもスキルで異世界放浪メシ2
2016年1月より「小説家になろう」で連載を開始し、同年11月にオーバーラップノベルスより書籍化。シリーズ累計700万部を突破する人気作品です。コミカライズ(作画:赤岸K)やスピンオフ漫画『スイの大冒険』(作画:双葉もも)も展開されています。

書籍、アニメーション、音楽、ゲーム、グッズなどのエンターテインメントコンテンツの企画・制作・販売
本作はやっぱりMAPPAが手掛ける圧倒的な料理作画でしょう。本当に画面越しでも香りが伝わってきそうな、ツヤや立体感、湯気の描写が食欲をそそりますね。そしてS&B、エバラ、meijiなど実在の食品メーカー20社が協力し、見慣れた商品が異世界で活躍しています。ここまでスポンサーのロゴが前面にだしているのは珍しい。
深夜アニメの枠を超えた癒しの異世界グルメファンタジー。ムコーダの時短レシピは、cookpadでも公開されていて家庭でも再現可能なのがよいところ。

本編に登場した料理を再現できるレシピをご紹介!ぜひお家でも作って下さい👨🍳❣️
注意: 夜に観るのは危険です。料理があまりにも美味しそうで、確実にお腹が空きます。深夜の飯テロ注意報発令中!
グノーシア 第1クール
人狼ゲーム×SFループミステリーという組み合わせと、宇宙船という閉鎖空間で展開される心理戦がメインのアニメでした。宇宙船の中でループして同じような会議でグノーシア(人狼)を探すので同じ背景とのところを作画の美しさとキャラクターの表情や仕草が細やかで、嘘をついているときの微妙な心理変化まで丁寧に描かれていました。
毎話のラストが必ず次回への引きになっている構成が見事でした。ただ人狼ゲームのルールを知らない方には、序盤の説明が少し複雑に感じるかもしれません。ただし、作中でキャラクターたちが丁寧に説明してくれるので、数話見れば自然と理解できる作りになっています。
また、ループ展開が続くため、正直「展開が遅い」と感じる場面もありました。これから第2クールで真相編が始まるので、シリーズ構成に『STEINS;GATE』の花田十輝氏が参加されているので、伏線回収に期待でした。
暗殺者である俺のステータスが勇者よりも明らかに強いのだが
小説家になろうの異世界転生者でした。ただサンライズが手がける本作は、切れ長の目と繊細な陰影の付け方が特徴的で、まるで90年代の名作アニメを思わせる、どこか懐かしくも美しい画作りが魅力です。セル画時代の質感を現代の技術で再現したような、艶のある作画でした。
また異世界冒険ものでありながら、珍しく序盤から主人公とヒロイン・アメリアの関係が急速に深まります。お互いを支え合いながら冒険を続ける二人の絆の深まり方は、テンポ良く描かれていましたね。
主人公である織田 晶が「暗殺者」という職業で暗躍する設定は面白いものの、既視感のある展開も否めません。
暗殺者で類似のタイトル:
- 世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する
- ありふれた職業で世界最強
懐かしさと新しさが共存する画風と、ヒロインたちの魅力を楽しむ作品として、異世界冒険ものが好きな方におすすめの一作です。
ドラマ
今際の国のアリス(いまわのくにのアリス)シーズン3
2025年9月25日よりNetflixにて世界独占配信が開始された本作は、麻生羽呂原作の大ヒットコミックス『今際の国のアリス』(小学館「少年サンデーコミックス」全18巻)を原作としたサバイバルドラマシリーズです。2020年よりシーズン1が配信され、2022年よりシーズン2が配信されています。
総工費20億円をかけたTHE SEVEN専用の日本最大級スタジオで撮影された本作は、前作を超える壮大なスケールで描かれています。 渋谷スクランブル交差点を模した特設セットや、圧倒的なVFX技術が織りなす映像世界は、まさに没入感の極致です。

佐藤信介監督が再び手掛ける本作は、デスゲームのみの演出で、シーズン1やシーズン2でゲームの合間のプレイヤー同士の探り合いはほぼなかったですね。
エピソード全てがわかりやすいゲームだったので、それぞれのゲーム緊張感の連続でした。知力・体力・チームワークなど登場人物たちの特性が活かされる多種多様なゲームで手に汗握るアクションが、満載でした。
