劇場版 アニメ
ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー:イルミネーション×任天堂が贈る奇跡のファンムービー

Score 4.6

世界興行収入1000億円突破という歴史的快挙を成し遂げた本作は、単なるゲーム映画化の枠を超えた、愛に満ちた傑作ファンムービーです。イルミネーション・エンターテイメントと任天堂の共同制作により実現したこの奇跡は、シンプルな物語構造の中に膨大なゲーム愛を詰め込み、90分間という短い上映時間で子供から大人まで釘付けにする魔法のような体験を提供します。 批評的な完成度よりもキャラクターの魅力とノスタルジアを重視した演出は賛否両論を呼びましたが、映画館という空間で体験するマリオの世界は、まさに「お年玉のような青春時代へのラブレター」と呼ぶにふさわしい感動を与えてくれます。

原題
The Super Mario Bros. Movie
公式サイト
https://www.universalpictures.jp/micro/super-mario-bros

© 2023 Nintendo and Universal Studios. All Rights Reserved.

公式サイトSNS
監督
登場人物
マリオ

Actor: 宮野真守

他の作品:

ニューヨークで働く配管工。弟思いの兄で、勇敢に冒険へ挑む主人公

ルイージ

Actor: 畠中祐

マリオの双子の弟。臆病で心配性だが、兄を信じて共に戦う

ピーチ姫

Actor: 志田有彩

キノコ王国を率いる有能なリーダー。マリオたちを導くお姫様

キノピオ

Actor: 関智一

他の作品:

明るく活発なキノコ王国の住人。マリオと冒険を共にする

クッパ

Actor: 三宅健太

ダークランドを支配する大魔王。世界征服を企み、ピーチ姫に執着する

ドンキーコング

Actor: 武田幸史

ジャングル王国の王子で戦士。力強いが愛嬌もあり、マリオと共闘

配給会社
制作会社

ここがおすすめ!

  • イルミネーション・エンターテイメントとの親和性
  • 巧妙な異世界設定
  • 圧倒的な映像体験

あらすじ

ニューヨークで配管業を営む兄弟・マリオとルイージは、不思議な配管からキノコ王国へ迷い込みます。マリオは悪のクッパに囚われたルイージを救うため、ピーチ姫や仲間たちと協力し、王国を守る冒険に挑みます。

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー | Universal Pictures Japan

アニメ映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」は日本にかず多くIPがあり、そのアニメ化は必ずしも成功とは言えない作品がかず多くあります。そんな中で任天堂の象徴的キャラクター、スーパーマリオを主人公とした「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」は、全世界で1000億円を超える興行収入を記録しました。この快挙の背景には、単なるアメリカ発アニメーション映画ではなく、日本の任天堂が制作段階から深く関わった多国籍合作映画という、前例のない取り組みがありました。

任天堂株式会社の代表取締役フェローの宮本茂氏が共同制作者として名を連ね、「画面上に出てくる泡の数まで指摘して修正した」というエピソードが象徴するように、ここまで原作サイドが映画制作に関与した例は稀でしょう。イルミネーション・エンターテイメントの持つドタバタコメディの作風と、任天堂ゲームの「左から右に進むだけ」というシンプルながら奥深いゲーム性との親和性が、この作品を特別な存在にしています。

異世界ものとしての巧妙な設定

物語の舞台はニューヨーク・ブルックリンの移民街となっています。イタリア系アメリカ人の配管工兄弟であるマリオとルイージが下水道の奥深くから異世界であるゲームの世界に迷い込むという設定です。興味深いのは、この世界では「スーパーマリオというゲームだけが存在しない」という細かな世界観設定。マリオがパルテナの鏡をプレイし、部屋にスターフォックスのフィギュアが飾られているなど、任天堂作品への愛に満ちた小道具が物語に深みを与えています。

© 2023 Nintendo and Universal Studios. All Rights Reserved.

