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映画デッドコースター/ファイナル・デスティネーション2
ホラー映画史に残る衝撃的な高速道路事故シーンで幕を開ける映画『デッドコースター/ファイナル・デスティネーション2』は、前作『ファイナル・デスティネーション』の成功を引き継ぎながら、より大規模でスタイリッシュな死の演出を見せてくれる作品です。単なる続編に留まらず、前作の世界観を巧みに拡張し、死のルールに新たな解釈を加えることで、シリーズの可能性を大きく広げました。冒頭の高速道路玉突き事故は、アクション映画を含めても類を見ない完成度を誇り、2000年代ホラー映画における最高峰のオープニングシーンでした。 -
映画ファイナル・デスティネーション:死神のドミノ倒しが始まる
2000年に登場し、ホラー映画の新たな地平を切り開いた『ファイナル・デスティネーション』。最新作『ファイナル・デスティネーション:ブラッドライン』の公開を機に、改めてシリーズ第1作を鑑賞すると、その革新性と完成度の高さに驚かされます。「死神」という見えない脅威が、日常のあらゆる物を凶器に変えていく恐怖。CGに頼らず、因果関係の連鎖で観客を震え上がらせる手法は、20年以上経った今でも色褪せることがありません。『X-ファイル』で腕を磨いたジェームズ・ウォン監督の演出は、第一幕の緊迫感に満ちた展開で観客を一気に引き込み、その後も予測不可能な死のドミノ倒しで最後まで目が離せません。90年代末から2000年代初頭のホラー映画を代表する傑作であり、今こそ再評価されるべき作品です。 -
映画アンダーニンジャ:アクションは一流、物語は寒い内輪ノリ
花沢健吾の人気漫画を実写化した映画『アンダーニンジャ』は、現代日本に密かに存在する忍者組織と、そこから離反した「アンダー忍者」と呼ばれる反逆者たちの戦いを描くアクション作品です。福田雄一監督が手がけた本作は、優れたアクションシーンと実力派キャストの熱演という光を持ちながら、同時に監督特有のコメディ演出が原作の世界観と衝突し、作品全体のバランスを崩してしまった印象を受けました。 -
映画Pearl パール:狂気の笑顔が映し出す純粋な闇
タイ・ウェスト監督が2022年に発表した映画『X エックス』の前日譚として制作された映画『Pearl/パール』は、ホラー映画の枠を大きく超えた野心的な作品です。1918年のテキサスを舞台に、殺人鬼となる前の若きパールの物語を、『オズの魔法使』を彷彿とさせる鮮やかなテクニカラーで描き出します。ミア・ゴスが脚本にも参加し、製作も務めた本作は、彼女自身の映画人生における重要な転機となりました。主演女優として、脚本家として、そしてプロデューサーとして――三つの顔を持つミア・ゴスの圧倒的な存在感が、この作品を唯一無二のものにしています。特に終盤の6分間にも及ぶ長回しのクロースアップは、映画史に残る名シーンと言えるでしょう。 -
劇場版 アニメロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い:神山健治監督が挑んだ中つ国の新章
実写映画三部作から200年前の中つ国を舞台に、『攻殻機動隊 S.A.C.』や『東のエデン』で知られる神山健治監督が初めて挑んだファンタジー大作です。全編手描きにこだわった13万枚の作画と、実写をモーションキャプチャーで記録してから手描きで起こすという前例のない制作手法により、圧倒的な映像クオリティを実現しています。しかし、45億円の製作費に対して興行収入は約32億円という厳しい結果に終わり、特に日本国内では1億円以下という残念な数字となりました。映像美とストーリーテリングのバランスに課題を残した、野心的ながらも評価の分かれる作品です。 -
映画 日本ドールハウス:矢口史靖監督が挑んだ日本人形の世界
