2025の秋に配信されたもしくは鑑賞したアニメ、ドラマのまとめページになります。執筆した配信タイトルはタイトルのリンクから視聴可能です。(執筆時点での情報になります。)
アニメ
銀河特急 ミルキー☆サブウェイ
2022年に映像系専門学校生(バンタンゲームアカデミーCGアニメーター専攻)だった亀山陽平氏が卒業制作としてYouTubeに公開した短編3Dアニメ『ミルキー☆ハイウェイ』は、独特な世界観とゆるい会話劇で話題となり、総再生回数670万回を記録しました。
鑑賞したのは続編となる『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』は、公式YouTubeチャンネルにて全12話が放送・配信されました
本作でも亀山陽平氏が監督、脚本、キャラクターデザインのみならず、モデリング、アニメーションや編集など、実制作のほとんどを担当するという驚異的な制作スタイルでした。エンディングの制作のキャスト一覧をみるとビビる。
レトロポップな曲と色調と近未来な世界観とのバランス感覚、軽快な音ハメが魅力で3Dで描かれる宇宙列車の車内や、カラフルなキャラクターたちが織りなす映像は、どこか懐かしくも新鮮な煌めきを放ちます。
そしてなんといっても小気味いい台詞の掛け合い!
12話構成ですが、1話あたり3分弱と観やすくて続きが観たい作品でした。個人的に好きなエピソードは第7話で掃除屋二人が「ありがとう」と感謝されてデレてしまうエピソードが、テンポのよい曲に合わせたアクションと合わせてギャップが良い!
スター・ウォーズ:ビジョンズ Volume2
Volume1が主に日本のアニメスタジオによる作品だったのに対し、Volume2では世界中のアニメーション会社が参加しています(日本のスタジオは参加していません)。それぞれのスタジオが独自の文化とスター・ウォーズの融合に挑んだアンソロジーシリーズでした。
本当にアニメーションの表現方法が多彩であり、2Dから3D、ストップモーションまで、多彩な表現手法で描かれる9つの物語は、正史(カノン)には縛られない自由な発想で制作されていました。
ただ20分前後の日本のアニメを観ている影響か10分前後の短編で、世界観の説明が駆け足になる作品もあった印象であり、また童話の絵本の世界観が強かった印象です。
| タイトル | 制作国 | スタジオ名 |
|---|---|---|
| Sith(シス) | スペイン | El Guiri Studios |
| Screecher’s Reach(スクリーチャーズ・リーチ) | アイルランド | Cartoon Saloon |
| In the Stars(星の中で) | チリ | Punkrobot |
| I Am Your Mother(アイ・アム・ユア・マザー) | イギリス | Aardman |
| Journey to the Dark Head(ダークヘッドへの旅) | 韓国 | Studio Mir |
| The Spy Dancer(スパイ・ダンサー) | フランス | Studio La Cachette |
| The Bandits of Golak(ゴラクの盗賊) | インド | 88 Pictures |
| The Pit(ザ・ピット) | 日本/アメリカ | D’Art Shtajio / Lucasfilm |
| Aau’s Song(アーウの歌) | 南アフリカ | Triggerfish |
スター・ウォーズ:ビジョンズ Volume3
オムニバス形式のビジョンズ Volume3では、Volume1と同じく日本のスタジオの制作でした。またVolume1で人気を集めた作品の続編も登場していました。神風動画の「The Duel」、キネマシトラスの「村の花嫁」、Production I.Gの「九人目のジェダイ」など、ファンから支持された物語がさらに展開されます。
日本文化の奥深さとスター・ウォーズの壮大な世界観が融合し、黒澤映画へのオマージュから最新の3DCGアニメーションまで、多彩な表現で描かれる9つの物語です。
Volume1 日本スタジオ、Volume2が日本を除いた(一つアメリカ合作あり)、Volume3 日本スタジオ。これを連続してみると日本のアニメはAnimeだなと感じました。それはストップモーションやクレイアニメというアニメーションの表現方法よりキャラクターの演出やカメラワークに力をいれて、よりドラマに重点を置いていることを感じますね。
| タイトル | 制作国 | スタジオ名 |
|---|---|---|
| The Duel: Payback(ザ・デュエル:ペイバック) | 日本 | 神風動画+ANIMA |
| 四枚羽の詩 | 日本 | プロジェクトスタジオQ |
| The Ninth Jedi: Child of Hope(九人目のジェダイ:希望の子) | 日本 | Production I.G |
| ユコの宝物 | 日本 | キネマシトラス |
| The Smuggler(ザ・スマグラー) | 日本 | TRIGGER |
| The Bounty Hunters(バウンティ・ハンターズ) | 日本 | WIT STUDIO |
| 極楽鳥の花 | 日本 | ポリゴン・ピクチュアズ |
| 彷徨う者たち | 日本 | キネマシトラス |