ただ物語の結末についてが、結局夢オチ?とアリスの葛藤ってなんだったんだろうと感じてはしまいました。
ブレイキング・バッド シーズン 5 (Breaking Bad Season 5) 全16話
アメリカのテレビドラマ史に永遠に刻まれる完璧な最終章でしたね。末期の肺がんを宣告された高校化学教師ウォルター・ホワイトが、家族のために覚醒剤製造に手を染め麻薬王「ハイゼンベルグ」へと転落する5年間の物語は、このシーズンで圧倒的な結末を迎えます。
シーズン5は全16話の前後半に分かれ、前半で帝国を極めたウォルターが、後半で家族、相棒ジェシー、義弟ハンクらとの最終対峙を経て急速に崩壊していく様子を対照的に描き出していました。特に、人気が絶頂にある中で、物語を不必要に引き延ばすことなく全62話で完結させた判断は、本作の完成度を決定づけた最大の功績ではないでしょうか。
この最終章の最大の魅力は、緻密に計算された脚本構成と、それを体現したブライアン・クランストンの鬼気迫る演技だと思います。5シーズンにわたって張り巡らされたすべての伏線が美しく回収され、最終話「Felina がFinale フィナーレの アナグラム フェリーナ」(Fe、Li、Naの元素記号に由来)で完璧な着地を果たしていましたね。
シーズン5の演出は「沈黙が雄弁に語る」を表していました。最終話の静寂な幕切れは、これまでの喧騒と暴力に満ちた物語を締めくくる演出でした。それはセリフを排したモンタージュシーンは、登場人物の孤独と罪の重さを際立たせています。また最終話に近づくにつれてウォルターが身を隠す先の、これまでの荒涼とした砂漠とは対照的な雪に閉ざされた孤独な小屋の描写は、彼の精神的な孤立と、すべてを失った状況を象徴していました。
忘れてはならないのは物語がウォルターの転落だけでなく、相棒ジェシーの苦悩と成長、妻スカイラーの恐怖と諦念など、彼を取り巻く人々の群像劇としても優れている点です。そして、ウォルターが「自分のためにやった。好きだったんだ。得意だったんだ」と告白する場面は、これまで「家族のため」という大義名分で覆い隠されてきた純粋な自己実現への欲望を露わにし、道徳的曖昧さという深遠なテーマを問いかける。
最終話「フェリーナ」は、ウォルターが自ら作った自動機関銃の流れ弾に倒れるという皮肉に満ちた最期を迎える。彼の亡骸の傍らで流れるバッドフィンガーの「Baby Blue」は、青い覚醒剤への愛着と破滅を象徴する完璧な選曲だ。激動の2年間を経て、すべてが静寂に帰していくラストシーンは、昨今の「続編ありき」の作品作りとは一線を画し、現代テレビドラマの一つの到達点を示し、観客に人間の本質と罪の重さを問いかけ続ける、テレビドラマ史に残る完璧な終幕だったのではないでしょうか。
DCドラマ「ピースメイカー」シーズン2
U-NEXTにて独占配信中のDCドラマ『ピースメイカー』シーズン2は、ジェームズ・ガン監督が手がける新生DCユニバースの重要な一作でしたが、最終話は続編ありきでスッキリとした終わり方ではありませんでしたね。ガン監督は、本作の製作総指揮・脚本を担当すると同時に、DCユニバースの新たな旗艦映画『スーパーマン』(2025年公開予定)の監督・脚本も兼任しており、本作は新ユニバースへの布石としての役割も担っているようです。
シーズン2は、タスクフォースX解散後のクリストファー・スミス(ジョン・シナ)が、亡き父や兄が生きており家族全員がヒーローとして愛される「並行世界(アース2)」を発見するという理想と現実を示したシーズンでした。これは、シーズン1で描かれた主人公の家族間のトラウマに対する理想的な解決策を提示するかに見えましたが、物語が進むにつれて、特に第6話『知らぬが仏』で示唆された「理想世界の欺瞞」というテーマが、表層的な扱いに留まり、より深掘りが不足しているのが残念でした。
「ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結」で息子を失ったリック・フラッグ・シニア(フランク・グリロ)からの復讐劇という二つの軸が並行して展開するため、これは正直悪手だった印象でしたね。途中で復讐に燃えるリックが、ストーリーが進むにつれ、小物なリックになった印象が残念でした。
ガン監督が製作総指揮・脚本しているだけあって映画『スーパーマン』からのキャラクター登場など、新生DCユニバースとの連携はファンにとって見逃せない要素となっていました。
