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映画ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔:三部作の心臓部が放つ圧倒的な戦闘美学
三部作の中盤を担う映画『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』は、前作『旅の仲間』で丁寧に紡がれた世界観と登場人物たちを基盤に、圧倒的なアクションシークエンスと群像劇としての深みを両立させた傑作です。上映時間は前作より15分ほど長い約179分ですが、体感時間ははるかに短く感じられます。それは、バラバラになった旅の仲間たちがそれぞれの戦場で奮闘する姿を、緊迫感溢れる演出で描き切っているからに他なりません。 ヘルム峡谷の戦いという映画史に残る壮絶な戦闘シーンを中心に、ゴラムという忘れがたいキャラクターの誕生、セオデン王の復活劇、そしてフロドの心を蝕む指輪の魔力──すべてが有機的に絡み合い、観る者を物語世界へと引き込みます。前作で築かれた土台の上に、さらなる高みへと到達した中篇として、『二つの塔』は三部作の心臓部を担う重要な作品です。 -
映画 アメリカスーパーマン (2025) :「優しさこそがパンク」新時代のスーパーマンが問いかける、人間の善への希望
DCエクステンデッドユニバースから世界観をほぼ刷新し、新たなDCユニバースの第一作として登場した映画『スーパーマン』は、ジェームズ・ガン監督による大胆な再解釈が光る作品です。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」三部作や「ザ・スーサイド・スクワッド」で培われた監督のキャラクター造形力と、現代社会への鋭い問題提起が見事に融合しています。 圧倒的な展開スピード、TikTok時代を反映した映像感覚、そして「優しさこそが新しいパンク」という力強いメッセージ。スーパーヒーロー映画に疲れを感じ始めていた観客に対して、ジェームズ・ガン監督は「スーパーマンの本質とは何か」を真正面から問い直す挑戦状を叩きつけました。 -
映画 日本ドールハウス:矢口史靖監督が挑んだ日本人形の世界
「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」で青春コメディの旗手として知られる矢口史靖監督が、まさかのホラー映画に挑戦しました。長澤まさみが脚本の面白さに出演を熱望したという映画『ドールハウス』は、「ドールミステリー」という宣伝文句とは裏腹に、正真正銘のホラー映画です。しかし、矢口監督ならではのコメディセンスが随所に光り、恐怖と笑いのバランスが絶妙な作品に仕上がりました。110分ノンストップの展開は観る者を飽きさせず、日本人形ならではの不気味さと、ミステリー要素のフェアさが見事に融合しています。第45回ポルト国際映画祭でグランプリを受賞したことも納得の、王道Jホラーの良作といえるでしょう。 -
映画 アメリカウィキッド ふたりの魔女 – ミュージカル映画に新たな地平を切り拓いた傑作
ブロードウェイの名作ミュージカルを、これ以上ない完成度で映画化した奇跡の作品です。『オズの魔法使い』に登場する「悪い魔女」と「良い魔女」の知られざる友情を描いた映画『ウィキッド ふたりの魔女』は、単なるエンターテインメントの枠を超え、差別や偏見という人類史に刻まれた暗黒を真正面から見据えた社会派作品として、圧倒的な感動を届けます。特にクライマックスの「Defying Gravity(重力に逆らって)」のシークエンスは、ミュージカル映画史に残る究極の到達点と言えるでしょう。 -
映画 アメリカ罪人たち:ブルースが紡ぐ魂の解放と、吸血鬼が暴く文化収奪の闇
