-
映画ファイナル・デッドサーキット:3Dの呪縛が招いたシリーズ最大の迷走作
『ファイナル・デスティネーション』シリーズ第4弾として2009年に公開されたホラー映画『ファイナル・デッドサーキット』は、3D映画ブームに乗って制作された意欲作です。しかし、その3D技術への過度な依存が、皮肉にもシリーズ最大の弱点となってしまいました。キャラクター描写の薄さ、CGIの粗さ、ストーリーの簡素化など、多くの課題を抱えながらも、シリーズならではのバイオレンスな死のエンターテインメントは健在です。ホラー映画ファンなら一度は観ておきたい、シリーズの「黒歴史」的存在と言えるでしょう。 -
映画ファイナル・デッドコースター:死神のピタゴラ装置が再び始動
『ファイナル・デスティネーション』シリーズの第3弾となる本作は、初代監督ジェームズ・ウォンの復帰作として、シリーズの持つ独特の魅力を存分に発揮した快作です。ジェットコースター事故という視覚的インパクトの強い導入部から始まり、死神の「ピタゴラ装置」的な連続殺人が展開される本作は、恐怖と笑いが絶妙に交錯するエンターテインメント性の高い一作となっています。メアリー・エリザベス・ウィンステッドという後に大女優となる才能の輝きと、シリーズならではの緊張感溢れる演出が見どころです。 -
映画ファイナル・デスティネーション:死神のドミノ倒しが始まる
2000年に登場し、ホラー映画の新たな地平を切り開いた『ファイナル・デスティネーション』。最新作『ファイナル・デスティネーション:ブラッドライン』の公開を機に、改めてシリーズ第1作を鑑賞すると、その革新性と完成度の高さに驚かされます。「死神」という見えない脅威が、日常のあらゆる物を凶器に変えていく恐怖。CGに頼らず、因果関係の連鎖で観客を震え上がらせる手法は、20年以上経った今でも色褪せることがありません。『X-ファイル』で腕を磨いたジェームズ・ウォン監督の演出は、第一幕の緊迫感に満ちた展開で観客を一気に引き込み、その後も予測不可能な死のドミノ倒しで最後まで目が離せません。90年代末から2000年代初頭のホラー映画を代表する傑作であり、今こそ再評価されるべき作品です。 -
映画アンダーニンジャ:アクションは一流、物語は寒い内輪ノリ
花沢健吾の人気漫画を実写化した映画『アンダーニンジャ』は、現代日本に密かに存在する忍者組織と、そこから離反した「アンダー忍者」と呼ばれる反逆者たちの戦いを描くアクション作品です。福田雄一監督が手がけた本作は、優れたアクションシーンと実力派キャストの熱演という光を持ちながら、同時に監督特有のコメディ演出が原作の世界観と衝突し、作品全体のバランスを崩してしまった印象を受けました。 -
映画Pearl パール:狂気の笑顔が映し出す純粋な闇
タイ・ウェスト監督が2022年に発表した映画『X エックス』の前日譚として制作された映画『Pearl/パール』は、ホラー映画の枠を大きく超えた野心的な作品です。1918年のテキサスを舞台に、殺人鬼となる前の若きパールの物語を、『オズの魔法使』を彷彿とさせる鮮やかなテクニカラーで描き出します。ミア・ゴスが脚本にも参加し、製作も務めた本作は、彼女自身の映画人生における重要な転機となりました。主演女優として、脚本家として、そしてプロデューサーとして――三つの顔を持つミア・ゴスの圧倒的な存在感が、この作品を唯一無二のものにしています。特に終盤の6分間にも及ぶ長回しのクロースアップは、映画史に残る名シーンと言えるでしょう。 -
劇場版 アニメロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い:神山健治監督が挑んだ中つ国の新章