| BLACK(ブラック) | 日本 | デイヴィッドプロダクション |
Production I.G制作の『九人目のジェダイ』が「ビジョンズ」初の長編シリーズ化が実現し、オリジナルアニメーションシリーズ『Star Wars Visions Presents -The Ninth Jedi』として2026年に配信されることが決定しています。

ドラマ
今際の国のアリス(いまわのくにのアリス)シーズン3
2025年9月25日よりNetflixにて世界独占配信が開始された本作は、麻生羽呂原作の大ヒットコミックス『今際の国のアリス』(小学館「少年サンデーコミックス」全18巻)を原作としたサバイバルドラマシリーズです。2020年よりシーズン1が配信され、2022年よりシーズン2が配信されています。
総工費20億円をかけたTHE SEVEN専用の日本最大級スタジオで撮影された本作は、前作を超える壮大なスケールで描かれています。 渋谷スクランブル交差点を模した特設セットや、圧倒的なVFX技術が織りなす映像世界は、まさに没入感の極致です。

佐藤信介監督が再び手掛ける本作は、デスゲームのみの演出で、シーズン1やシーズン2でゲームの合間のプレイヤー同士の探り合いはほぼなかったですね。
エピソード全てがわかりやすいゲームだったので、それぞれのゲーム緊張感の連続でした。知力・体力・チームワークなど登場人物たちの特性が活かされる多種多様なゲームで手に汗握るアクションが、満載でした。
ただ物語の結末についてが、結局夢オチ?とアリスの葛藤ってなんだったんだろうと感じてはしまいました。
ブレイキング・バッド シーズン 5 (Breaking Bad Season 5) 全16話
アメリカのテレビドラマ史に永遠に刻まれる完璧な最終章でしたね。末期の肺がんを宣告された高校化学教師ウォルター・ホワイトが、家族のために覚醒剤製造に手を染め麻薬王「ハイゼンベルグ」へと転落する5年間の物語は、このシーズンで圧倒的な結末を迎えます。
シーズン5は全16話の前後半に分かれ、前半で帝国を極めたウォルターが、後半で家族、相棒ジェシー、義弟ハンクらとの最終対峙を経て急速に崩壊していく様子を対照的に描き出していました。特に、人気が絶頂にある中で、物語を不必要に引き延ばすことなく全62話で完結させた判断は、本作の完成度を決定づけた最大の功績ではないでしょうか。
この最終章の最大の魅力は、緻密に計算された脚本構成と、それを体現したブライアン・クランストンの鬼気迫る演技だと思います。5シーズンにわたって張り巡らされたすべての伏線が美しく回収され、最終話「Felina がFinale フィナーレの アナグラム フェリーナ」(Fe、Li、Naの元素記号に由来)で完璧な着地を果たしていましたね。
シーズン5の演出は「沈黙が雄弁に語る」を表していました。最終話の静寂な幕切れは、これまでの喧騒と暴力に満ちた物語を締めくくる演出でした。それはセリフを排したモンタージュシーンは、登場人物の孤独と罪の重さを際立たせています。また最終話に近づくにつれてウォルターが身を隠す先の、これまでの荒涼とした砂漠とは対照的な雪に閉ざされた孤独な小屋の描写は、彼の精神的な孤立と、すべてを失った状況を象徴していました。
忘れてはならないのは物語がウォルターの転落だけでなく、相棒ジェシーの苦悩と成長、妻スカイラーの恐怖と諦念など、彼を取り巻く人々の群像劇としても優れている点です。そして、ウォルターが「自分のためにやった。好きだったんだ。得意だったんだ」と告白する場面は、これまで「家族のため」という大義名分で覆い隠されてきた純粋な自己実現への欲望を露わにし、道徳的曖昧さという深遠なテーマを問いかける。
最終話「フェリーナ」は、ウォルターが自ら作った自動機関銃の流れ弾に倒れるという皮肉に満ちた最期を迎える。彼の亡骸の傍らで流れるバッドフィンガーの「Baby Blue」は、青い覚醒剤への愛着と破滅を象徴する完璧な選曲だ。激動の2年間を経て、すべてが静寂に帰していくラストシーンは、昨今の「続編ありき」の作品作りとは一線を画し、現代テレビドラマの一つの到達点を示し、観客に人間の本質と罪の重さを問いかけ続ける、テレビドラマ史に残る完璧な終幕だったのではないでしょうか。
DCドラマ「ピースメイカー」シーズン2
U-NEXTにて独占配信中のDCドラマ『ピースメイカー』シーズン2は、ジェームズ・ガン監督が手がける新生DCユニバースの重要な一作でしたが、最終話は続編ありきでスッキリとした終わり方ではありませんでしたね。ガン監督は、本作の製作総指揮・脚本を担当すると同時に、DCユニバースの新たな旗艦映画『スーパーマン』(2025年公開予定)の監督・脚本も兼任しており、本作は新ユニバースへの布石としての役割も担っているようです。
シーズン2は、タスクフォースX解散後のクリストファー・スミス(ジョン・シナ)が、亡き父や兄が生きており家族全員がヒーローとして愛される「並行世界(アース2)」を発見するという理想と現実を示したシーズンでした。これは、シーズン1で描かれた主人公の家族間のトラウマに対する理想的な解決策を提示するかに見えましたが、物語が進むにつれて、特に第6話『知らぬが仏』で示唆された「理想世界の欺瞞」というテーマが、表層的な扱いに留まり、より深掘りが不足しているのが残念でした。
「ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結」で息子を失ったリック・フラッグ・シニア(フランク・グリロ)からの復讐劇という二つの軸が並行して展開するため、これは正直悪手だった印象でしたね。途中で復讐に燃えるリックが、ストーリーが進むにつれ、小物なリックになった印象が残念でした。
ガン監督が製作総指揮・脚本しているだけあって映画『スーパーマン』からのキャラクター登場など、新生DCユニバースとの連携はファンにとって見逃せない要素となっていました。
ストレンジャー・シングス シーズン4
マット&ロス・ダファー兄弟によるNetflixオリジナルシリーズもついにシーズン4まで来ました。一話あたり約3,000万ドルという破格の制作費が画面に息づき、シーズン4のエピソードの9は2時間と映画並の時間の長さからも感じられました。
そしてシーズン5で完結することが発表された「終わりの始まり」を飾ります。この最終章となるシーズン5が2025年11月26日から三部構成で配信開始され、12月25日に第二部、12月31日に壮大なフィナーレを迎えます。シリーズ最終話は、Netflixでの配信と同時に、アメリカとカナダの350以上の劇場でも上映されるという前例のない試みが行われます。
シーズン4は元々の舞台となるホーキンス、エルやウィルが引っ越したカリフォルニア、ロシアと世界各地に散らばった登場人物たちが織りなす群像劇となっていました。
このシーズン4、キャストたちに劇的な成長をもたらしました。この成長は男性キャラクターの背丈がもっとも見て伺えます。それはウィル役のノア・シュナップは兄ジョナサン役のチャーリー・ヒートンよりも背が高くなり、もはや自転車で町を駆け回る少年少女ではない彼らの姿が、高校生活や喪失といった成熟したテーマに説得力を与えています。
新たな敵ヴェクナ
シリーズ4で初めて言葉を話す人型の敵として登場したヴェクナは、本作最大の技術的偉業でしょう。俳優ジェイミー・キャンベル・バウアーが毎日7時間半をかけて24〜25ピースの義肢を装着し、約90%を実践的な特殊効果で作り上げたこの新たな悪役は、フレディ・クルーガーやピンヘッドへのオマージュを感じさせます。ダファー兄弟は意図的にキャストがヴェクナに扮したバウアーと初対面するのを撮影の瞬間まで待ち、その恐怖が本物となるよう演出しました。
「Becoming Vecna」と題した約8分44秒のメイキング映像を公開しています。この徹底したクラフトマンシップこそが、本シーズンを80年代ホラーの正統な継承者たらしめていることをあらためて感じざる得ません。
ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス
ドラマ「ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス(The Haunting of Hill House)」は、アメリカの作家シャーリイ・ジャクソンが1959年に発表したゴシック・ホラー小説『たたり』(原題:The Haunting of Hill House)を原作としたマイク・フラナガン監督による大胆な再解釈で、2018年10月12日にNetflixで配信が開始されました。原作小説は全米図書賞の最終選考にも残った傑作として知られ、スティーブン・キングをはじめ多くの作家に影響を与えた作品です。
あらすじは大雑把に言うとアメリカで幽霊屋敷となるヒルハウス(Hill House)で過ごした5人の兄妹が、数十年の時を経て再会し、過去の記憶と恐怖に直面する物語です。
映像全体がとにかく不穏です。広大なヒルハウスの廃墟めいた空間を、過去と現在が交錯するように描き出し、観る者を時空を超えた悪夢へと誘います。そして一番印象だったのは、第6話「ふたつの嵐」における革新的な演出でしょう。この回は映画「1917 命をかけた伝令」を彷彿とさせるワンカット風の長回しのカメラワークが、過去と現在をシームレスに行き来しながら、家族の絆と崩壊を同時に映し出す圧巻の仕上がりとなっています。まるで時間の壁が溶け合うかのような、この大胆な映像手法は、記憶とトラウマが現在に侵食してくる様を体感させてくれました。
エイリアン:アース(Disney Plus独占配信 全8話)
2120年の地球が舞台となり、ウェイランド・ユタニ社の宇宙船が地球に墜落する。人間の意識を注入されたヒューマノイドロボット「ハイブリッド」のプロトタイプであるウェンディが、宇宙最恐の生命体エイリアンと対峙する。エイリアンは直近だと映画「ロムルス」が公開されました。

このロムルスよりも、「生々しい恐怖」を追求していた印象でした。エイリアンの特徴であるゼノモーフやフェイスハガーの他にも、複眼を持つタコ状の軟体生物など、エイリアン以外のクリーチャーデザインも、シリーズの世界観を拡張する不気味な魅力でしたね。
そしてSFドラマ『エイリアン:アース』の物語は、シリーズの核となるエイリアンの恐怖をベースにしながらも、「子供の意識をスキャンして完成されるハイブリッド」という、斬新なアイデアを加えています。この新人類ともいうべき子供たちは、作品を評価の分かれどころかもしれません。
ウェイランド・ユタニ社が登場するのですか桜や甲冑のサムライ?っぽいのが登場したのですが、ユタニって日本由来だったのですね。