ストレンジャー・シングス シーズン4
マット&ロス・ダファー兄弟によるNetflixオリジナルシリーズもついにシーズン4まで来ました。一話あたり約3,000万ドルという破格の制作費が画面に息づき、シーズン4のエピソードの9は2時間と映画並の時間の長さからも感じられました。
そしてシーズン5で完結することが発表された「終わりの始まり」を飾ります。この最終章となるシーズン5が2025年11月26日から三部構成で配信開始され、12月25日に第二部、12月31日に壮大なフィナーレを迎えます。シリーズ最終話は、Netflixでの配信と同時に、アメリカとカナダの350以上の劇場でも上映されるという前例のない試みが行われます。
シーズン4は元々の舞台となるホーキンス、エルやウィルが引っ越したカリフォルニア、ロシアと世界各地に散らばった登場人物たちが織りなす群像劇となっていました。
このシーズン4、キャストたちに劇的な成長をもたらしました。この成長は男性キャラクターの背丈がもっとも見て伺えます。それはウィル役のノア・シュナップは兄ジョナサン役のチャーリー・ヒートンよりも背が高くなり、もはや自転車で町を駆け回る少年少女ではない彼らの姿が、高校生活や喪失といった成熟したテーマに説得力を与えています。
新たな敵ヴェクナ
シリーズ4で初めて言葉を話す人型の敵として登場したヴェクナは、本作最大の技術的偉業でしょう。俳優ジェイミー・キャンベル・バウアーが毎日7時間半をかけて24〜25ピースの義肢を装着し、約90%を実践的な特殊効果で作り上げたこの新たな悪役は、フレディ・クルーガーやピンヘッドへのオマージュを感じさせます。ダファー兄弟は意図的にキャストがヴェクナに扮したバウアーと初対面するのを撮影の瞬間まで待ち、その恐怖が本物となるよう演出しました。
「Becoming Vecna」と題した約8分44秒のメイキング映像を公開しています。この徹底したクラフトマンシップこそが、本シーズンを80年代ホラーの正統な継承者たらしめていることをあらためて感じざる得ません。
ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス
ドラマ「ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス(The Haunting of Hill House)」は、アメリカの作家シャーリイ・ジャクソンが1959年に発表したゴシック・ホラー小説『たたり』(原題:The Haunting of Hill House)を原作としたマイク・フラナガン監督による大胆な再解釈で、2018年10月12日にNetflixで配信が開始されました。原作小説は全米図書賞の最終選考にも残った傑作として知られ、スティーブン・キングをはじめ多くの作家に影響を与えた作品です。
あらすじは大雑把に言うとアメリカで幽霊屋敷となるヒルハウス(Hill House)で過ごした5人の兄妹が、数十年の時を経て再会し、過去の記憶と恐怖に直面する物語です。
映像全体がとにかく不穏です。広大なヒルハウスの廃墟めいた空間を、過去と現在が交錯するように描き出し、観る者を時空を超えた悪夢へと誘います。そして一番印象だったのは、第6話「ふたつの嵐」における革新的な演出でしょう。この回は映画「1917 命をかけた伝令」を彷彿とさせるワンカット風の長回しのカメラワークが、過去と現在をシームレスに行き来しながら、家族の絆と崩壊を同時に映し出す圧巻の仕上がりとなっています。まるで時間の壁が溶け合うかのような、この大胆な映像手法は、記憶とトラウマが現在に侵食してくる様を体感させてくれました。
エイリアン:アース(Disney Plus独占配信 全8話)
2120年の地球が舞台となり、ウェイランド・ユタニ社の宇宙船が地球に墜落する。人間の意識を注入されたヒューマノイドロボット「ハイブリッド」のプロトタイプであるウェンディが、宇宙最恐の生命体エイリアンと対峙する。エイリアンは直近だと映画「ロムルス」が公開されました。

このロムルスよりも、「生々しい恐怖」を追求していた印象でした。エイリアンの特徴であるゼノモーフやフェイスハガーの他にも、複眼を持つタコ状の軟体生物など、エイリアン以外のクリーチャーデザインも、シリーズの世界観を拡張する不気味な魅力でしたね。