実写映画三部作から200年前の中つ国を舞台に、『攻殻機動隊 S.A.C.』や『東のエデン』で知られる神山健治監督が初めて挑んだファンタジー大作です。全編手描きにこだわった13万枚の作画と、実写をモーションキャプチャーで記録してから手描きで起こすという前例のない制作手法により、圧倒的な映像クオリティを実現しています。しかし、45億円の製作費に対して興行収入は約32億円という厳しい結果に終わり、特に日本国内では1億円以下という残念な数字となりました。映像美とストーリーテリングのバランスに課題を残した、野心的ながらも評価の分かれる作品です。 -
劇場版 アニメロボット・ドリームズ:セリフなき友情が紡ぐ、切なくて温かい102分
予想を遥かに超える感動が待っていました。第96回アカデミー賞長編アニメーション映画賞ノミネート作品『ロボット・ドリームズ』は、一言のセリフもないのに、観る者の心を深く揺さぶる傑作です。1980年代ニューヨークを舞台に、孤独な犬と通販で購入したロボットの友情を描くこの作品は、ディズニーやピクサーとは一線を画す、大人のためのアニメーションとして仕上がっています。 アース・ウィンド・アンド・ファイアーの名曲「セプテンバー」が物語全体を包み込み、言葉以上に雄弁に感情を語ります。可愛らしいビジュアルとは裏腹に、別れ、喪失、そして前に進むことの痛みと美しさを描いた本作は、ディズニー的なハッピーエンドを期待する観客を驚かせることでしょう。しかし、その予想外の結末こそが、この作品を唯一無二の存在にしているのです。 -
映画 アメリカ罪人たち:ブルースが紡ぐ魂の解放と、吸血鬼が暴く文化収奪の闇
『ブラックパンサー』『クリード』で知られるライアン・クーグラー監督が、初めて実話やIPに頼らず完全オリジナル脚本で挑んだ意欲作です。映画『罪人たち(Sinners)』は、1932年のアメリカ南部ミシシッピを舞台に、ブルース音楽と吸血鬼ホラーを大胆に融合させた革新的な作品となっています。前半はノリノリのブルースが鳴り響くミュージカル映画、後半は血しぶきが飛び散るバンパイアホラーという二面性を持ちながら、その奥底には黒人文化への深い敬意と、白人による文化収奪への鋭い批判が込められています。エンターテインメントと社会派テーマを見事に両立させた傑作であり、アメリカ黒人音楽史やブルースのルーツに関する知識があると、より深く楽しめる作品でもあります。 重要: 本作の真価を味わうには、できる限り高品質な音響環境での視聴を強くお勧めします。ブルース音楽の迫力と美しさ、そしてその背後にある魂の叫びを感じるには、音響設備が鍵となります。 -
映画 アメリカジュラシック・ワールド/復活の大地:恐竜の迫力だけでは補えない
オリジナル『ジュラシック・パーク』の脚本家デヴィッド・コープが再び筆を取り、『GODZILLA ゴジラ』や『ローグ・ワン』で巨大生物の迫力ある映像表現を見せたギャレス・エドワーズ監督がメガホンを取った映画『ジュラシック・ワールド/復活の大地』。制作陣の顔ぶれからは大いに期待が高まりましたが、残念ながら結果はシリーズ最低レベルと言わざるを得ない仕上がりでした。 恐竜の迫力やエドワーズ監督らしいスケール感の演出は健在ですが、それだけではカバーしきれない根本的な物語構造の欠陥、キャラクター造形の薄さ、そして何より「ありきたりな夏休み恐竜映画」以上のものになれなかった凡庸さが、映画『ジュラシック・ワールド/復活の大地』を物足りない作品にしています。 -
映画 スペインレック2(2009):全隊員カメラ搭載の衝撃!
スペイン発の傑作POVホラー『REC/レック』の続編である本作は、前作の緊張感を引き継ぎながら、新たな視点と演出で観る者を魅了する意欲作です。SWAT隊員全員に小型カメラを搭載するという斬新なアイデアにより、複数の視点から恐怖を体験できる構造は圧巻。前作が「記者の目線」という単一視点だったのに対し、本作は多視点映像により、より立体的で臨場感のある恐怖体験を実現しています。 オカルト要素の強化や登場人物の判断ミスといった賛否の分かれる要素はあるものの、POVホラーとしての完成度は極めて高く、前作ファンはもちろん、ホラー映画好きなら必見の一作と言えるでしょう。





