原作小説・ゲームを一切鑑賞することなく見ました。タイトルから戦争映画かと予想していましたがまさかのゾンビホラー。原作未読でも全く気になるシーンがなく、手放しで楽しめる映画となっていました。
ただ序盤に世界を救う希望の有能ウイルス学者の死亡(こけて暴発って)、イスラエルでのゾンビタワー。なにこれギャグ?笑える。いきなり歌い出し、それが大きすぎてゾンビが集まり、イスラエル壊滅?
とツッコミが大きいゾンビパニック映画と感じました。

全員演技が上手すぎる
本作の主人公は優秀な元国連調査員です。常に冷静だが度胸もある、魅力的な男性でした。主演のブラッドピットは、ゾンビに囲まれ緊迫した状態でも冷静に対処するシーン、どんな状況でも家族にやさしく、たった一人でもゾンビに立ち向かう勇敢なシーンと、どんな主人公も完璧に演じ切っています。見ていてどんどん引き込まれてしまいました。
また登場するゾンビたちも、よくあるただ大声で叫んで走ってくるゾンビというわけではありません。主人公たちを前にして不気味に歯を鳴らして襲うタイミングをうかがう姿、誰が演じていても共通した叫び声など見ているこちらが恐怖するような演技を見せてくれます。誰が見ても恐怖し目が離せなくなる、魅力的なゾンビホラーとなっていました。

主人公がイカれた強さ
主人公のジェリー・レインはただの人間です。優秀な元国連職員なだけで、凄腕の傭兵でもなければゾンビに一度嚙まれてしまえばZウイルスに感染し、すぐにゾンビになってしまうか弱い存在のはずでした。しかし実際には、その辺に落ちていた鉄パイプ一本でゾンビの群れを撃退しきる武力、飛行機が爆発し墜落しても生き残る豪運、致死性の病気に感染してもなぜか死なない体力とありえない強さを持っています。物語の展開は、この主人公のイカれた強さに少し依存している印象がありました。
普通の人間が奇想天外な発想や論理的に筋が通った策略でゾンビパニックを収束させる、というような頭を使う内容を期待している方には合わない映画かもしれません。逆に派手なアクションだけでいい、昨今人気の主人公最強系が好きな方にはおすすめできる映画です。

吹き替えの声優は賛否両論かも
私が鑑賞したのは吹き替え版でした。本作は吹き替えに経験の少ない人気俳優・女優ではなく、熟練の声優陣を起用しています。このため、どのシーンにおいても全く棒読みではない感情のこもった臨場感のある演技を楽しむことができました。
ですが、主人公の娘たちが見た目や年齢よりも幼すぎる声としゃべり方をしている点や声優の個性が出すぎていて緊迫するシーンのはずなのに笑えてくることなどが気になりました。特に中盤、ウイルス学者を護衛しつつゾンビに襲撃されながらもワクチンの手がかりを探すシーン。名前すらない護衛の一人が若本さんの声と口調でしゃべりだした時に若本さんの印象が強すぎて、ん!?となってしまいました。