そしてSFドラマ『エイリアン:アース』の物語は、シリーズの核となるエイリアンの恐怖をベースにしながらも、「子供の意識をスキャンして完成されるハイブリッド」という、斬新なアイデアを加えています。この新人類ともいうべき子供たちは、作品を評価の分かれどころかもしれません。
ウェイランド・ユタニ社が登場するのですか桜や甲冑のサムライ?っぽいのが登場したのですが、ユタニって日本由来だったのですね。
IT/イット ウェルカム・トゥ・デリー “それ”が見えたら、終わり。(U-NEXT独占)
映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』で全世界を震撼させた恐怖のピエロ「ペニーワイズ」。その不気味な笑みと赤い風船は、ホラー映画史に刻まれたアイコンとして今なお人々の記憶に焼き付いているのではないでしょうか。そんなペニーワイズを本作は、その”彼”が生まれる以前の物語と、デリーに根づく”27年周期の恐怖”の秘密に、容赦なく、そして徹底的に迫っていく壮大な前日譚でした。
ドラマ版も映画版『IT』二部作を監督したアンディ・ムスキエティ監督が再び舵を取り、製作総指揮・監督として複数エピソードを手がけた本作は、映画で培った”恐怖の演出技術”を、ドラマというより自由度の高いフォーマットで存分に、そして大胆不敵に発揮している。
全8話(1話あたり1時間ほどあり総じて8時間超えです)という贅沢な尺を活かし、映画では時間的制約のために描ききれなかったデリーという町の異様な空気感、1962年という時代の暗部、人種差別や階級差別といった社会的テーマ、そして”それ”が目覚め、形を成していく恐ろしくも美しい過程を、一切の妥協なく、じっくりと、まるで熟成されたワインのように深い味わいで描き出していました。
そしてムスキエティ監督の演出は、第1話から圧倒的です。オープニングシークエンスから漂う不穏な空気、1962年の街並みを完璧に再現した美術セット、そして子役たちの自然体でありながら説得力に満ちた演技。すべてが映画級のクオリティで展開され、視聴者を一瞬たりとも現実に引き戻さない。特筆すべきは、ホラー映画の不文律とも言える「子どもは酷い目に遭うが死なない」というルールを、本作が第1話のラストで無惨に打ち砕く瞬間である。
ドラマの映像面では、1962年のアメリカの街並み、看板、車、制服、室内装飾に至るまで、徹底的に時代考証された美術が、”作り物っぽくない”リアルな恐怖を生み出していました。
多層的な恐怖の構築
ドラマ版のは、”恐怖“を多層的に、立体的に構築している点でしょう。表層的なジャンプスケア(突然驚かせる演出)に安易に頼るのではなく、人間社会の差別や偏見、町全体の「見て見ぬふり」という構造的な問題が、超常的な恐怖と複雑に絡み合い、相互に増幅し合っていく。特に人種差別の描写は生々しく、黒人将校リロイ・ハンロンが受ける理不尽な扱いや、ブラックスポット放火事件の残酷さは、”それ”以上に恐ろしい「人間の恐怖」として、観る者の胸に重く、痛々しく突き刺ささります。
そしてネイティブ・アメリカンの伝承や儀式が物語に組み込まれている点も、実に興味深い試みです。これは完全オリジナルのようで、第4話以降で展開される先住民の知識と”それ”の関係性は、ホピ族の宇宙創造神話などを彷彿とさせ、”それ”の起源に宇宙的・神話的な背景を与えることで、単なる”町の怪物”ではなく、より壮大なスケールの恐怖へと昇華させている。映画版では語られなかった「なぜデリーなのか」「なぜ27年周期なのか」という根源的な疑問に、本作は一つの説得力ある答えを提示しているのだ。
忘れられないのは、ピクルスから人の顔が映し出される衝撃的なシーン。学校のホルマリン漬けを想起させるこのビジュアルは、トラウマレベルの恐怖として多くの視聴者の記憶に焼き付いた。日常の食べ物であるピクルスが、突如として人間の顔へと変貌する──その悪夢的なイメージは、”それ”が日常に侵食してくる恐怖を完璧に体現している。
ただ前半4話はペニーワイズの姿がほとんど見えず、町の異変や人間ドラマに多くの時間が割かれている。「いつ本題に入るのか」「早くペニーワイズを出せ」と焦れったさを感じる視聴者もいるかもしれません。