この異世界ものという設定により、スーパーマリオゲームを知らない観客でも自然に物語世界に入り込める構造になっています。これはとても親切な設定であり、現実世界から始まることで、観客は主人公たちと同じ目線でマリオの世界の驚異を体験できるのです。

そして本作最大の魅力は、間違いなくその圧倒的な映像体験です!イルミネーション・エンターテイメントの持つ3DCGアニメーション技術により、マリオの世界が息づくような美しさで再現されています。キノコ王国の城下町では、マリオオデッセイから着想を得たクレイジーキャップのお店や、歴代マリオ作品のアイテムが所狭しと並ぶアンティークショップなど、ファンなら思わず立ち止まって見入ってしまう細部への配慮が光ります。

イルミネーション代表作一覧(公式リンク付き)

特に圧巻なのは、中盤のレインボーロードでのカーチェイスシーンです。初代マリオカートのBGMが映画館の音響システムで響く瞬間、観客の体は自然とゲーム体験の記憶を呼び覚まされます。ドリフトの色が紫からピンクへと変化する演出や、青甲羅のホーミング攻撃など、マリオカートを愛するプレイヤーなら鳥肌必至の場面が連続でした!

現代的に再解釈された強い女性であるピーチ姫

本作で最も大胆な改変を受けたのは、ピーチ姫のキャラクター造形でしょう。従来の「とらわれの姫」から、マリオの師匠・メンター的存在へと大きく変化しています。クッパにさらわれるのはルイージであり、ピーチは大乱闘スマッシュブラザーズ並みの戦闘力を持つ強い女性として描かれます。

この解釈について賛否両論があることは承知していますが、アーロン・ホーバス監督の「絶対にクッパがピーチをさらうゲームと同じ展開にはしたくなかった」という強い意志が反映された結果です。アニャ・テイラー=ジョイという、『ウィッチ』から『クイーンズ・ギャンビット』まで強い女性を演じ続けてきた女優のキャスティングも、この解釈を支える絶妙な選択でした。

ゲーム音楽の力

また本作を語る上で欠かせないのが、音楽の素晴らしさです。近藤浩治氏が関わった楽曲は、既存のゲーム音楽を映画版にアレンジしたものが中心となっており、シーンが変わるごとに流れる馴染み深いメロディーに、ゲームで育った世代なら誰もが心を揺さぶられることでしょう。

特に印象深いのは、大乱闘スマッシュブラザーズシリーズで聴き慣れたオーケストラアレンジを、映画館の優れた音響環境で体験できることの贅沢さです。冒頭のキルビルの楽曲から始まり、懐メロ選曲で親世代を狙い撃ちする一方で、劇中のほとんどを占めるゲーム音楽のアレンジが、この作品を特別なものにしています。

シンプルさの意味

作品の評価が批評家と観客で大きく隔たりがあります。それはアメリカの映画評論サイト「ロッテントマト」では、批評家評価59%に対して一般観客評価96%という極端な乖離があります。レビューの内容を見ると「映画の内容が薄い」「子供だけが満足するだろう」といった批判的な声が多くあります。これは作品の本質を見誤った評価と言わざるを得ません。

これは大作といえる作品の多くは上映時間も2時間を超えることが当たり前になった中で、90分というコンパクトな上映時間でシンプルな物語を紡ぐことの価値を、批評家たちは過小評価しているのではないでしょうか。イルミネーションの作風である「物語よりもキャラクターの魅力を重視する」アプローチと、マリオの「一見簡単だけど奥深い」ゲーム性との親和性こそが、この作品の真の価値なのです。

本作の圧倒的な魅力の一つは、任天堂ファンを歓喜させる無数の「小ネタ」です。冒頭のピザ屋「パンチアウト」から始まり、マリオの声の父であるチャールズ・マーティネーが本人役でカメオ出演するサプライズまで、愛情深い仕掛けが随所に散りばめられています。

ルイージの着信音にゲームキューブの起動音を使用し、キノピオのバッグにはマリオオデッセイのシールコレクションをあしらうなど、細部への配慮は驚異的です。キノコ王国の城下町では、マリオワールドのびっくりブロックから、マリオ3のタヌキスーツ、マリオUSAの魔法のランプまで、歴代作品のアイテムがアンティークショップに所狭しと並んでいます。