「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」で青春コメディの旗手として知られる矢口史靖監督が、まさかのホラー映画に挑戦しました。長澤まさみが脚本の面白さに出演を熱望したという映画『ドールハウス』は、「ドールミステリー」という宣伝文句とは裏腹に、正真正銘のホラー映画です。しかし、矢口監督ならではのコメディセンスが随所に光り、恐怖と笑いのバランスが絶妙な作品に仕上がりました。110分ノンストップの展開は観る者を飽きさせず、日本人形ならではの不気味さと、ミステリー要素のフェアさが見事に融合しています。第45回ポルト国際映画祭でグランプリを受賞したことも納得の、王道Jホラーの良作といえるでしょう。 -
映画 アメリカウィキッド ふたりの魔女 – ミュージカル映画に新たな地平を切り拓いた傑作
ブロードウェイの名作ミュージカルを、これ以上ない完成度で映画化した奇跡の作品です。『オズの魔法使い』に登場する「悪い魔女」と「良い魔女」の知られざる友情を描いた映画『ウィキッド ふたりの魔女』は、単なるエンターテインメントの枠を超え、差別や偏見という人類史に刻まれた暗黒を真正面から見据えた社会派作品として、圧倒的な感動を届けます。特にクライマックスの「Defying Gravity(重力に逆らって)」のシークエンスは、ミュージカル映画史に残る究極の到達点と言えるでしょう。 -
劇場版 アニメロボット・ドリームズ:セリフなき友情が紡ぐ、切なくて温かい102分
予想を遥かに超える感動が待っていました。第96回アカデミー賞長編アニメーション映画賞ノミネート作品『ロボット・ドリームズ』は、一言のセリフもないのに、観る者の心を深く揺さぶる傑作です。1980年代ニューヨークを舞台に、孤独な犬と通販で購入したロボットの友情を描くこの作品は、ディズニーやピクサーとは一線を画す、大人のためのアニメーションとして仕上がっています。 アース・ウィンド・アンド・ファイアーの名曲「セプテンバー」が物語全体を包み込み、言葉以上に雄弁に感情を語ります。可愛らしいビジュアルとは裏腹に、別れ、喪失、そして前に進むことの痛みと美しさを描いた本作は、ディズニー的なハッピーエンドを期待する観客を驚かせることでしょう。しかし、その予想外の結末こそが、この作品を唯一無二の存在にしているのです。 -
映画 アメリカ罪人たち:ブルースが紡ぐ魂の解放と、吸血鬼が暴く文化収奪の闇
『ブラックパンサー』『クリード』で知られるライアン・クーグラー監督が、初めて実話やIPに頼らず完全オリジナル脚本で挑んだ意欲作です。映画『罪人たち(Sinners)』は、1932年のアメリカ南部ミシシッピを舞台に、ブルース音楽と吸血鬼ホラーを大胆に融合させた革新的な作品となっています。前半はノリノリのブルースが鳴り響くミュージカル映画、後半は血しぶきが飛び散るバンパイアホラーという二面性を持ちながら、その奥底には黒人文化への深い敬意と、白人による文化収奪への鋭い批判が込められています。エンターテインメントと社会派テーマを見事に両立させた傑作であり、アメリカ黒人音楽史やブルースのルーツに関する知識があると、より深く楽しめる作品でもあります。 重要: 本作の真価を味わうには、できる限り高品質な音響環境での視聴を強くお勧めします。ブルース音楽の迫力と美しさ、そしてその背後にある魂の叫びを感じるには、音響設備が鍵となります。 -
映画 アメリカジュラシック・ワールド/復活の大地:恐竜の迫力だけでは補えない
オリジナル『ジュラシック・パーク』の脚本家デヴィッド・コープが再び筆を取り、『GODZILLA ゴジラ』や『ローグ・ワン』で巨大生物の迫力ある映像表現を見せたギャレス・エドワーズ監督がメガホンを取った映画『ジュラシック・ワールド/復活の大地』。制作陣の顔ぶれからは大いに期待が高まりましたが、残念ながら結果はシリーズ最低レベルと言わざるを得ない仕上がりでした。 恐竜の迫力やエドワーズ監督らしいスケール感の演出は健在ですが、それだけではカバーしきれない根本的な物語構造の欠陥、キャラクター造形の薄さ、そして何より「ありきたりな夏休み恐竜映画」以上のものになれなかった凡庸さが、映画『ジュラシック・ワールド/復活の大地』を物足りない作品にしています。