『ブラックパンサー』『クリード』で知られるライアン・クーグラー監督が、初めて実話やIPに頼らず完全オリジナル脚本で挑んだ意欲作です。映画『罪人たち(Sinners)』は、1932年のアメリカ南部ミシシッピを舞台に、ブルース音楽と吸血鬼ホラーを大胆に融合させた革新的な作品となっています。前半はノリノリのブルースが鳴り響くミュージカル映画、後半は血しぶきが飛び散るバンパイアホラーという二面性を持ちながら、その奥底には黒人文化への深い敬意と、白人による文化収奪への鋭い批判が込められています。エンターテインメントと社会派テーマを見事に両立させた傑作であり、アメリカ黒人音楽史やブルースのルーツに関する知識があると、より深く楽しめる作品でもあります。 重要: 本作の真価を味わうには、できる限り高品質な音響環境での視聴を強くお勧めします。ブルース音楽の迫力と美しさ、そしてその背後にある魂の叫びを感じるには、音響設備が鍵となります。 -
映画 アメリカジュラシック・ワールド/復活の大地:恐竜の迫力だけでは補えない
オリジナル『ジュラシック・パーク』の脚本家デヴィッド・コープが再び筆を取り、『GODZILLA ゴジラ』や『ローグ・ワン』で巨大生物の迫力ある映像表現を見せたギャレス・エドワーズ監督がメガホンを取った映画『ジュラシック・ワールド/復活の大地』。制作陣の顔ぶれからは大いに期待が高まりましたが、残念ながら結果はシリーズ最低レベルと言わざるを得ない仕上がりでした。 恐竜の迫力やエドワーズ監督らしいスケール感の演出は健在ですが、それだけではカバーしきれない根本的な物語構造の欠陥、キャラクター造形の薄さ、そして何より「ありきたりな夏休み恐竜映画」以上のものになれなかった凡庸さが、映画『ジュラシック・ワールド/復活の大地』を物足りない作品にしています。 -
映画 スペインREC レック4 ワールドエンド:恐怖のウイルスパニック、ついに完結
スペイン発の人気POVホラーシリーズ『REC レック』がついに最終章を迎えました。本作『REC レック4 ワールドエンド』は、1作目から続くアンヘラ・ビダル記者(マヌエラ・ベラスコ)の物語を完結させる作品です。舞台を密室のアパートから洋上の軍用船へと移し、新たな恐怖と絶望を描きます。POV映像を一部に留め、従来の映画的な演出を取り入れた本作は、シリーズの完結編として賛否が分かれる仕上がりとなっていますが、アンヘラの成長と人間ドラマに焦点を当てた意欲的な試みは評価に値します。ホラー映画ファンはもちろん、シリーズを追ってきた視聴者には必見の完結編です。 -
映画 スペインレック3 ジェネシス:結婚式が悪夢に変わる瞬間
シリーズ第1作、第2作で確立されたファウンドフッテージスタイルから大胆に舵を切り、通常の映画的な撮影手法とコメディ要素を取り入れた異色作です。結婚式という華やかな舞台が一転して阿鼻叫喚の地獄絵図となる展開は衝撃的で、ウェディングドレス姿でチェーンソーを振り回すヒロインのビジュアルは強烈な印象を残します。前2作のような緊迫感や完成度には及びませんが、監督パコ・プラサの挑戦的な姿勢は評価に値します。ホラーファンであれば、シリーズの一篇として楽しめる作品です。 -
映画 スペインレック2(2009):全隊員カメラ搭載の衝撃!
スペイン発の傑作POVホラー『REC/レック』の続編である本作は、前作の緊張感を引き継ぎながら、新たな視点と演出で観る者を魅了する意欲作です。SWAT隊員全員に小型カメラを搭載するという斬新なアイデアにより、複数の視点から恐怖を体験できる構造は圧巻。前作が「記者の目線」という単一視点だったのに対し、本作は多視点映像により、より立体的で臨場感のある恐怖体験を実現しています。 オカルト要素の強化や登場人物の判断ミスといった賛否の分かれる要素はあるものの、POVホラーとしての完成度は極めて高く、前作ファンはもちろん、ホラー映画好きなら必見の一作と言えるでしょう。 -
映画 スペインREC レック (2007):カメラが映し出す、逃げ場のない恐怖
ファウンドフッテージ・ホラーの最高峰として名高い本作は、テレビカメラの映像のみで構成された革新的な作品です。実際のテレビリポーターが主演を務めることで生まれる圧倒的なリアリティ、緻密に計算された空間演出、そして最後まで息をつかせない緊迫感。わずか78分という短い上映時間の中に、現代ホラーの持つべき要素がすべて詰め込まれています。ゾンビ映画としても一級品でありながら、オカルト的な謎を残すことで想像の余地を生み出した、まさに傑作と呼ぶにふさわしい一本です。