特に感動的なのは、BGMの使い方です。ドンキーコング64の「DKラップ」を観客が歌うシーンや、レインボーロードで初代マリオカートの楽曲が響く瞬間は、まさに任天堂世代への最高のプレゼントでした。

まとめ:映画が持つ余韻と映画は誰のものかという問いかけ

アニメ映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」は、エンターテイメントの原点回帰を示す作品でした。それは複雑な社会的メッセージや長大な物語よりも、純粋な楽しさと愛情を重視する姿勢は、現代の映画界に一石を投じているといえるでしょう。

この作品が問いかけるのは、「映画は誰のためのものか」という根本的な疑問です。批評家のためか、一般観客のためか、それともファンのためか。本作の圧倒的な商業的成功は、その答えの一端を示しているのかもしれません。

90分間という短い時間の中に込められた膨大な愛情と丁寧さ。それは、映画を観終わった後も心の奥に残り続け、私たちに子供の頃の純粋な興奮を思い出させてくれるでしょう。この作品を通じて、あなたは何を感じるでしょうか。

各サイトのレビュースコア

批評と観客の間に広がる評価ポイント

本作は映画史上稀に見るほどの評価の二極化を生み出した。Rotten Tomatoesにおける批評家スコア59点に対し、観客スコアは95点という驚異的な数値を記録。この36点もの乖離は、映画としての芸術性を重視する批評家と、原作ゲームへの愛着とエンターテインメント性を求める観客との根本的な価値観の違いを浮き彫りにした。

批評家たちは「ストーリーの浅薄さ」「定型的な演出手法」を厳しく指摘する一方、観客は「ゲーム世界の完璧な再現度」「キャラクターたちの躍動感あふれる描写」に心を奪われた。この対照的な反応は、本作がいかにファンのためのファンによる映画であるかを物語っている。

プラットフォーム別に見る多層的な評価構造

IMDb(7.0/10) では、国際的なユーザー層の多様性が反映され、ファンの熱狂と冷静な批判が交錯した比較的バランスの取れた数値に落ち着いた。

日本の評価サイトにおいては、映画.com(3.9/5)、Filmarks(3.8/5)ともに3点台後半で収束。これは日本特有の「キャラクター愛」や「ノスタルジー」が高評価を押し上げる一方、「子供向けすぎる」「深みに欠ける」といった辛口な意見も根強く存在することを示している。

ジャンル特性と時代背景が生んだ現象

アニメーション・ゲーム原作という本作のDNAは、従来の映画評価の枠組みを超越した現象を生み出した。公開直後の世界的なマリオファンの熱狂は、SNSを通じて瞬時に拡散され、観客スコアの急激な上昇を牽引。映画祭での評価や批評家の権威よりも、13億ドルを超える世界興行収入という圧倒的な数字が、本作の文化的インパクトの大きさを証明した。

明確に分かれる支持層の構造

支持層は任天堂ファン、子供連れの家族層、そしてゲームカルチャーに親しんだ世代で構成される。彼らは映像の色彩豊かさ、音楽の忠実な再現性、そして愛すべきキャラクターたちの活躍に深い満足感を覚えた。

不満層は映画に高度なドラマ性や哲学的テーマを求める観客たち。キャラクターの魅力は認めつつも、「物語構造の単純さ」「感情的深度の不足」を鋭く指摘した。

新時代エンターテインメント映画としての意義

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は、従来の「批評家のための映画」ではなく、徹底的に「観客のための映画」として制作された作品である。芸術性やテーマ性の追求よりも、ファンへの愛とエンターテインメントの爆発力を最優先に据えた結果、観客主導の世界的大ヒット作品として映画史に名を刻んだ。

本作は、現代における映画の価値とは何かという根本的な問いを投げかける。批評家の権威と観客の熱狂、芸術性と商業性、そして伝統的な映画評価の枠組みと新しいエンターテインメントの形—これらすべての要素が交錯する地点に、この映画は確かに存在している。

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このページではNetflix Jpで配信中のザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービーから執筆しました。

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